和紙が貼られた和紙工芸品。シニアの方で見たこともないという人は皆無なのではないでしょうか。逆に、作ったことがある!という方のほうが多いかもしれません。そうなのです。手軽に簡単に、そして、なんと職人技の仕上がりになる和紙工芸品の手作り製作キットが販売されているのです。その制作販売元の会社が株式会社さくらほりきりさんです。
46年前の創業依頼、同社が提供し続けている手作り製作キットとは、製作に必要な部材の一式全てが絶妙な製作説明書と一緒にパッケージされたものです。絶妙というワードを使用した理由は後述しますが、今なお、多くのシニアの方たちから愛され続けている魅力の理由を探るべく、同社販促チーム・リーダーの末永さんにお話をうかがいました。
キットの販売のキッカケは近所のご婦人⁈
「そもそも、創業者である元会長は帽子や靴を入れたりする箱の職人でした。しかし、昭和40年代後半のオイルショックの際に省資源という考えから、世の中に過剰包装を無くす流れが生まれてしまいました。すなわち、その潮流によって、箱職人としての仕事が激減してしまったそうなのです」
そんな時に、京友禅和紙が貼られた和紙工芸品の和ダンスの見積もり依頼が舞い込むことに。
「来日した外国人へのお土産品ということで見積もりの依頼が来ました。そんな突然の依頼にバタバタとしている元会長のところに近所のご婦人がいらして、サンプル用の製品を見て私も欲しいと言われたのです。しかし、どうしても仕事の依頼が欲しいという思いで忙しくしていたこともあり、ご婦人には制作用の部材のみを差し上げたのです」
そして、数日後、嬉しそうに「できたわよ」と再びご婦人が来られたとのこと。
「元会長としては職人でなければ作ることは出来ないであろうと思い込んでいたそうなのですが、持ってこられた完成品の仕上がりの完成度とご婦人の喜ぶ様子を見て驚くと同時に、これだ!と閃いたのです。出来上がったものを売るのではなく、完成度の高いものを作ることのできる喜びを提供しようと。それが当社の創業のきっかけなのです」
残念なことに、土産物品の依頼は無くなってしまったそうなのですが、新たな事業のネタとの出会いが生まれた。偶然なことのように思えますが、仕事が減っている状況を打開しようと必死に思案していたからこその必然の産物であったともいえるのではないでしょうか。
作り手へのきめ細かな思いやり
「何十年もファンでいてくださっている方が多いのが当社のお客様の特長ですね」
そして、ユーザーが同社の製品に感じている魅力は「誰でも簡単に、且つ、完成度の高い仕上がりになる」こと。耳障りが良すぎる言葉に疑問を感じる方もいるでしょう。しかし、オリジナルの手作りキットのメーカーとしての約半世紀の歴史を考えると、裏付けとなるものがあるからこそと思うのが普通ですよね。その裏付けとなるもの。それが製作キット自体なのです。
「当社はメーカーでありながら、自社店舗および自社通信販売での直接販売のみという形態をとっています。ですので、キット自体の販売が事業の目的と思われがちなのですが、私たちの目的はキットを売っておしまいではなく、買われたお客さまが失敗せずに、きちんと作り上げ、その完成度に満足して喜んでいただくことが目的です」
作る喜びを提供するために必要なものとはなんでしょうか。その大前提として考えるべきことは、モノを作るためにはある程度の技術が必要とされるということ。技術のレベルは人によって千差万別。そして、人は歳を重ねるごとにそのレベルは変化していってしまいます。つまり、人によって異なる技術レベルを踏まえたうえで、作る人に失敗させないための思いやり、工夫が重要ということです。
「直販のみという形態のおかげで、お客様との距離が非常に近いというのも当社の強みともいえます。要するに、これまでのキットに関して、お客様からフィードバックされた大量の情報を保有しています。それらを元に、製品の開発ではお客様が製作するうえで想定されることを全て徹底的に洗い出します」
メーカーだから当たり前と思われがちですが、作る側へのきめ細やかな思いやりは重要です。作ることの喜びとは何かということを追求していくことで、想定されるさまざまなこと。それが同社のキットには生かされています。
「作る手順だけにとどまらず、部品をなくさないための工夫や視覚による誤認を避けるため、同じような形や大きさの部品を少なくするなどの工夫を徹底して心掛けていますね」
冒頭で絶妙な製作説明書と記述しましたが、決して失敗しないように、手順を間違えないような内容で製作説明書はまとめられています。さらに、説明書自体もユーザーの声を生かして何度もアップデートが繰り返されているそうです。作ることの喜びとは何かを追求し続ける姿勢があってこそのものといえるでしょう。
喜ばれるが育む喜びという活力
「お客様の中には、たくさん作っているけど、手元には何も残っていないのよと言われる方も多いです。作るたびに欲しいという方にプレゼントしているのですよ。出来上がった作品を褒められたり、プレゼントすることで喜ばれる。それが嬉しくてリピート購入してくださっています」
モノを作ることから派生する喜び。作り手自身の作るという挑戦の後の達成感はもちろんですが、作ったモノを他人と共有し、その反応や感想を受けることで共有する喜び。他人に喜んでもらったり、感謝されたりすることは、モノを作る喜びを高める重要な要素といえるでしょう。人から喜ばれる人でいたい、それは、何歳になっても変わることのない人間の活力なのかもしれませんね。
モノを作ることは喜びという活力を産む他に、指先を使用することによる効能も大きいです。「指は第二の脳である」という、この言葉をご存知の方も多いことでしょう。両手の十本の指と手のひらの表面積は、全身の表面積のたったの10%程度にすぎませんが、大脳の運動野、感覚野を含め、全体の約3分の1が指と手のために使われていると言われています。指先をよく動かすことにより、脳はその情報をキャッチしようと刺激されて活性化します。「家事や農作業をしなくなったら認知症になってしまった」という話が多いのも、指は第二の脳であると言われる所以なのでしょう。
豊かなシニアライフを過ごすために、モノ作りを通して指先の運動をしながら、様々な喜びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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