大手・中堅企業でマネジメント経験のある55歳以上の方を対象とした、「シニア中小企業サポート人材プログラム」通称、“中サポ”。今回はその“中サポ”を開催している、東京しごと財団の坂口さんと酒井係長さんにお話をお聞きしました。(写真:公益財団法人 東京しごと財団 協働事業担当係の坂口涼太さん)
ーまず、シニア中小企業サポート人材プログラムの概要を教えてください。
シニア中小企業サポート人材プログラムは、大手・中堅民間企業でマネジメント経験のある方々が、長年培われてきた能力や豊富な経験を活かして、中小企業への再就職を目指す為の、13日間のプログラムです。
受講料は無料で、テキスト代のみ負担して頂きます。年に4回募集していて、各回の定員は30名になります。コロナ禍をきっかけに、13日間の内5日間はオンラインで講義を行っており、主な講義の内容は、中小企業の概要、特性、経営戦略、マーケティング、財務、税務等になります。それ以外にも、中小企業の経営者を招いてのパネルディスカッションや、就職活動の進め方、書類の作り方、面接のポイントといった講義をおこなっています。
ー今までのキャリアを活かして、中小企業への再就職を目指しているシニアに向けたプログラムということですね。
はい、そうです。あと近年の中小企業の人材不足を補う意味合いもあります。経験豊富で優秀な人材を、中小企業にご紹介出来るようなプログラムになっているかと思います。
ー受講者の募集から終了に至るまでの、一連の流れを教えて下さい。
募集は、まずホームページから申し込んで頂きます。経歴、資格、志望動機を記入してもらい、それがいわゆる書類選考のような形になっております。こちらで皆様の経歴等を拝見させて頂き、書類選考を通過された方が、次の選考面接会に進みます。
その選考面接会に合格された方が、晴れてこの講義を受けることが出来ます。最近はオンラインの講義を5日間行うので、オンラインをご自宅等で受けられる環境があるか、といったところも、確認させていただきます。
そして、講義が始まります。最初の2日間はオンラインで開催し、その段階では中小企業について具体的に学んでいくというよりは、皆様のキャリアの棚卸をして頂くような2日間となっております。
キャリアの棚卸を行った後に、具体的に中小企業に関する内容に入っていきます。
先ほど申し上げたように、中小企業の概要、特性、財務、税務、あと中小企業に限らず労働基準法とか、社会保険等についての講義を行っていきます。このように、講義の内容は段々深くなっていきます。
中小企業の経営者や人事担当者とのパネルディスカッションでは、中小企業で望まれるシニア像など、具体的なことを話してもらい、質疑応答も活発です。また面接対策や書類作成など、就職活動に向けた準備も始めていくような形となっております。
13日間の講義が終了した後は、受講者の皆さんに経歴をまとめた人材情報を作成して頂きます。その人材情報を都内の約700社(令和5年2月現在)の中小企業に配布します。その段階では、皆さまのお名前、性別、年齢は非公開です。
ー700社というのは、すごい数ですね。
昨年度と比較しますと、今年度は人材情報を希望する企業様が、少しずつ増えている状況です。
ー受講者の方はそれぞれ希望する職種がありますよね。その希望に合わせて、振り分けて送っているのでしょうか。
人材情報は、集約して1冊になっております。その中で、職種毎に分類されています。
そして、その人材情報を見た企業様から、この方と面接をしたいというオファーがあると、対象の方に連絡をして、その方が面接を希望されたら、そこで初めて面接が成立します。書類選考なしで、そのまま一次面接に進めるといったところは、大きなメリットかと思っております。