シニア夫婦が手作りする豆腐スムージー
野菜や果物をたっぷり摂取できることから大人気のスムージー。元々は凍らせた野菜や果物を丸ごとミキサーにかけて作るものでしたが、今ではそのレシピも広がりをみせています。その一つが、素材を凍らせず生のまま氷や水とミキサーにかけるスタイルのもの。そして、それをさらに発展させたスムージーを誕生させ、人気を博しているブランドがあります。
それが、大阪のシニアのご夫婦が展開しているPAPMA(パプマ)です。健康のことを第一に考えたレシピのベースが、なんと豆腐と豆乳なのです。実はアメリカで100年前に誕生したといわれているこのドリンク。1世紀の時と誕生の地であるアメリカの西海岸から約6千キロ離れた大阪で、より健康性を高めるということで「豆腐×豆乳×果物」というスタイルに進化したのです。 なぜ、それをシニアのご夫婦が?と思われる方も多いでしょう。PAPMAを展開しているご夫婦は中野町子さん(75歳)、松三さん(74歳)のお二人。元々のお仕事が飲食業とかではなく、ヨーロッパの絵画を中心に取り扱っていた美術商という前歴をお聞きすると、尚更、なぜ?が膨らむかと思いますが、実は予期せぬ出来事をきっかけに家族の愛によって生まれたものであったのです。
元気に働く喜びを失いたくない
人生には予期せぬことが突然に襲ってくるもの。嬉しいことは大歓迎ですが、その反対は人生を左右する厄介な場合もあります。大阪の中野さんご夫婦もそんな局面に、松三(しょうぞう)さんが60歳の時に出くわしてしまいました。糖尿病を患っていた松三さんが脳梗塞になってしまったのです。
ただ、幸いにも松三さんは少し後遺症が残った程度で退院されることに。しかし、それまでの美術商としての仕事の継続は難しいと苦渋の決断をせざるを得なかったのでした。
少し後遺症が残っただけの松三さんと活動的な町子さんは元気を持て余すのは性分に合わないことから、役に立てる仕事はないかと就職活動を行ったそうです。けれども、本人たちの熱き思いとは裏腹に、求人市場の壁は70歳目前という年齢には厚いものだったそうです。
「働きたいのに働けない。何とかして働く方法はないのか」 そんなご夫婦の悩める状況を打開したのが、長男の嘉之さんでした。嘉之さんはカナダの大学を卒業して、現在はフィットネスクラブの運営やパーソナルトレーニング、さらに、企業のリーダーシップ研修などを行なっている株式会社イー・エス・アイのCEO。企業の健康経営を支援するコンサルティングとしての手腕を自身のご両親のためにも発揮されたのです。
緊急事態宣言前日のオープン
アスリートにとってプロテイン、いわゆるタンパク質はカラダづくりの必需品。しかし、なかには人工甘味料や人口香料などのヘルシーでないものを含んでいるものも。そこで、中野さんファミリーが行き着いたのが砂糖不使用・着色料不使用・保存料不使用、そして、高タンパク質ということで、豆腐ベースのスムージーとなったのです。
調理師免許を持つ町子さんが自宅のキッチンで試行錯誤を重ね、嘉之さんの運営するフィットネスクラブの待合室を改造した第1号店をオープンしたのが2020年。
使用する豆腐、豆乳も、国産大豆を使用して、昔ながらの製法で作っているお豆腐屋さんから仕入れるというこだわりを徹底しているものの、商品のメーミングはゆるーいものに。それは、お店自体がシニアや子どもたちの憩いの場になるようにというコンセプトであったので、「そんなバナナ」「ベリー3兄弟」、さらには、「ジョン・マンゴ郎」「ココアどこ」と昭和の駄洒落がオンパレード。 「お客さんが注文する時に、お店との距離感が縮まるようにすることも大切と思って家族みんなで考えました。照れながら注文する人もいますけど(笑)」
夢はドバイ店オープン!
コロナ禍での開業ではあったものの、SNSなどの口コミで人気は爆増することに。3年間で累計販売1万食を突破するという勢いであったそうです。
「添加物がないことから赤ちゃんにも、というお母さんたち。それに、このお店の近所にモデル事務所が多くあって、美容を意識する綺麗な若い子たちがたくさん買いに来てくれますよ(笑)。何より、色々な世代の人たちと触れ合えるのは楽しいですね」
さらに、PAPMAには商品のネーミング同様に、人間の温かみを感じられるお店を増やし「シニアの生きがいと雇用を増やしたい!」という『シニアHAPPY計画』なるミッションがあります。その計画の第1弾として、神戸市東灘区魚崎にフランチャイズで2店舗目をこの8月にオープンさせました。
「住宅街の中ですが、キッチンは本店よりも広いので、店舗販売以外のEC販売用の商品の製造量も増やせます。これまで、2週間とかお待ちいただいていた発送を短縮できればと。それに、お店の前が公園なので、子どもたちにも気軽に来てもらえるかと思っています」
美術商の時とは客層は全く異なるものの、「働く喜びは増しています!」とご夫婦揃って満面の笑みでの一言。充実したシニアライフを送るために働いて社会とつながる、という当協会の理念を実践されているお二人。最終ゴールは?とお尋ねしたら、「ドバイにもお店をオープンさせること!」でした。お二人のますますのご活躍をお祈りいたします。
……ちなみに、PAPMA(パプマ)のネーミングの由来は、PAPA(パパ)とMAMA(ママ)だそうです。
豆腐スムージー PAPMA ECサイトはコチラ
南堀江本店:大阪市西区南堀江1-14-12 1F
神戸魚崎店:神戸市東灘区魚崎南町3-22-8 1F