シニアの栄養管理 第2回

「たんぱく質だけたくさん食べてもダメ?」

シニア、プレシニアの方々にとって、生涯現役で働いていくためには身体づくりは重要なテーマですね。そして、年齢に左右されない元気な体をつくるためには、たんぱく質が必要です。しかし「たくさん食べるほど筋肉がつくから」といってたんぱく質ばかり食べても、効率がよくないのはご存知でしょうか。今回はたんぱく質を活かすために必要な栄養素についてまとめてみました。

目次

たんぱく質を活かすには炭水化物が必要

たんぱく質を体づくりに活かすには、炭水化物も必要です。炭水化物の役割は体を動かすエネルギー源。効率良くエネルギーに変わるため、体はまず炭水化物をエネルギー源として利用します。その炭水化物が不足すると、脂質やたんぱく質をエネルギー源として利用するため、筋肉を分解してエネルギー源にすることもあるのです。いくらたんぱく質をしっかり摂っても炭水化物が不足すると、かえって筋肉が減る原因となってしまいます。

極端な炭水化物抜きダイエットなどや、激しいスポーツをしない限り、起こりにくいことではあるのですが、可能性としてゼロではありません。というのも、近年世代を問わず糖質制限が流行っているからです。

糖質制限とは?

そもそも糖質制限はダイエット法の一種で、糖質(ご飯、麺類、砂糖、芋類など)の摂取量を減らす分、たんぱく質などのおかずは好きなだけ食べていいというもの。従来のダイエット法のように食事全般を減らす必要がなく、主食だけを減らせばいいという手軽さが人気の理由です。

ご飯や麺類をたくさん食べていた方は結果が結びつきやすい反面、より体重を減らすために糖質を過剰に減らしてしまうケースもあります。しかし、糖質は必ずしも悪いものではなく、体を動かす大切なエネルギー源です。極端な糖質制限を続けると筋肉が減ったり、内臓に負担をかけたりと健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

シニア世代はどれくらい炭水化物(糖質)を摂るべき?

シニア世代(50歳以上)は1日のエネルギーのうち、50~65%を炭水化物で摂るのが理想です。

例:必要エネルギー量が1,650kcal / 日の場合

1,650kcal×50~60%=825~990 kcal 炭水化物は1g4kcalなので…825~990kcal ÷ 4kcal=206~247.5gの炭水化物が必要な計算になります。なお、茶碗1杯のごはんには55.7gの炭水化物が含まれています。3食でごはんを1杯ずつ食べ、おかずを食べるとちょうど必要な炭水化物が摂れるでしょう。

参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)

たんぱく質を過剰摂取するとどうなる?

先ほどたんぱく質ばかり摂っても、体づくりに利用されにくいと説明しました。それどころか、内臓に負担をかけてしまいます。

体づくりの材料として使われなかったたんぱく質は、尿中に排出されます。排出されるまでの過程でアンモニアという有毒物質に変換されるため、肝臓で無毒化して腎臓で尿に変換する作業が必要です。つまり、肝臓や腎臓などに大きな負担がかかります。 たんぱく質ばかり多く摂っても体づくりに活かされないどころか、かえって健康に悪影響を与える可能性があるため、たんぱく質・炭水化物・脂質をバランスよく摂りましょう。

では、たんぱく質はどれくらいが適量なのか? たんぱく質は体重1kgあたり0.8~1.0gが必要と言われています。

例:体重60kgの人の場合→48~60g/日

どれくらいから過剰摂取になるの?

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、シニア世代の1日のたんぱく質は男女ともに総エネルギー量のうち14~20%と定められています。つまり、20%を超えなければ過剰摂取にはなりません。

例:必要エネルギー量が1,650kcalの場合

1,650kcal×20%=330kcal たんぱく質は1g4kcalなので…1日 82.5gを超えなければOKです。

参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)

たんぱく質を代謝するために必要な栄養素

たんぱく質の代謝にはビタミンB群が関係しています。ビタミンB群には「B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン」が含まれているのですが、中でもB2・B6が深く関わっているのです。

ビタミンB2:主に脂質を分解するサポートを行う

ビタミンB6:主にたんぱく質を分解するサポートを行う

ビタミンB2はうなぎ・レバー・鶏卵・納豆・アーモンドなどに多く含まれます。ビタミンB6は赤身肉・鶏肉・マグロ・バナナなどに多く含まれます。冷凍や加工品になるとB6の含有量が減るため、できるだけ新鮮な状態の食品を摂取するのがおすすめです。

ビタミンB6が働く際はビタミンB2も必要になるため、一緒に摂るのが理想的です。なお、ビタミンB群は水に溶ける性質を持つことから、体に貯めておけず、毎日コンスタントに摂取しなければなりません。

バランスの取れた食事で効率良く体づくりをしよう

炭水化物を制限するダイエット方法が流行していますが、シニア世代の体づくりにはかえって逆効果になることも。効率良く体づくりをするなら、たんぱく質だけでなく炭水化物や脂質もバランスよく摂ることが必要です。

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