「疲れにくいカラダ」をつくる ― 坂村純子さんに聞く「体芯力®」メソッド

44歳で専業主婦からキャリアを再スタートし、ピラティスを経て体芯力®認定講師となった坂村純子さん

現在は「疲れにくい体づくり」の専門家として、NHK文化センター(青山・名古屋・埼玉など)での講座や全国イベントを通じて多くの人々にレッスンを届けています。

2024年6月には、初の著書『オトナ女子の「やっかいな疲れ」がとれる大全』(大和出版)を刊行し、日常生活に取り入れやすい実践法を紹介。さらにInstagramフォロワー約8.4万人を中心にSNSでも積極的に発信を続け、多世代の女性から幅広い支持を得ています。

今回のインタビューでは、坂村先生のキャリア、レッスンの哲学、食生活や日々の工夫、そして今後の挑戦について詳しくお話を伺いました。

レッスン後、インタビューに答える坂村先生

44歳からの挑戦 ― 専業主婦からインストラクターへ

坂村先生はいつから現在のお仕事をスタートされたのですか?

44歳の時に、専業主婦からピラティスを始め、そこからインストラクター資格を取得しました。

それまでは、29歳まで外資系コンピューター会社に勤めていたのですが、結婚後は子育てに専念していました。40代になって体の不調や体型の崩れを感じ「何かしなくては」と思ったのがきっかけです。

ピラティスは最初、グループレッスン受けていたんですがあんまり効果が感じられなくて。で、あるときパーソナルを受けたら、そこからはっきりとカラダの変化がわかったんですね。びっくりしました。

40歳を過ぎた主婦でもパーソナルを真剣に受けることで、かなり体の変化を自分で感じられたので「これは面白い」と思って。

私は昔から「面白い」と思ったことには無我夢中で、一直線になってしまう性格なんです。

資格をとってからは知り合いの方のご紹介などもいただいて人に教える機会が増えていきました。「坂村からピラティスを教えてもらいなさい」なんて周りに言っていただいたりして、本当にありがたかったです。


体芯力®ソッドの本質 ― 脳と神経からのアプローチ

いまはピラティスではなく「体芯力®」の指導をされているのですよね?どのようなメソッドですか?

「体芯力®」は、脳や神経系へのアプローチにより、不調や痛みが改善され、構造を活かした動作によって「人間本来の​動き」を​再構築するメソッドです。体の表面のチカラを抜いて、奥にあるインナーマッスルを柔らかくして、日常の立つ・歩く・座るなどの動きをラクにして、疲れにくい体を作ることを目的としています。

考案者は元格闘家の鈴木亮司さんで、武道の考え方にも通じる部分があります。表面的な筋肉を力ませるのではなく、いかに脱力して内側の筋肉を使い、自然に体を動かせるかを大事にしています。

ちなみに体芯力®の理念は、「100歳まで自分の足でラクに歩ける人を増やし人生に希望と勇気を」です。

レッスンの対象年齢層は何歳くらいの方々なんでしょうか?

圧倒的に40代、50代、60代の方が多いですね。70代の方も通ってくださっています。中高年層の「疲れが取れない」「体の不調」といった悩みには、特に効果を実感いただけるのだと思います。ありがたいことに10年以上通っていただいている方もいらっしゃいます。

レッスンの序盤では、身体の仕組みについてレクチャーをする。

できないことがあっても「伸びしろ」と捉えれば前向きになれる

坂村先生の食生活について教えてください。

よく聞かれますが、特別な食事制限はしていないです。

朝は納豆ご飯を食べますし、お酒も好きです。

あんこやラーメン、ハンバーガーも楽しみます。ただ「食べ過ぎない」ことだけは意識しています。我慢はせず、バランスを大事にしています。

「朝はスムージーとか果物しか食べないですか?」とか言われますけど、全然そんなことないです、(笑)真逆ですね。

「食べたいな」と思ったものを食べますし、量を控えることもしません。ただ、連続して同じものを食べることはしません。例えばジャンクフード食べれば、次の日は食べたいと思わない。そういう感じです。

坂村先生のモチベーションの源泉はなんでしょうか?

