綺麗!素敵!で高齢者を元気に

介護の仕事では高齢者の意欲を引き出すことも重要

「介護は何かをしてあげるという考え方がベースですが、その方が何をしたいかという意欲を引き出すことも重要だと思いました。そして、意欲が出てきたら、一緒に伴走する。つまり、綺麗になるということは高齢者の方の意欲を引き出すための、一つのツールになると思ったのです」

さらに、綺麗の効果は性別に関係はないと山田さんは続けます。

「これは、男性でも同じことなのです。例えば、男性の方に眉毛をちょっと整えてあげて、そこで若い女性職員が「カッコいい」と言う。すると、その方の背筋がシャンとしますよ。写真撮影の時もそうですけど、髭を剃ってフェイシャルマッサージをして、そのあとネクタイをきちんと締めるだけでも、姿勢が良くなったりするのです。そうして、周りにいるギャラリーが「わぁ~素敵」って言うと、男性もさらに凛とされると(笑)」

ピュアなアンテナと行動が再びシンクロ

直感との出会いにピュアに行動をする山田さん。そして、次なる出会いが遺影用の写真のない利用者の方の存在でした。その方は10年も施設に入っていたものの、写真が1枚もないという事実に山田さんのピュアなアンテナが反応したそうです。

「であれば、私が施設の利用者の方の写真を撮ってあげよう!と思ったのです。そうしたら、そんな矢先に西本貴美子さんという95歳のアマチュア写真家の方にお会いしたのです。写真を撮ろうと考えていたタイミングで写真家に会った。それならば、本格的に写真を習ってみよう!と思ったのです」

その時点では、その後にフォトグラファーを仕事にするなどと思ってもいなかった山田さん。50歳という年齢的にもフォトグラファーなど無理だと思っていたそうです。しかし、友人らの励ましや西本さんのご子息からも勧められて気持ちがグッと動いたとのこと。

喜んでもらいたいし、もっともっと喜んでもらいたい

「皆さんからすごくいい仕事だからやるべきだと言われました。介護も美容も好き。それに、徐々に写真のことも好きになって……。好きなことが仕事になるのであれば、それも素敵かもしれないと思ったのです。それで、施設を退職して2019年からフリーのフォトグラファーとして活動を始めました」

お化粧をしてあげたら、喜んでもらえた。そして、綺麗になったその姿を写真に撮ったら、更に喜んでもらえた。山田さんの中ですごく自然な流れというか、足りないものを足していったら、フォトグラファーに行き着いたのでした。

「フォトグラファーという仕事は機材も重いので体力的には大変ですし、そんなに収入が多いわけではないから楽ではないです。でも、喜んでもらいたいし、もっともっと喜んでもらいたいという思いで心がいっぱいなので、続けていけると思っています」

我流ではあるものの、多くの人が写真を撮れるようになって、多くの高齢者のところに行ってもらいたい。自分の同世代の女性たちにも、50歳からでも新しいことが始められることを伝えたいという思いでフォトグラファー養成講座も行っている山田さん。綺麗と素敵の表現者としての活躍の場はますます広がっていくことでしょう。

高齢者ポートレート
Photo by Mayumi Yamada

*注釈:ホームヘルパー2級の正式名称は訪問介護員2級養成研修過程。介護スキルを証明する資格で利用者の自宅に訪問して生活をサポートする人のことです。介護に関しては資格が多数存在して、受験資格も複雑であったため、2013年4月に資格制度が変更となりました。それに伴って、名称も介護職員初任者研修に変更され、ホームヘルパー2級という資格は廃止されました。

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