66才でプロとしてキャリアをスタート

ーカメラとの出会いはどのようなことだったのですか。

元々写真には興味がありましたが、一眼レフカメラは高額で手も出ないので、コンデジで日常の風景を撮ったりしていました。ちょうど運転免許を取った翌年くらいに、デジタル一眼が安価で出回ってきて自分でも買えるようになりました。

最初に撮影したのはハスの花でした。ファインダー越しに見ると、ハスの花びらや葉についた朝露が、太陽の光を浴びて、まるでダイヤモンドのようでキラキラと輝いていました。今まで見たことのないような世界にすっかり魅せられてしまいました。毎朝、出勤前に車を走らせてはその輝く雫を撮り続けました。それが、私がカメラの世界の虜となっていったきっかけでした。

ープロのフォトグラファーになろうと思ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

シンガーソングライターの長女が2016年に讃美歌アルバムをリリースすることになり、ジャケット写真の撮影を依頼されました。それまで花や風景を中心に撮影していましたが、アーティスト写真を手がけたことで人物の撮影をする機会も増え、撮影依頼が来るようになりました。

65才の時に、プロとしてお金がもらえるように技術を磨こうと思い、都内で行われていたプロ養成講座やセミナーなどに1年間通いました。プロとしてスタートしたのは、66才の時でした。

ー66才からのスタートとは・・・ビックリです。

笹本恒子さんという日本の報道カメラマンとして女性第一号の方がいて、彼女は100才を超えても現役のフォトグラファーとして活躍されていました。実際にお会いしたことはないのですが、私は、この方から大きな影響を受け、自分もこんな風に年を取りたいと思いました。私も、生きている間は、ずっと写真を撮り続けたいと思っています。

ーどのようにプロとしてのキャリアをスタートされたのですか。

2019年1月1日から4ヶ月間、「100人無料撮影会」(結果120人)を実施しました。技術を磨くため、PR のため、というのが目的でした。真冬の寒い時期にスタートし、来る日も来る日も、公園でプロフィール写真を撮り続けました。

4月の終わりごろに、撮影した方の中から50人程を招待したパーティをおこない、プロとしてスタートする意思表明をしました。 それで、5月からプロとして本格的に活動を始めました。その矢先に、撮影中に踵を骨折する大けがをしまして、2ヶ月間まったく歩けない状態になり、半年間フォトグラファーとして活動できませんでした。

2020年1月に再スタートをしましたが、直後にコロナ禍にも見舞われました。しかし、カメラマンとしての私を覚えていてくれた方や、無料撮影で撮影させていただいた方からのご紹介、リピーターの方々からのご依頼などがあり、踵骨折の回復と共に「フォトグラファー神山百合子」として手応えを感じた1年となりました。

ー今はどのようなお仕事が多いのですか。

スタートして4年余りが経ちました。今では毎月コンスタントに仕事のご依頼をいただけるようになりました。

仕事内容は人物撮影が中心ではありますが、それ以外にも、成人式や結婚式の前撮り、赤ちゃんやご家族の写真、アーティスト写真、ホームページ用の写真、求人用の写真、民泊事業の別荘撮影、会社案内用の写真、料理の写真など、多岐に渡りご依頼を受けるようになりました。スタジオ撮影が苦手でしたが、たくさんの経験を繰り返し、今は積極的に取り組んでいます。

ポートレート撮影では、事前に会えないお客様ともメールやSNSなどで密にコミュニケーションをとり、どのようなイメージで撮られたいか、髪型やメーク、洋服などについて細かくカウンセリングしております。そして、自然で美しい表情を引き出せるまで、撮り続けます。撮影が終わる頃には、心が通じ合って、まるでお友達のようになってしまいます。「神山さんに頼んで良かった。」というお客様の声が私の喜びにもなります。

特にPRはしておりませんがご紹介によるお仕事が多くいただけるのは感謝です。今年70才を迎え思うことは、いかにご依頼者に満足していただける写真が撮れるかということです。良い写真とはお客様が気に入ってくださる写真であること、良い写真にはその方の人生観も変えるほどの力を感じます。

以前の証券会社のお仕事と現在のプロのフォトグラファーのお仕事の違いはどのようなことですか。

証券会社での仕事は生活のためと割り切ってやっていました。正直つらい仕事でした。フォトグラファーの仕事を始めて、やっとやりたいことができるようになりました。今が人生で一番充実しています。

ー今後に向けてどのようなことにチャレンジしようとお考えですか。

私の夢はもっと撮影の技術やセンス、元となる感性を磨き、たくさんの方に写真を通して喜んでいただくことです。それは人物の写真ばかりでなく、カメラで写して表現できるものなら全ての被写体が対象です。

今年から、地元の写真家の先生のもとで私の苦手なマクロ撮影について学んでいます。今まで表現できなかった世界を知り、ますます写欲が湧いてきています。

今後年齢を重ねても写真を撮り続けていくためには、体の健康も大切ですね。身体も鍛えつつ頑張っていければと思っています。

■神山百合子さんについての詳細は以下からご覧ください。
https://yuriko-camera.themedia.jp/pages/2615315/concept

※掲載した写真は神山さんからご提供いただきました。

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