やはり生徒さんの声が一番大きなモチベーションです。

生徒さんから「楽になった」「できるようになった」という声をいただくと励みになります。

それと、継続していく上でのコツというか、自分自身がネガティブになりそうな時は考え方を変えるようにしていますね。例えば、できないことがあっても「あ、これが伸びしろか・・」とか、何か不調があったら「自分を大事にしろって身体からサインが出ているな・・」とか、そんなふうに考えるようにしています。

先生のレッスンの特徴を教えてください。

私のレッスンでは、いきなり体を動かすのではなく、まず最初に「理論」をお伝えします。体の仕組みを脳で理解してから動くことで、より効果が高まり、体も自然と変わっていくからです。

たとえば、目の緊張をほぐすだけで全身がリラックスできたり、肩甲骨の動きを滑らかにしたいときには、寝た状態で肩甲骨を床につけたり離したりするだけで、脳がその位置を認識して動きがスムーズになるんです。とてもシンプルですが、驚くほど効果的なんですよ。Instagramでもシンプルな運動がほとんどで「これなら私にもできそう」と感じてもらえるような情報発信を心がけています。

実は、体の不調や疲れは「動けば解決する」というものではありません。頭で原因を理解していなければ、ストレッチやマッサージを受けてもその場しのぎになってしまい、また同じ不調を繰り返してしまうのです。

だからこそ、私はレッスンの最初に「ボディマップ」をつくることから始めます。これは、腰や股関節など体の各部分の情報を脳にインプットしてあげる作業です。脳は情報が不足すると「危険かも」と判断して体を緊張させてしまい、その緊張が痛みにつながることさえあります。つまり、痛みの多くは脳が作り出しているんですね。

だからこそ、まずは脳に正しい情報を届けて安心させてあげること。そこから自然に体がゆるみ、本来のしなやかさを取り戻していくのです。

広がる可能性 ― 男性や高齢者への指導、SNS発信と著書出版

生徒さんは女性の方が多いようですが、男性向けのレッスンについては予定はありますか?

今は女性向けが中心ですが、男性からも問い合わせはありますね。グループレッスンやオンラインなら、男性も参加しやすいかもしれません。Instagramのフォロワーさんも男性の方が結構いるので、男性向けの需要も確かにあると感じています。

最近出版された著書について教えてください。

2024年6月に『オトナ女子の「やっかいな疲れ」がとれる大全』(大和出版)を出版しました。特別な器具や広いスペースがなくても、自宅で「ひねる」「ゆるめる」などの動きで体が変わる内容をまとめています。

オトナ女子の「やっかいな疲れ」がとれる大全: 肩こり・むくみ・眼精疲労・腰痛・倦怠感etc.

坂村純子 (著)

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「疲れにくい体」づくりの専門家、待望の初の著作。

「たった3分でこんなに変化があらわれるなんて!」の声、声、声。科学的根拠に基づいた超実践テクニックをイラストと共にわかりやすく解説。

Instagram https://www.instagram.com/jysakam/

レッスンもお忙しいと思いますが、今後挑戦してみたいことはありますか?

今月から脳と神経について本格的に学ぶ半年間の講座に通います。

さらに知識を深め、指導に活かしたいです。それから、ピックルという新しいスポーツや、ダンスにも挑戦してみたいと思っています。

障害を持つ人やシニアへの指導についてはどう考えていますか?

運動指導は「なんでもできる人向け」のプログラムが多すぎると思います。でも実際には座るのも大変な方や、体に制約のある方も大勢います。そういう方にこそ情報や方法を届けたい。寝たままでできるエクササイズなど、ハードルを下げて取り組める内容をもっと広めていきたいです。

本日はレッスンにもお邪魔し、インタビューにもご対応いただきまして、ありがとうございました。

<編集後記>
坂村純子さんの活動は「特別な人だけの運動」ではなく「誰でも取り組める、疲れにくい体づくり」を広めるもの。自らの経験を重ねながら学び続ける姿と、「自分もできるかもしれない」という指導法は、多くの方々に勇気を与えてくれます。本当にありがとうございました(取材・起稿 増田成衛)

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