ケアプランとは?

介護の壁 第6回

 前回までの記事では、介護保険制度の概要や施設についてご紹介してきましたが、介護保険制度は専門用語ばかりなので、イメージが沸きづらいという方も多いかと思います。そこで今回は、架空の事例を用いながら、具体的にどのようなサービスをどの程度利用することができるのかを詳しく解説します。

目次

【ケース1】Aさんのケース 

 Aさんは、妻と二人暮らしをしている75歳の男性です。仕事を退職してからは趣味のゴルフや囲碁を楽しみながら生活していましたが、最近同じことを妻に何度も聞き返したり、買い物で小銭を出すのが億劫になったりと、生活に支障をきたすようになってきました。Aさんには息子が2人いますが、県外に家庭を築いているため、なかなか頻繁に会いに来ることは難しい状況です。入浴を渋ったり、トイレで失敗したりすることも多くなり、Aさんの妻の精神的な負担も増えてきたため、心配したAさんの息子が地域包括支援センターに電話をし、要介護認定を受けることに。判定の結果、要介護1の認定が出たため介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)に引き継ぐことになり、サービスを検討することになりました。

Aさんの希望

①趣味の囲碁で対局をしたい。

②最近膝が痛くなってきたこともあり、立ち上がりに不安がある。そのため、入浴が億劫になり、トイレにも間に合わなくなってきた。しかし、おむつは履きたくない。

③できるだけ妻と二人で、自宅で生活していきたい。

Aさんの希望を叶えるために介護保険でできること(要介護1の場合)

①趣味の囲碁で対局をしたい 

 Aさんはもともと趣味で囲碁を楽しんでいましたが、膝の痛みもあって最近では友人と対局したりする機会が減っていました。そこでケアマネジャーは、レクリエーションとして囲碁を行っている通所介護(デイサービス)を探し、利用することを提案。要介護1の場合、2か所の事業所を利用することができるため、火曜日は囲碁のできるデイサービスに、金曜日は専門職が膝のリハビリを行っているデイサービスを利用することになりました。デイサービスでは入浴介助も行っているため、自宅で無理に入浴することはやめて、介護員が見守る中、週に2回デイサービスで入浴を行い、自宅ではなるべく入らないようにしました。

②立ち上がりに不安があるため、トイレに間に合わなくなることもある。しかし、おむつは履きたくない

 膝の痛みがあることから立ち上がりの動作に時間を要するようになったため、トイレに間に合わず失敗することが多くなってきたAさん。妻は後始末が大変なことからおむつの着用をAさんに勧めましたが、プライドもありおむつを拒否されてしまいます。そこでケアマネジャーは、少しでも立ち上がり動作がしやすいように手すりの設置を提案。介護保険制度の住宅改修費の補助サービスを利用し、トイレと廊下に手すりを設置することにしました。補助金の上限は20万円ですが、自己負担額はかかった費用の1割(収入によっては2~3割になることもある)で済むため、Aさんは介護保険制度を利用して手すりを取り付けることにしました。寝室には住宅改修での手すりの設置が難しかったため、福祉用具のレンタルで置き型タイプの手すりを設置しました。ポータブルトイレの設置も検討しましたが、排泄物を妻が処理する手間がかかるため、妻の負担軽減のため利用は見送ることになりました。

③できるだけ妻と二人で、自宅で生活していきたい。

 自分で購入した自宅に思い入れのあるAさんは、出来る限り妻と自宅で生活することを希望しました。妻もAさんの希望を尊重したいとしていたため、今回が在宅での介護プランとなりましたが、今後認知症の症状が悪化したり、身体介護の面で妻の負担が増加したりすることが考えられます。そこでケアマネジャーは、施設を紹介するのではなく、妻が旅行やリフレッシュのために利用ができるように、妻に対して短期入所(ショートステイ)の利用に関する情報提供を行いました。

【ケース2】Bさんのケース 

 Bさんは一人暮らしをしている80歳の女性です。夫に先立たれてしまいましたが、友達の多いBさんは毎日友人たちと散歩に出かけたり、旅行に出かけたりと充実した毎日を過ごしていました。認知機能にも問題がなく、持病のないBさんでしたが、ある日友人と散歩中に転倒。救急搬送先の病院で大腿骨頚部骨折が判明しました。手術が必要だったためしばらく急性期の病院に入院していましたが、その後回復期の病院に転院。転院先の相談員から退院に向けて介護保険サービスを利用することを勧められたため、要介護認定を受けることになりました。入院中で車いすを使用していたこともあり、要介護認定の結果は要介護2。退院前に居宅介護支援事業所のケアマネジャーと契約を結び、退院後すぐに介護保険サービスを利用できるように準備することになりました。

Bさんの希望

①娘は県外に嫁いでいるため支援してもらうことは難しいけれど、自宅での生活を継続したい。

②リハビリを継続したい。

③食事は配食サービスのお弁当ではなく、手作りのものが食べたい。

Bさんの希望を叶えるために介護保険でできること(要介護2の場合)

①自宅での生活を継続したい

 要介護2というのは、一般的には一人暮らしが難しいと言われている介護度になりますが、適切な介護保険サービスを利用することで一人暮らしも不可能ではありません。介護認定を受けた時は車いすに乗っていたBさんですが、回復期病院でのリハビリを頑張ったおかげで、短距離であれば歩行器での移動ができるほどには回復しました。しかし、一人暮らしのBさんは転倒のリスクも大きいため、以前と同じような住環境では危険です。そのため、介護保険の介護保険制度の住宅改修費の補助サービスを利用して、廊下や玄関など必要なところに手すりを取り付け、トイレは和式便器から洋式便器に取り換えることにしました。

②リハビリを継続したい

 Bさんは怪我をする前は活発に活動していたため、リハビリを継続して少しでも以前のような身体機能を取り戻したいと考えていました。そこでケアマネジャーは、介護老人保健施設(老健)の通所リハビリ(デイケア)を週3回利用することを提案。デイケアで理学療法士による歩行訓練と入浴介助を受けることになりました。

③食事は配食サービスのお弁当ではなく、手作りのものが食べたい

 食事にもこだわりのあるBさんは、お弁当ではなく手作りのものが食べたいと希望したため、訪問介護の生活援助を利用して、ヘルパーに食事を作ってもらうことに。食材は遠方に住む娘にお願いし、あらかじめネットスーパーで注文したものを使ってもらいました。時間内で数食分作ってもらい、ヘルパーが来ない日は自分で電子レンジを使って温めて食べることで、Bさんの希望を叶えることができました。

まとめ

  怪我や認知症によって要介護状態になったとしても、介護保険制度を利用することによって以前と同じように自宅で生活することは可能です。公的なサービスなのでやれることに制限はありますが、自分の好きなこと、やりたいことは遠慮せずにケアマネジャーに伝えてみることをおすすめします。

 また、介護をする人にとっても介護保険制度は大変頼りになる制度です。介護を受ける側の希望も尊重しつつ、自身の介護負担が少しでも減るように、適切に介護保険サービスを利用できると良いですね。

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