シニアの学び直し(1)

東京セカンドキャリア塾・プレシニアコース

東京都が主催している「東京セカンドキャリア塾・プレシニアコース」。都内在住または都内企業に在勤しているプレシニア(54歳〜64歳)を対象として、定年後のセカンドキャリアを考えるために行われている勉強会です。今年も既に第1期が10月に開校されていて、第2期が12月、第3期が来年の2月に開校の予定。

受講のスタイルは各期共に就業しながら通う2ヶ月間の平日夜間コースと土曜日に集中して受講する1ヶ月間のコースの2つが用意されています。ただ、受講料が無料でありながらも非常に内容が濃いため、毎年、受講希望者が殺到するという状況なのです。そのため、応募すれば参加できるという形式ではなく、説明会を受けたのちに参加応募、そして、面接による審査を受けて受講資格を得るという流れとなっています。また、コースの内容としては、2時間1コマの授業を合計8コマ受講したのち、シニアが退職後に活躍している企業に訪問して実際に職場を体験するという充実したカリキュラムとなっています。つまり、受講する側も真剣でないと学べないということですね。

定年後の再雇用という選択肢

今回は、この東京セカンドキャリア塾・プレシニアコースの受講経験もあり、都内の大手企業に勤務されている竹之内敬介さん(62才)にお話を伺いました。定年後に再雇用という選択をされた竹之内さん。在職されている会社でも定年後に関するセミナーもあったそうです。

「まだ定年が切実ではないタイミングに、会社でライフキャリアセミナーがありました。年金や給料のシミュレーションや、住宅ローンや子どもの教育費をどうするかなどの話がありました。同期やその前後の社員が集まっていたのですが、全く切実な感じはなかったですね」

しかし、実際に60歳が近づくにつれて、それまで借金の話や給与の話などオープンにしていた状況からそうではない雰囲気になっていったと。同世代の間でも給与の格差がある以上、腹を割って話をするというのも難しくなったそうです。

「東京セカンドキャリア塾は、57才か58才のときに、定年や退職、起業のことが気になって、本やネットを調べたりしている中で偶然見つけました。セカンドキャリア塾は、基本的に同じ会社の人間はいないですし、超大手企業の方や主婦で起業を考えている方等、いろいろな方が集まっていたので、会社ではできない話を全く気を遣わずにオープンにすることができました」

竹之内さんの会社でも役職定年を機に給与が下がることに。

「同期の間でどうしようかという話は出ますが、転職した人はいなかったと思います。みんな50代で転職するのは難しいと思っているので、転職する人はもっと早く会社を出てしまいますからね」

人事権がなくなったりしたものの、役職定年は仕方ないなという気持ちで受け入れたという竹之内さん。好きな仕事ができ、給与をもらっていると前向きに考えないと辛くなるという本音もポロリ。

「いろいろなことを知っておかないと判断できないと思い、セカンドキャリア塾にも参加しました。ただ、好きな仕事をしていたので、最終的には再雇用以外は考えませんでした。世間でよく言われるような、年下上司との問題もなく、楽しく仕事をしています」

引き際は自分の存在意義

国の方針として、70歳までの雇用延長を各企業に努力義務化する方向性になっている現在。何歳まで現状の会社で勤務されたいかをお訊きしてみました。

「再雇用であっても、仕事上のチャレンジはさせてもらえていますので、面白い仕事ができています。しかし、仕事が楽しいと思えなくなったとき、あるいは、上司や部下が私を必要としなくなったときは、引き際なのだと思います。今は1年ごとの契約で、少なくとも65歳までは会社にいられるとは思いますが、70歳位まで安心して働ける土壌があったらいいなとは思います。70歳といっても、元気な方も多いですからね」

定年退職と共に社会との繋がりが薄くなるのが一般的ですが、竹之内さんは定年前ごろから積極的に活動されだしたとのこと。

「妻にも、定年前ぐらいからあちこちに顔を出すようになってきたよねと言われています。東京セカンドキャリア塾もそうですが、立川ビルボードという市民活動団体にも参加しています。立川周辺のアートやカルチャーの情報をネット上で発信していて、そこにライターとして記事を書いています」

さらには、キャリアコンサルタントの金澤美冬さんが主催している「おじさんLCC(ライフキャリアコミュニティ)」というコミュニティーにも参加。おじさん達が悩みを共有したり、いろいろな意見を聞いたりしながら、自分の今後を見つけていくということをやっているそうです。

「昨夜もオンラインで3人1グループになって、過去を振り返って将来を考えるということをやりました。初めてお会いした方々でしたが、異業種の方の苦労話や成功談をお聞きして、まだ自分が知らないことも多いなと感じました。会社を退職すると、人との繋がりは確実に少なくなります。誰かと繋がっていて、どこかに行けば会えるという関係がないと、どんどん孤独になっていきそうです。おじさんLCCには、大人の遠足部、読書部、資格取得部などいろいろな部活動があります。自分の興味のある部に顔を出して、みんなで話をしたり、第二部と称して飲みにも行ったりしています(笑)」

人生は選択の連続ともいわれます。選択のためには、様々な情報を知っているほうが後悔するリスクも下がるのは当然のことです。転ばぬ先の何とやらではないですが、早め早めに情報収集を始めることが大切ですね。 竹之内さんも参加された東京セカンドキャリア塾・プレシニアコースの第2期の募集が開始されましたので、ご興味のある方は是非にチェックされてみて下さい。

立川ビルボードHPはコチラ

おじさんLCC HPはコチラ

東京セカンドキャリア塾・プレシニアコース

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