老後2000万円問題の真相-2

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老後2000万円問題の真相 第2回

投資は特別なこと?

老後2000万円問題に直面する中、2022年に政府は「資産所得倍増プラン」を打ち出しました。このプランは、家計金融資産の半分以上を占める預貯金を投資に転換することで経済を活性化させ、国民の意識を「貯蓄」から「投資」へとシフトさせることで、資産を増やしていくことを目的としています。

投資とは、株や債券、不動産などの金融商品を購入し、運用することで利益を得る仕組みです。運用によって得られる利息は、長期的に見ると「複利」の効果によってさらに大きな資産増加を生む可能性があります。ちなみに、「複利」とは利息が利息を生む仕組みのことです。

かつて1990年頃、定期預金の金利は約6%で、100万円を預ければ12年で倍の200万円になる計算でした。しかし、現在の超低金利時代では普通預金の金利がわずか0.001%。この金利では資産が倍になるのに72,000年もかかる計算です。

このような背景から、かつては預金で利息を得られる時代がありました。また、バブル経済崩壊時には投資で大損害を被った人々の記憶もあり、投資に対して不安を感じる方もいるでしょう。しかし、現在、私たちが毎月支払っている年金や各種保険の保険料は、機関投資家たちによって年利5%程度の運用計画で投資されています。

これらの事実を踏まえると、投資は特別なことではなくなっています。そして、老後資金を確保するためにも、貯蓄から投資へ移行することは、資産形成のための有力な選択肢の一つとして考えられる時代になってきています。

NISAとは

貯蓄から投資へのシフトを支援するものとして「NISA」が登場しました。NISAとは「運用益から徴収される税金が非課税となる専用口座」の事です。通常、運用して得られた利益には約20%の税金が発生します。例えば100万円の利益を確定させた場合約20万円が税金として徴収されますが、これをNISAで運用すると非課税となり、税金分も利益となるのです。

NISAは入金額の上限が設定されていますので、少額、もしくは毎月積み立てながら運用していく人向けとなります。また2024年に制度改正でより充実した内容となりましたのでご自身で調べてみてください。

資産形成の現実

NISAの登場により、投資を始める人が増えているようです。特に、NISAを利用した積み立て投資は、初心者でも始めやすい選択肢として注目されています。投資で資産を構築するためには、「時間」を味方にすることが重要です。たとえば、まとまったお金を年利5%で運用した場合、資産を倍にするには約15年かかります。

さらに、積み立て投資の例を見てみましょう。毎月5万円を積み立て、年利5%で運用した場合のシミュレーションです。

  • 10年運用(投資額:6,000,000円)
     → 最終資産:7,751,769円(利益:1,751,769円)
  • 20年運用(投資額:12,000,000円)
     → 最終資産:20,378,594円(利益:8,378,594円)

この結果から、10年間の差で利益が約660万円も増えることが分かります。つまり、20年以上の積み立てが可能であれば、大きな資産を形成できる可能性があります。

ただし、50代から投資を始めた場合、20年以上積み立てることが現実的に難しい場合もあります。そのため、自分のライフプランや資産状況をしっかり見極めながら、無理のない範囲で計画を立てることが大切です。

資産形成を始めるにあたって

それでも、NISAを利用して資産形成を始めることをお勧めします。最初にお伝えしたように、預金をしても今後増える可能性はほとんどありません。であれば、投資をして少しでも資産を増やすことを検討すべきです。

しかし、何から始めたらよいか分からない方もいらっしゃるでしょう。特に、どの投資先を選べばよいのか迷うこともあると思います。この点については、ぜひ「自分で調べて自分で決める」ことを実践してください。

なぜなら、それは「あなたの未来を左右する大切なお金」を扱うことになるからです。また、投資には正解がありません。自分の状況や希望、リスクを考慮して、最適な金融商品を自分で選ぶことが最善です。

これを「他人に丸投げ」してしまうと、金融機関から高い手数料の商品を勧められ、利益が出ても多くの手数料を取られることがあります。また、最近では投資詐欺が非常に増えていますので、そのような被害に遭わないためにも、投資についての知識を持つことが重要です。書店には投資に関する書籍が多数並んでいますし、動画サイトにも学べる動画が豊富に配信されています。そういったところから学んでみてはいかがでしょうか。

もう一つの大切な「投資」

これまで「資産形成」についてお話ししてきました。「老後2,000万円問題」を解決するためには、貯蓄から投資へシフトすることで、老後の資金をより多く確保できる可能性があります。ただし、未来のことは誰にも分かりません。投資をしたからといって、必ず資金が増えるとは限りません。また、投資を始めるには、まず資金を用意する必要があります。

そのため、この記事は投資を推奨するものではありません。あくまで、シニア世代にとって「投資」という選択肢が検討材料の一つになりつつある時代である、ということをお伝えしたいのです。

とはいえ、より確実な方法として「収入を増やす」ことが挙げられます。そして、そのために最も必要なのが「自己投資」です。

50代以降の方にとって、自分のスキルや価値を高めることで収入を増やしていく方が、実は投資よりも近道になるかもしれません。この点については、次回の記事で詳しくお話しします。

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