転ばぬ先の現代学 (2)

「再就職手当をもらわないほうがいい??」

実際のウヅキの花である「卯の花」の開花期は5月以降ですが、4月は和風月名で卯月。おからで作る和の定番おかずも「卯の花」といいますが、おからの色がウヅキの花の色に似ているからだそうですね。でも、一般的な4月のイメージといったら桜ではないでしょうか。今年の開花は例年よりも遅かったですが、今日あたりはまさに夜桜で一杯という方も多いのでは。

さて、ネットの検索でのトレンドを調べていたところ、「再就職手当」が急上昇していました。フレッシュな新入社員の季節なのに?と思う方も多いでしょうが、実は、雇用保険資格喪失者数がダントツで多いのは4月なのです。すなわち、退職がダントツで多いのが3月ということ。シニアの定年退職は誕生日月なので集中していることはないですが、日本の場合、退職は3、6、9、12月という節目で多くなっています。これは、年度末、期末、さらには、ボーナスが出てからといった要因が背景にあるのでしょう。そして、会社を辞めるとなると気になるのは失業保険。よって、「再就職手当」の検索が急上昇ということなのです。

これまでの転職回数が多かったシニア、プレシニアの方でも厳密に制度の内容を記憶しているという人は少ないでしょう。さらには、検索する人が多いという背景にはメリットだけではない制度と知って検索しているという事情もあるのです。

1. 離職をすると・・・

雇用保険に加入している従業員の人が失業をした場合、以下の3つの条件を満たすことで雇用保険から「失業者給付」を受けることができます。
1. 積極的に就職しようとする意志があること
2. いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること
3. 積極的に仕事をさがしているのもかかわらず、現在職業に就いていないこと

「失業保険」ともいわれていますが、失業期間の支援として「賃金日額」(離職前6ヶ月間し支払われた賃金の合計金額を、180で割った金額)の45%~80%を「基本手当日額」(年齢と賃金日額により算出*上限あり)として被保険者の期間、年齢、離職理由、障害有無等の条件で定められた90日~360日の所定給付日数分、給付を受けることができます。
*但し受給期間として離職日の翌日からの1年間しか受給されません。

 離職をした場合管轄のハローワークへ求職の申込を行います。受給資格が決定されますとその日が「支給決定日」となり、その日から7日間の待機期間を過ぎた後支給開始となります。
*但し自己都合での退職の場合、待期期間満了の翌日から原則2か月間(過去5年間に2回以上自己都合で離職している場合は3か月間)の「給付制限」があり、制限が終わった翌日からの支給開始となります。

2. 早期に再就職すると・・・

支給開始後早期に就職先が決まった場合、支給残日数に応じて「再就職手当」が支給されます。再就職手当は、雇用保険を受給している人が、できるだけ早い機会に再就職できるようにハローワークが援助することを目的とした制度であり、以下の支給条件を満たすと支給されます。
1. 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
2. 就職先での雇用が1年を超えて見込まれること(契約更新制でも可)。
3. 待機7日間満了後の就職であること。
4. 離職理由による給付制限を受けた場合は、給付制限期間の最初の1ヶ月間は、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者等の紹介により就職したものであること。
5. 離職前の事業主(関連事業主)に再び雇用されたものでないこと。
6. 就職日前3年以内に、再就職手当等の支給を受けていないこと。
7. 手続き開始(求職申込日)前から内定している事業所でないこと。
8. 週20時間以上(雇用保険の被保険者)となる雇用であること。
(自営の場合は、安定的に事業継続している等の基準が別にあります)

支給残日数を基準に支給額は下記の2パターンがあります
1. 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残し再就職をした場合
 基本日額手当×支給残日数×70%
 (例)基本手当日額4,000円、所定給付日数90日の人が支給残日数60日で就職の場合
    4,000円×60日×70%=168,000円の再就職手当支給

2. 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満残し再就職をした場合 
  基本日額手当×支給残日数×60%
 (例)基本手当日額4,000円、所定給付日数90日の人が支給残日数59日で就職の場合
    4,000円×59日×60%=141,600円の再就職手当支給

3. 再就職手当受給のメリット

1. まとまったお金が入ってくる
失業者給付により失業時の収入の補填とはなりますが、早期に再就職することで給与+再就職手当が入ってきますのでまとまった収入を得ることができます。
2.「就業促進定着手当」の支給対象となる
再就職手当を支給した人が6ヶ月以上雇用され、かつ6ヶ月間の賃金日額が前職の賃金日額より下回った場合、就業促進定着手当として追加で給付が受けられます(上限あり)。
(例)前職の賃金日額10,000円、再就職の賃金日額9,500円の場合(6カ月=183日で計算)
   (10,000円-9,500円)×183日=91,500円の支給 *但し最初の6ヶ月分のみ

4. 再就職手当受給の際の注意点

1. 支給残日数によって支給額が変わる
支給残日数は「就職日」から数えた日数です。就職日とは「働き始めた日」の事であり雇用主から採用通知等を受け取った日ではありません。これが3分の2以上と未満では支給割合が変わりますし、もし3分の1に1日でも満たないと支給はされませんのでご注意ください。
(例)所定給付日数90日の場合
就職日が支給残日数60日以上→支給残日数分×基本手当日額の70%支給
就職日が支給残日数30日~59日→支給残日数分×基本手当日額の60%支給
就職日が支給残日数29日以下→再就職手当の支給はありません(0円)

2.「高年齢再就職給付金」が支給されなくなる。
60歳以上の人が再就職をする際に条件により高年齢再就職給付金が支給されるのですが、再就職手当の申請をしてしまうとこの給付金の支給対象外となってしまうので注意してください。

まとめ

再就職手当は金銭面においてはメリットが大きいですが、あくまでも一時的な金額でしかありません。再就職手当を目当てに就職先を決めてしまい、結果短期で離職してしまうようなことがあってはなりません。希望する業種、職種がありその求人があれば早期に再就職した方が良いですが。そうで無い人は所定給付日数の間は給付金が入りますので、今後の方向性の検討や自己研鑽にその時間を使うことで今後の職業人生に役立てても良いのではないでしょうか。

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