シニアの栄養管理 第5回
毎年夏バテと呼ばれる、夏特有の症状に悩まされている方は少なくありません。「夏バテは暑い時期は仕方ない」と思うシニアの方もいるかもしれませんが、生活習慣の見直しにより夏バテは予防もできるのです。今回は生活習慣の中でも食事に着目し、夏バテを予防する食事の摂り方を紹介します。なぜシニア世代が夏バテに気を付けなくてはならないのか、理由も紹介していますのでぜひご覧ください。
夏バテの原因と症状を解説
まずはなぜ夏バテになるのか、どんな症状が現れるのか説明します。
夏バテの主な原因
・室内外の気温差に身体が対応しきれない
・暑さが原因で寝不足になる
・汗をかくことでミネラルを失う
・冷たい食べ物や飲み物を摂りすぎてしまう
そもそも夏バテは、屋内外の急激な気温差に身体が対応しきれず、自律神経が乱れて起こると言われています。ほかにも寝不足や、汗を大量にかくことによってミネラルを失うことも、夏バテの原因です。
また、暑いと冷たい食べ物や飲み物ばかり食べてしまいますが、胃腸の働きを低下させる原因となります。元々自律神経が乱れていたところに、冷たい食べ物を食べることでさらに胃腸の働きが低下し、消化不良や食欲不振を招きます。
夏バテの主な症状
倦怠感 疲労感 食欲不振 集中力低下 など
夏バテになると「何となくだるい」「しっかり休んだのに疲労感が抜けない」「食欲がわかない」「ボーっとしてしまう」といった症状が現れます。毎年暑い時期になると上記のような症状が現れる方は、夏バテ対策が必要です。
夏バテがシニア世代にもたらす不利益
「夏バテは涼しくなれば徐々に治まるから、放っておいても構わないのでは?」と思いますが、近年暑い時期は6月から10月ごろまでと長い期間続きます。その間ずっと夏バテになっていると、仕事やプライベートに影響が及ぶでしょう。
また、シニア世代が夏バテになると、食欲不振から低栄養や持病の悪化につながる可能性があります。これが「たかが夏バテ」と侮ってはいけない理由です。人によっては急激に健康状態が悪化し、QOL(生活の質)が下がってしまうことも懸念されます。毎日をイキイキと過ごすためにも、この夏は夏バテ防止に努めてみましょう。
夏バテには食事の摂り方に工夫が必要
夏バテを予防するには、運動や睡眠など生活習慣の改善も必要ですが、この記事では食事でできる対策方法5つをご紹介します。
【対策1】冷たいものばかり食べない
先ほども触れたように、暑いと冷たいものばかり選びがちですが、温かい食べ物も取り入れましょう。例えば朝食に温かいスープを取り入れると、夜間に冷房で冷えた身体を温めてくれます。忙しくて手作りできないときは、インスタントのスープでもOKです。食事がすべて冷たいものにならないよう、気を配れるといいですね。
【対策2】たんぱく質をプラスする
夏場はそうめんやうどんなど、喉ごしのよい麺類が恋しくなりますが、これらの食べ物はたんぱく質が不足します。そうめんやうどんはぶっかけにして、上に豚しゃぶや鶏ハムを乗せると無理なくたんぱく質が補給できます。同時に野菜もプラスできると理想的です。
【対策3】香辛料や香味野菜で食欲増進
食欲がわかないときは、香辛料や香味野菜を活用しましょう。
香辛料 カレー粉 唐辛子 わさび 辛子 など
香味野菜 大葉 ねぎ みょうが にんにく しょうが など
例えば野菜炒めにカレー粉をプラスするだけで、食欲が刺激されます。さっぱり食べたいときは香味野菜をプラスするとよいでしょう。
【対策4】ビタミンB1を積極的に摂る
ビタミンB1は糖質をエネルギーに代謝する栄養素です。不足するとエネルギーへの変換効率が悪くなり、倦怠感や集中力低下の原因となります。また、ビタミンB1は水溶性(水に溶ける性質)のため、毎日コンスタントに摂取しなければなりません。
ビタミンB1は以下の食品に多く含まれていますので、食事に積極的に取り入れてみましょう。
【ワンポイント】どうしても食事でビタミンB1が摂りづらいときは…
本来は食生活を改善するのが第一ですが、どうしても食事から摂取しにくいときは、サプリメントの利用もよいでしょう。ただし、服薬している場合は飲み合わせがよくない可能性もあるため、かかりつけ医や薬剤師に相談しましょう。
【対策5】ミネラルを補給する
汗とともにミネラルも失われています。ミネラルが不足すると身体の機能のバランスが崩れ、夏バテを増長させることになるため、たっぷり汗をかいた日はミネラルを補給しましょう。汗をかいたときは、麦茶やスポーツドリンクなど、ミネラルを含む飲み物を選ぶのがおすすめです。
食事では、乳製品や肉、魚を積極的に摂り、カルシウムや鉄などのミネラルを補給するとよいでしょう。
食事の摂り方を工夫して夏バテを予防
たかが夏バテと侮ると、食欲不振により栄養状態が悪化する可能性があります。特に持病を抱えている方は、状態が悪くなる原因となりますので、注意が必要です。夏バテを予防するためにも、今回紹介した食事の摂り方のポイントを参考にしてみてくださいね。今年の夏は夏バテを予防して元気に過ごしましょう。
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