シニアにとっての眼鏡の基本とは

ー私ども素人にはわからないのですが、メガネはどう選べばいいのでしょう

フレーム、検眼、調節、担当する人によってすべて違うんです。実は、選ぶ度数まで違ってきます。完全矯正値というものがあります。その人が一番出る視力ですね。でも、それを出せばいいのかというと、そうでもない。よく見えること、疲れないこと、使いやすいこと、生活のどこで使うかですね。職業によっても、年齢によっても違う。

とくにパソコンが日常になってから、大きく変わりました。デスクトップか、ノートか、スマホか、すべて見る距離が違ってきます。何に使うための物か。パソコンでも1台だけを使うのか、何台も同時に使うのかによっても違うのです。まず仕事を聞く、使う距離を知りたいのです。

“眼鏡作製技能士”という国家資格が令和4年度からできます。ようやくです。先進国では、ない国は日本くらいでした。お医者さんの問診がありますよね。眼鏡もそうです。作りたい人の話を聞く。何に使うのか、何に困っているのか。眼鏡の問診ですね。

若い人は遠くが見えればOKという場合が多いのですが、歳を取るとそうはいかない。遠近か中近か近近か単焦点か。

ー近近なんてあるのですか

そうです。さっき言った距離です。パソコンを見ている距離。1台と3台では違ってきますよね。レンズの4大メーカー(HOYA、東海光学、SEIKO、Nikon)があるのですが、それぞれ同じ中近や近近でもその距離によっていくつもレンズはあります。

 

ーコンタクトはどうでしょう。売れ行きに影響はありましたか

コンタクトレンズは、うちでは扱っていません。眼鏡と違って、医者の処方箋がいります。コンタクトが出て、確かに売れ行きに影響はありました。ただ、2つは使い方が違います。いまは、どちらも使いわける方が増えましたね。コンタクトだけですと涙の量が少なくなって、途中で眼鏡にされたりですね。

レーシックはリスクがあるようで、今は少なくなりましたね。ICL(角膜を削らない視力回復手術)のほうが多いのではないでしょうか。

サングラスは流行ものでネットでも買えますから、そちらのほうに流れました。ただ、度付きサングラスは増えていますね。

ハズキルーペのような眼鏡型ルーペも、使い方があります。眼鏡の上からかけたほうがいい人と、裸眼でかけたほうがいい人。ルーペがいい人と、老眼鏡がいい人。倍率が高いからいいわけでもない。
つまり、なんでもオールマイティではありません。あっ、眼鏡型ルーペに腰掛けないでくださいね。眼鏡は腰かけるものではありませんので。

丁寧な人が眼鏡屋さんであってほしいですね。一人ひとりにとって、何がいいのか。私は、大学を出て眼鏡専門学校に入りました。最初から3代目として店を継ごうと思っていましたから。スタッフは4人。40代、30代、20代、私が59歳ですから、いい具合に年代が揃っています。店はがんばって続けたいですね。 

ーシニアの方に伝えたいことはなんでしょう

眼鏡屋に何でもご相談いただきたいですね。無口にはならないで、困っていることを具体的に教えてほしい。コミュニケーションを活発化していただきたい。私たちは話をお聞きしますが、それをそのまま受け取るわけではないのです。話をお聞きするのがとても大切ですが、それをそのままでなく専門家として読み取ります。もちろん勉強不足な眼鏡屋さんもいます。とにかく売りたいを優先する方もいます。

ですから、信頼できる方のいる眼鏡屋さんと出会うことですね。それには、さきほどの国家資格“眼鏡作製技能士”かどうかが基準となります。この資格がなくてもメガネは売れます。そこをチェックいただき、いろいろ話していただく。ご自分の大切な眼を守るためですから、努力を惜しまないでいただきたい。

ああ、ブルーライトカット眼鏡ですが、まぶしい人は使ったほうがいいのですが、カット率が高ければいいというわけではありません。特にお子さんは、あまり使わないように。発育に悪影響が出るとの見解が学会から出ています。

どんどん皆さん、眼鏡屋にわがままを言ってください。眼鏡に対して要求が難しい方が“これいいね”と言ってくださる瞬間が、私には一番うれしいのです。


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