東急不動産株式会社に入社された江部宗一郎さんは現在35歳。社内ベンチャー制度「STEP」によりTQコネクト株式会社を設立、要介護者とのコミュニケーションツール「TQタブレット」を展開しています。
現在はTQコネクト株式会社で取締役副社長を務めています。江部さんが高齢者と家族とのコミュニケーションを対象にした事業に挑戦するに至った経緯や、その背景にある想いなどをお聞きしました。
目次

事業を立ち上げた背景にあるのは、“祖母と会えなかった”という原体験
江部さんは2013年に東急不動産株式会社に入社、5年間リゾートホテルやビジネスホテルの企画開発を手がけ、2018年に東急不動産ホールディングスに出向。ベンチャーへの出資、DX推進室の立ち上げ、「STEP」という新規事業制度の設計などに携わってきました。江部さん自身も、この社内ベンチャー制度「STEP」に応募、TQコネクト株式会社を立ち上げるに至りました。
実は20代前半ごろから、いつかプロの経営者になりたいと考えておりました。私の家系にはサラリーマンが少なくて、もともとサラリーマン志向があまりありませんでした。安定志向が強い私たち世代の中では珍しいかもしれませんね。
とはいえ、大学卒業後に大企業に入ったので、一足飛びに経営者へと駆け上ることは難しかったのですが、「STEP」という社内ベンチャー制度で若いうちに経営にチャレンジできる機会を得たんです。自分にサラリーマン志向が少ないというのもありますが、シンプルに経営者のほうがかっこいいというのもありました(笑)。
早くから経営者になろうと決めていた江部さんですが、着目したマーケットはシニアです。そこにはどのような理由があるのでしょうか。
この事業の立ち上げには、私自身の原体験も関係しています。
離れた場所で暮らしていた祖母に「会いたい」と思いながら、コロナでの面会制限や仕事の忙しさから、結局5年間会う機会をもてずに、亡くなってしまったということを経験しました。電話で話すことはできたのですが、生前に顔を合わせることは叶わず、無理してでも会っておけばよかったという後悔が残りました。実際にこういうケースは少なからずあると思います。こうした課題を解決したいという想いが、この事業の根底にあります。私は、ビジネスの本質は誰かの課題を解決することだと考えています。
もちろん、今後伸長が見込まれるシニアマーケットでの事業は伸びるだろうという、経営者視点からの判断もありました。また、世の中がDXに関心を持ち始めたタイミングだったこともあり、シニアマーケットとDXとの掛け合わせでチャレンジしようと考えました。
“介護が必要な方”と“そのご家族”の心の距離を縮める『TQタブレット』

