シニアの出向、移籍の斡旋を無料で実施

働く意欲があり、能力、経験が豊富な60歳以上の方と、その能力、経験を必要とする企業をマッチングさせる「キャリア人材バンク」。2016年の設立以降、徐々に実績を上げ続けています。今回はその「キャリア人材バンク」を運営する公益財団法人 産業雇用安定センター業務部の金田(かなだ)弘幸部長(写真左側)と小西紀男さん(写真右側)にお話を聞きました。

まず、産業雇用安定センターについてお伺いします。

当センターは、1987年に円高が急激に進み、重厚長大系の産業から離職者が多く出るのではないか、雇用保険の財源が枯渇するのではないかという危機感から、当時の労働省、日経連、産業団体が協力し合って出来た団体です。キャッチフレーズは「失業なき労働移動」。主な事業は、人材を送り出したい企業と受け入れたい企業の間に立って、出向、移籍の斡旋を無料で実施することです。

ー無料ですか。

そうです。雇用保険の企業負担分を財源として国から補助金がでているので無料です。

ーその産業雇用安定センターの事業のひとつが、高齢者の再就職をサポートする「キャリア人材バンク」ですね。

労働力人口が減少している中で、高齢者も生涯現役として活躍して頂く必要があるのではないかと。これは、ご本人の生きがいだけでなく、日本の経済の活力を維持向上させるには不可欠だと思います。そのような考えから、働く意欲があって、能力、経験が豊富な60歳以上の高齢者と、その能力、経験を必要とする企業との間をマッチングさせるシステムを全国各都道府県の47か所で展開しています。

ー登録からマッチングまでの一連の流れを教えて頂けるでしょうか。

最初に企業の人事担当者様が、退職予定で在職中の60歳以上の方、特に65歳で継続雇用が終了する方に対して「キャリア人材バンク」を紹介します。そして、その人たちが「キャリア人材バンク」への登録を希望されると、人事担当者様は産業雇用安定センターに再就職支援を依頼します。

その後、登録を希望される方は、担当コンサルタントと面談を行い、ご自身のキャリアシートと希望の職種、収入、キャリア、スキルといった求職情報を作成します。このような段階を経て、「キャリア人材バンク」への登録、再就職活動のスタートとなります。

金田弘幸部長

そして、コンサルタントは登録者と面談を重ね、求職情報の整理と求人に対する要望を伺い、私共が収集した事業主からの求人情報を紹介します。その中から、ご希望の企業を選んで頂き応募してもらいます。こちらに関しても全く費用はかかりません。無料です。

ー登録をするのに、年齢の制限はあるのでしょうか。

ご依頼を頂いた企業に在職中で、60歳以上の方であれば、上限の制限はありません。

ー個人でも登録は出来るのでしょうか。

出来ます。私共は基本的に事業主、つまり企業側からの依頼を受けて支援を行いますが、「キャリア人材バンク」だけは、個人でも登録ができます。その場合、年齢は60歳以上70歳以下で、在職中の方か、離職後一年以内の方になります。

ー離職した方は一年以内でないと登録できないのですね。

私共は基本的に在職中の方を支援しておりますが、離職後一年以内であれば、在職中に限りなく近いということで支援を行っています。

ーこの「キャリア人材バンク」を始められたきっかけは何でしょうか。

小西紀男さん

高齢者も女性も障がい者も色々な人が社会に出て活躍しなければ、日本の活力は維持向上出来ないという、一億総活躍社会の実現という政策が、政府から打ち出されました。

それを受けて、「キャリア人材バンク」を立ち上げました。

ーそれはいつ頃でしょうか。

2016年です。始めた当初は、すぐに普及しなかったこともあって、ほとんど実績がありませんでしたが、翌2017年からは徐々に成果が上がってきました。

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