脳寿命を延ばすコツ 第2回

「脳寿命を延ばす食べ方」

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脳のアンチエイジングのためには、脳にしっかりと「栄養・休息・刺激」を与えることが大切です。第1回は日々の食事について、シニア世代は「糖質を摂り過ぎないこと」と「食物繊維・タンパク質・脂質をしっかりと摂ること*1,2」が脳の老化防止のポイントであることを解説しました。

今回は脳に必要な栄養と刺激を与える「食べ方」のポイントについてお伝えします。

地中海食のすゝめ

まずは食事のジャンルについて、シニア世代の方にお勧めしたいのが「地中海食」です。

地中海食とは、イタリアやギリシャなどの地中海沿岸地域の伝統的な食事のことで、魚介類をメインに、オリーブオイルやナッツ、鮮やかな色の野菜や果物などの副菜が中心のメニューです。パスタやパンも食べますが、伝統的な地中海食では、全粒粉を使うので、精製したパンや白米などに比べて糖質は少ないのが特徴です。

これまでの研究によって、地中海食は心臓病や糖尿病のリスクを下げたり、認知症やうつの発症リスクを下げるなどの効果が報告されています*3,4,5。

幸いなことに、日本は海に囲まれていて、魚介類が豊富に採れますから、お魚料理をメインに、野菜とオリーブオイルを使った副菜を添えると、日本版の「地中海食」を再現できます。

ただし全粒粉のパンやパスタはなかなか日本では手に入りにくいので、玄米ご飯や雑穀米などで少量を摂るようにしましょう。

お魚は断然青魚がおすすめです。サバやイワシなどの青魚は、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)いう不飽和脂肪酸をたくさん含んでいます。EPAは脳や血管、皮膚の老化予防への効果が確認されており、DHAも脳機能を高める栄養素として知られていますから、積極的に摂るようにしましょう*6,7。

色鮮やかな野菜からは、脳の働きを助けるビタミン・ミネラル類が摂取できます。特にビタミンの一種である葉酸は、脳機能を高めるためになくてはならない栄養素です*8。葉酸は、ブロッコリーや芽キャベツ、豆類やほうれん草にたくさん含まれています。ただし、水に溶けだしやすく、熱で壊れやすい性質があるので、電子レンジで蒸して食べると効率よく摂取できます。

アンチエイジングのためには、食べる順番も工夫しましょう。先に食物繊維を含む野菜やナッツやタンパク質であるお魚などのおかず類から食べ、炭水化物は最後に食べるようにするのがポイントです。こうすることで食後血糖値の上昇を抑え、高血糖による血管や細胞へのダメージを防ぐとともに、食べすぎも防ぐことができます。 最後に、脳の老化を予防において何よりも大切なのは「美味しく食事を楽しむこと!」です。美味しそうな食卓は、見た目も香りも味も、脳にとって新鮮な刺激になり、脳を活性化します。決して無理をせず、楽しみながらアンチエイジングに取り組みましょう。

参考文献

※1:厚生労働省、食事摂取基準策定検討会資料「認知症と栄養」
※2:Japanese Society of Nutrition and Food Science. 20:99-104. 2014
※3:PLoS Med. 2020 Sep 9;17(9):e1003282.
※4:Neurology. 2023 May 30;100(22):e2259-e2268. doi: 10.1212/WNL.0000000000207176.
※5:Annals of neurology. 2013 Oct;74(4);580-91. doi: 10.1002/ana.23944.
※6:日本薬理学雑誌/151 巻 (2018) 1 号p. 27-33
※7:日本食品科学工学会誌/43 巻 (1996) 11 号p. 1231-1237
※8:Nutrition reviews. 2022 03 10;80(4);931-949.

脳寿命を延ばすコツ 第1回 「脳の老化予防に役立つ食事」

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