では、『TQタブレット』は、誰のどのような課題を解決する商品なのでしょうか。“かんたんテレビ電話”と謳うこの商品の特徴を教えていただきました。
遠距離介護されているご家族にとって、要介護の方とのコミュニケーションが大きな課題です。しかし、ツールを使ってのコミュニケーションとなると、要介護の方の場合、どんなに簡単であっても操作するのが難しいという壁があります。
そこで、要介護の方が“操作しなくても自動でつながるテレビ電話”にしたという点がポイントです。ご家族が、要介護の方にスマートフォンで電話をかけると、何の操作もせずに自動でつながるようになっています。また、メッセージ付き写真共有機能があるので、タブレット(要介護の方)側では、思い出の写真やお孫さんの写真などをスライドショーとして見ることができます。
それに加えて、購入されるご家族の側にとって、導入する手間がかからない点もポイントです。タブレットにはSIMが内蔵済みでwi-fiが不要、ご家族との連携アプリも初期設定されています。タブレットの電源を押すと、すぐ使えるようになるという手軽さも、この商品の大きな特徴です。
要介護の方とご家族がつながるためのツールとしては、見守り用カメラをはじめとしていろいろありますが、『TQタブレット』と他のツールとの違いはどこにあるのでしょうか。
『TQタブレット』は、大きなくくりで言えば「見守り」なのですが、要介護の方とご家族とのコミュニケーションに特化しています。
要介護の方とご家族が離れて暮らしている場合には、お互いの状況が把握しにくく、不安を抱えていることが少なくありません。コミュニケーションを取ることで、不安だということ自体を伝えることもできますし、特に顔を合わせてのコミュニケーションだとお互いの感情を共有することもできます。
『TQタブレット』を通じてご家族間のコミュニケーションが円滑になれば、不足している情報をお互いに埋めることができ、不安を解消できると考えています。このように“心の距離を縮めたい”というご家族の想いに応えられる点が、『TQタブレット』ならではの独自の価値なのです。
『TQタブレット』で高齢の方々にもデジタルの恩恵を受けていただきたい
高齢者の方でもデジタル機器を使いやすいように工夫をされていますが、高齢者とデジタルということについてはどのようにお考えになっているのでしょうか。
私たちはスローガンとして、“シニアの毎日にデジタルを”ということを掲げています。
どういうことかというと、私たちはデジタルの恩恵を受けて生活が豊かになっています。でも一方で、デジタルを使えない人が置き去りになっている面もあるのです。これまでデジタルデバイスに触れてこなかった90歳の方は、今から触れようとは思わないですよね。
そういった方たちの役に立ちたいという想いがあります。要介護の方や認知症の方にもデジタルの恩恵を受けていただき、生活が豊かになるようにしていきたいと考えています。例えば、年1回しかできなかった里帰りが「TQタブレット」を利用することで、デジタル上で里帰りを可能にして、「デジタル里帰り」として、ご家族同士で顔を合わせる機会を増やすことができます。
「介護」と「日常生活」を両立させる『TQタブレット』
“ご家族間の心の距離を縮める”『TQタブレット』は、要介護の方を抱えるご家族に、どのようなメリットをもたらしているのでしょうか。
ご家族側は、親御さんの介護をしながらも、ご自身の毎日の生活があり「しっかり介護ができていないのではないか」と後ろめたさを感じがちです。
親御さんが介護施設に入居されている場合は、ご家族側は何かしたいけれど、何もできることがないというジレンマがあります。しかも、要介護の方は、いつ状態が変化するかわかりません。ある日、会話ができなくなったり、もしかしたら亡くなってしまうかもしれません。
『TQタブレット』があれば、ご家族は日常の生活を維持しながら、親御さんと定期的に顔を合わせて会話することができるようになります。こういう形で親御さんとの心の距離を縮めることで、ご家族側は自分を肯定できるようになるのです。親御さんに何か起きたとしても、『TQタブレット』を通して親御さんと顔を合わせて会話したことが、良い思い出になると考えています。
『TQタブレット』を必要としている方に、もっと広く届けたい

『TQタブレット』に対する、お客様からの評価はどのような感触ですか。
お客様からはとても良い評価をいただいていると感じています。売上面でも、昨年の2月と比べて15倍以上に伸びており、お客様にとって“価格以上の価値がある”と受け止めていただいている結果だと考えています。
お客様から“この商品があって良かった”という喜びの声をいただくと、お客様の課題に合ったサービスを提供できていると実感します。そして、経営としても成り立ちつつあることで、やりがいと楽しさを感じています。
『TQタブレット』について、現在苦労されていることはありますか。
『TQタブレット』はウェブでの販売が基本なので、日常的にウェブを使っている方はこの商品を知ることができます。しかし、新聞や雑誌などで情報を得ている方には知っていただく機会がないのです。
こういう方の中にも『TQタブレット』が解決できる課題を抱えている方も多くいらっしゃるはずです。今後は介護事業者の方々と連携を深めて、要介護の方を抱えているご家族に、直接ご紹介していただけるような仕組みを作っていければと考えています。
中長期的な視点で『TQタブレット』の可能性をどのように広げていこうと考えていますか。
今後は、要介護の方を抱えるご家族の課題だけでなく、介護事業者にとっての社会課題も解決したいと考えています。
中長期的なテーマとしては、省力化省人化という観点で、『TQタブレット』を介護事業者様の課題解決ツールにしていきたいと考えています。
介護業界に関わってみると、この業界が人手不足という課題を抱えていることを実感します。『TQタブレット』はこの課題を解決する商品になり得るのではないかと考えています。
例えば、介護施設で各部屋に『TQタブレット』が常設されていて、利用者がボタンを押すとナースコールのような形でスタッフとつながる。そして、画面越しに会話して必要があればスタッフが行くし、顔を見て済む場合もある。そうすることで、介護従事者の負担を軽減できるようになるのです。


『TQタブレット』は、2025年5月に公益社団法人日本介護福祉士会より、認証マーク第1号商品として認定されました。購入者の皆様による満足度調査、介護福祉士の方々によるモニター調査を経て、介護の専門家から、要介護の方を抱えるご家族が信頼して選べる商品として認めていただきました。
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