定年延長が終わり65歳になったシニアの方たちが再就職しようとした時、「年齢ではねられる」「面接をしてくれる企業すら無い」といった声を多く聞きます。それまで、会社の事業に貢献してきたにも関わらず、そういった状況に直面して困惑している高齢者の方たちがどのように対応すれば良いのか。
これまで多くの高齢者の再就職をサポートしてきた、人材サービス大手のアデコ株式会社の佐藤大輔さんに高齢者の再就職についての考え方についてお話をうかがいました。
高齢者が再就職ですべきこと
現在の高齢者世代は現代の日本を作り上げてきた叩き上げでもある世代。これまで積み上げてきた膨大な経験という宝が高齢者の方たちの中に眠っていると佐藤さんは言います。
「例えるならば、覚えてきた、経験したことが時系列のかたちで、A4用紙が無造作に積みあがっている状態です。これを私は“経験でっかち”の状態と言っています。経験はないけど情報としては知っている状態を“頭でっかち”と呼ぶのに対して、経験はたくさんあるのだけれど、情報として整理されていない状態が“経験でっかち”なのです。この無造作に積まれたA4用紙を自在に活用できるように整理をして、目次をつけ、製本して本棚に並べていく作業、これが自己の振り返りだと考えています」
自身の経験や修得してきたスキルをしっかりと整理し、ゆっくりと時間を取って自身の本質を見定める。そして、そのために重要なことは、キャリアプラン策定のフレームワークであるWill、Can、Mustであると。
「Will、Can、MustのうちのCanとMustを深堀りすることは重要です。多くの高齢者の方たちは自分が何をしたい(Will)は明解なケースが多いです。しかし、何が出来るのかというキャリアの棚卸し(Can)、もしくは、自分には何が求められているのか(Must)、この2点をご自身もよく分からないまま就職活動をしているケースが多々あります」
実際の再就職活動では自身がしてきた経験だけをアピールしても意味はありません。要するに、Can、Mustの深掘りが不足していると、経歴書や面談での表現が希望職種と少し違うと、いわゆる「弾かれてしまう経歴書、面接」になってしまうからです。
「とにかく、しっかりとこの3つの要素についてしっかり考える時間も取って下さい。その上で活動をしてみると、実は色々なチャンスが見つかったりします。とにかく人手不足はこの先もずっと続いていくトレンドですからね」
よくいる高齢者にはならない
しかし、Can、Mustを深掘りして自身のこれまでのキャリアの製本作業を終えただけでは、準備は完了ではないと佐藤さんは続けます。面接担当者が会いたくなるマインドも重要であると。
「柔軟な姿勢で振る舞うというマインドは大切です。これはシニアの固定イメージを払拭する意味もありますが、企業の担当者はいわゆる“よくいる高齢者”には会ってくれません。自己主張が強い。聞くよりも自分が話してしまう。さらには、話が長い、こだわりが強い、新しい事にチャレンジしない、やり方を変えない。こういったイメージを持たれてしまうと、会社に入っても仕事の進め方やコミュニケーションの部分で摩擦が起きてしまい、活躍できないだろうと思ってしまいます。高齢者で活躍している方の中で、どこからも求められている方は柔軟な考え方のできる人が多いです。若者のような気持ちで臨むことが大切です」
定年後に関しては、漠然と不案を抱えている方たちが多いのも事実。再雇用を選ぶにも再就職を選ぶにしても、再就職のためのキャリアプラン策定のフレームワークに関しての取り組みは遅きに失ししないようにすることが肝心なのです。
「私はまだ40代ですが、実は少しずつ始めています。ですから、50歳になった方はそろそろ始めたほうが良いと思いますね。その時に、まずはご自身の交友関係を確認することもおすすめします。名刺無しで、肩書のないあなたに会ってくれる社外の知り合いが何人いますか? 実はご自身のネットワークが再就職という課題を解決してくれることも多々あるからです」
アデコ株式会社は人財サービスのグローバルリーダーであるアデコグループの日本法人。本業である人財派遣、人財紹介など以外にも、厚労省、労働局、東京都自治体などが行う多くの支援事業の企画、受託運営もしています。また、支援事業内での支援以外にも、あらゆる企業様の個別支援や個人の方へのキャリアコンサルティングも行っていますので、ご興味のあるサービスや公共事業がありましたら是非一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。
佐藤大輔さん プロフィール
社会人デビューはキャリア系コールセンターの運営会社。カスタマーセンターやテクニカルサポート、ネットワークエンジニアの育成など、様々なビジネスの外部委託の企画から立上げ、運営を手掛けました。その会社に11年ほど勤務した後、7年前に現在の株式会社アデコに転職。3年前から現職である、官公庁・自治体事業を専門に受託、運営するソリューションセールス課にて企画営業を担当しています。
アデコ株式会社HPはコチラ