介護の壁 第1回 「介護の一歩」

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「介護の一歩」

生涯現役で働きたいというシニアにとっても、避けては通れない課題であるのが「介護」といえるのではないでしょうか。超高齢化社会である日本において、既に若くして親の介護に苦労している「ビジネスケアラー」、そして、「介護離職」というワードも話題となっていることはご存知かと思います。

配偶者や家族の介護という状況に直面して戸惑う人も多いです。事実、この記事を書いている私自身も実の親、義理の親の双方の介護という状況「壁」に直面しました。どう乗り越えていくべき「壁」なのか、何の知識もない状況で困惑はとても大きかったです。そのような経験も踏まえ、介護に関する基礎情報から、自分自身の介護予防(フレイル予防)に関しても、このカテゴリーで取り上げていきたいと思います。まず、第1回の今回は「介護の一歩」として、基礎の「き」から始めます。

そもそも介護って何?

介護の定義とは、高齢者や病気、障害を抱える人が、日常生活上の機能や活動に支障を感じる際に、その生活や健康をサポートするための活動やケアとなります。主に身体的な介助だけでなく、心理的・社会的なサポートも含まれます。介護の目的は、被介護者ができるだけ自立して生活できるように支援し、QOL(生活の質)を向上させることです。

介護の範囲は広く、具体的な活動は被介護者の状態やニーズに応じて異なりますが、一般的な介護活動の例は以下となります。

① 身体介護:入浴の補助やトイレの介助、衣服の着脱のサポートなど、被介護者の身体的なケア。

② 食事の支援:食事の調理や食事の摂取の補助、食事環境の整備など。

③ 移動のサポート:車椅子の操作や歩行のサポート、ベッドから椅子への移動など。

④ 認知機能のサポート:認知症などの状態に対応するためのコミュニケーションや環境の工夫。

⑤ 医療サポート:薬の管理や医療機関への付き添い、健康状態のモニタリング。

⑥ 精神的サポート:被介護者や家族の心理的なケアやコミュニケーションの提供。

⑦ 生活全般のサポート:日常の買い物や家事のサポート、社会参加の支援など。

また、介護は専門的な知識やスキルが必要であり、介護者が安全かつ効果的なサポートを提供するためには、適切な訓練や経験が求められます。ですので、まず、配偶者や家族がこのような支援が必要そうになった時には「地域包括支援センター」に相談することがはじめの一歩となります。

地域包括支援センターとは?

端的に言ってしまうと、地域包括支援センターとは高齢者の「総合相談」、「権利擁護」や「地域の支援体制づくり」、「介護予防に必要な援助」などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として設置されたよろず相談の窓口になります。

原則、市町村が定める日常生活圏域ごとに設置されていて、令和4年4月末現在、その数は全国で5,404ヵ所、支所を含めると7,409ヵ所が設置されています。所在場所については、お住まいの市町村のwebサイトで検索が可能です。<出典:「地域包括支援センターについて」(厚生労働省)>

また、今、被介護者が通院している病院が紹介もしてくれます。

地域包括支援センターの業務

主な業務は以下となります。

・総合相談支援業務:住民の各種相談を幅広く受け付けて、制度横断的な支援を実施

・権利擁護業務:成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応など

・介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業):要支援・要介護状態になる可能性のある方に対する介護予防ケアプランの作成など

・包括的・継続的ケアマネジメント支援業務:「地域ケア会議」等を通じた自立支援型ケアマネジメントの支援/ケアマネジャーへの日常的個別指導・相談/支援困難事例等への指導・助言

配偶者や家族が自力での生活が難しくなったとき、もしくは、退院後に不安を感じたような時には、まずは地域包括支援センターに連絡を取り、介護保険の申請を行ってください。

介護保険とは

介護保険は、高齢者や障がいを持つ人々が、必要な介護サービスを受けるために利用するための制度です。日本の介護保険制度は2000年に導入され、高齢者や障がい者、認知症患者などがより良い生活を送るための支援を提供しています。介護保険は、国や自治体が運営し、被保険者が介護サービスを受けるための枠組みを提供します。

介護サービス認定の申請にあたっては、まずは地域包括支援センターに電話などでの相談を行います。申請は被保険者本人でも家族でも可能です(本人、家族以外にも、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者、介護保険施設の職員の代行申請も可能)。

原則としては、要介護、要支援状態となった65歳以上の第1号被保険者の方が対象ですが、加齢によって生じる16種類の「特定疾病(末期がんや若年性認知症などの難病)」と診断された場合に限り、第2号被保険者である40歳以上64歳以下の方も介護保険サービスを利用できます。

申請後は、主治医意見書や市町村職員による訪問調査が実施され、申請から30日以内に介護度が決定されて認定結果が通知されます。要介護、要支援と認定された方には、「介護保険被保険者証」と一緒に、自己の負担割合が記されている「介護保険負担割合証」も郵送されます。

介護事業者に支払う費用の自己負担割合は一般的には1割ですが、280万円以上の所得のある場合は負担割合が異なってきます。

介護保険の詳細の仕組み、また、要介護、要支援の認定の基準区分については次回の記事で取り上げていきます。

とにかく、配偶者や家族で介護が必要と思ったら、まずは、地域包括支援センターに相談を行うということをされてくださいね。

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