介護の水先案内人“お節介士”という資格

呼んでもらって、仕事が続き、専門度が深まっていく

もともと仕事大好き、挑戦大好き人間なんです。最初の仕事は歯科助手、つぎにコピー機会社の総務部契約社員、そのときパソコンにひかれ専門学校でベーシックプログラムを学び、パソコンの資格を取りました。結婚後、不動産会社に務める友人から物件情報がネット利用に移行するのでうちへ来ないかと誘われ、そこでも宅建の資格を取りました。資格試験に挑戦するのが好きなんですね、きっと。

娘の出産を機に退職して1年ほど専業主婦をしていましたが、義母の狭心症が悪化し義父はまだ現役でしたので同居することにしました。夫の実家があるのは小さな町で情報の伝達が早く、私の経歴が伝わると求めなくても仕事の依頼がきて、縁のなかった介護や福祉に携わることになりました。ここでの学びが大きかったですねえ。

新たなご縁との出会い

そこでの仕事を辞めてから医療事務を学びたいとハローワークの職業訓練に参加すると、またまたご縁が生まれました。

接遇(面接スキル)の先生の引き合わせで不動産、介護、 IT技術の3つの強みを見込まれ、介護のポータルサイトの立ち上げを計画していた会社の取締役部長として採用されたのです。県のすべての介護施設といくつものデイサービス、部下とともに取材しウエブサイトで紹介していきました。

経営会議では徹底的に「数字で出せ」と叩かれ、鍛えられました。そのことは今とても役立っていますが、社長の方針転換に納得できず退職。そして人生のテーマである介護者と専門家をつなげる事業をしたいと起業しました。

これはという方にプレゼンして、修正、また修正

起業するのに2年。最初の1年は人を“頼りに頼り”ました。介護の世界のこれはという人にお節介士の企画を見てもらい意見を聞き、修正、また修正。するとその方々に応えなくてはと自分の意気も上がる。起業への挑戦が続けられたのは「人に頼る」ことだったと思います。

夫には「借金だけはしないで」と言われていたのですが、最初は採算が取れず、もうだめかな??となると不思議に仕事が入るという繰り返しでした。


これからの課題

だれもが「セルフケアラー」にならなくてはと伝えたい。介護をされるのは嫌だなあ、で思考停止ではいけません。自分で自分のケアラーになるのを目指す時代です。

お節介士になって良いことは、自分の将来の見通しができることです。誰しもお一人様になる時代「セルフケア能力」を高めることが大切です。できれば年代の違う仲間をつくり、学び、情報を得ること。

例えば、要介護2になると150万円おりる民間の介護保険があります。では、そのお金をどう使うのか。自宅でできるだけ暮らしたいなら、月々の費用に消費せず家のリフォームに使うことです。

お風呂を自動で管理できるものに変える、キッチンを車椅子でも料理できるようにする、トイレの戸を介助しやすく車椅子でも入れるように広げておく、など。これはひとつの例ですが、だれもが40歳で介護保険に入る。そのときから、介護を語りあい、想像力を広げ備えていきたいですね。

2010年から男性介護者の会「TOMO」の運営を手伝っています。妻や親を介護する男性たちが、仲間と語り合う場です。

「TOMO」では、妻や母親を見送ったあとも集まりに参加し、介護経験者が支援者となって運営しています。介護が終わった後は、自分の介護を考える場としても機能しています。こういう場が、企業内や地域にあればと思います。
私の事業に興味を持ってもらうためには、「えっ、そうなの?」と目から鱗が落ちるような情報を発信していくことが鍵だと思っています。

「A C P(人生会議)」、人生の最終段階でどのような最期の迎え方をするか、本人と専門家が話し合って決めることですが、本人に意思表示ができない場合治療の選択を誰に託すのか?
最近、厚労省のガイドラインが変わり、必ずしも戸籍上の親族でなくても日頃の思いや意思をよくわかっている親しい友人(事前に文書で指定)に最終判断を託すことができるようになりました。そういうことを知らない人がほとんどです。ですから「じゃあ私は誰に託そうか」と考えるきっかけになるような情報を届けることが大事なんです。

仲間といて楽しい、社会に貢献できる、その2つで仕事を選ぶ

起業したときは、お金のためだけではなく、仲間との信頼関係があって一緒に仕事をするのが楽しい、社会に貢献できると信じられること、このふたつがなくては続かないと思い、行動してきました。
自身で「お節介士養成講座」が開ける資格を得る「ケアライフアドバイザー養成講座」も開催。お節介士たちが高齢社会を明るくしていくと期待しています。
私のしていることが必要なことなら続いていく。続いていくならそれは社会が求めているから。そう心を定めています。

参考
http://elder-life.org
ケアライフアドバイザー(シニアお節介士)(職場内お節介士)などたくさんのサービスが掲載されています。

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