植物標本作家として紡ぐ新しい物語

中西さんは現在70代。ご自身で30年続けてきた企画会社を後輩に委ね、現在は「植物標本作家」として、高野山の植物を使ったアートの制作に精力的に取り組まれています。

山中のご自宅は色とりどりの植物に囲まれた築150年の古民家。昔ながらの囲炉裏のあるお部屋を工房にして、植物のすばらしさを今発信しています。

ー本日はありがとうございます。早速ですが自己紹介をお願いします。

学校を出て大阪で広告会社に入社し、35歳で独立して企画会社を作りました。最初は音楽関連の仕事をしてましたが、バブルが弾けてからはガーデニングやペット関連の仕事を受けることが多くなりました。

市場調査から商品開発など、マーケティングに関わることが好きでそれを仕事にしてたという感じです。特にガーデニング業界では小売店の社長さん達とのネットワークなども出来て、商品企画など手掛けることが多かったです。

元々植物が好きで、高野山の実家でも庭の手入れなどはしていましたが、今「仕事」となってからも好きなことだから、続けることは苦にならないですね。

ー 現在は「植物標本作家」として活動されていますが、具体的にはどんなことをされているのでしょうか?

私の実家は高野山の山中で、自然に囲まれています。長らく庭に手を入れたりして好きなようにしていました。

その延長で、現在は高野山の様々な植物を採取して標本にし、アート作品として皆に知ってもらいたいと思っています。

企画会社を経営しているときもガーデニングの仕事をしていたので、植物を標本にして更にアート化するということは、まだ誰もやっていないカテゴリーだということはわかっていました。

ガーデニング業界でどんな人が人気があるか、どんな本が売れている、ある程度わかっているので、自分が興味あることなら他人にもも関心を持ってもらえると思ったんです。

ー長らく働き続けてきて、常に新しいことにチャレンジする原動力は何でしょうか?

働き続けてこれた理由としては、ひとつには時代が良かったのかということですね。
若い頃は世の中全体に景気が良かったし、独立してからも音楽関連の仕事も時代に合っていた。その後のガーデニング、ペット関連の企画の仕事も丁度ブームが来ていました。だから、多少苦しい時期もあったことはありましたが、好きなことを運よくやってこれたという印象です。

原動力というと大袈裟かもしれませんが、性格的なものもあるでしょうね。なんでも触ってみたり、一歩踏み出してみるという性格というか。ただ見ているだけということが出来ないというか。

「活躍する大人達」Vol,2は、和歌山県高野山の自宅工房で『植物標本作家』として自身をプロデュースする中西久隆(なかにし ひさたか)さんに取材をさせていただきました。

シニアの方でも趣味を持っている人は大勢いますが、そこから更に踏み込んで「仕事」にしてしまう人は少ないと思いますね。例えば、私の周りには高野山の植物の写真を撮影することを趣味にしている方もいますが、それを仕事にするようなことは無いですね。

ただ、私の場合は過去の経験上、業界全体のなかで過去にこういう作品、商品は無かったということが分かっているし、トレンドからもニーズがありそうだという仮説が立てられるので「やってみようかな」と腰を上げることが出来るんです。

ーそういえば最近ガラケーからスマートフォンに変更されたとのことですが・・・

そうなんですよ(笑) スマホなんて使うことは無いだろうと思っていたんだけど。

植物標本を始めてからインスタグラムにも登録したり、自分がしていることを発信するために必要性が出てきたわけです。情報発信という点、スマホに変えて良かったと思います。

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