再就職手当はもらわないほうが……

再就職のイメージ

さて、ネットの検索でのトレンドを調べていたところ、「再就職手当」が急上昇していました。会社を辞めるとなると気になるのは失業保険。失業保険って再就職手当のことでしょう?と言う方もいるかもしれません。

失業保険と再就職手当の違いをここでおさらいしておきましょう。

「失業保険」と「再就職手当」の違い

失業保険と再就職手当は、いずれも雇用保険制度に基づく給付ですが、その目的と支給内容が異なります。

失業保険(基本手当)は、失業者が次の仕事を見つけるまでの生活を支えるための給付金です。ハローワークで求職者として登録し、積極的に就職活動を行うことが条件となります。支給額は、以前の給与や年齢によって異なり、支給期間は被保険者としての勤務期間や年齢に応じて決まります。

一方、再就職手当は、失業保険の受給期間を残して早期に再就職が決まった場合に支給される奨励金です。受給期間が1/3以上残っていること、ハローワークの紹介や自らの努力で正社員や一定の条件を満たす雇用形態に就いた場合が対象となります。支給額は、残りの基本手当日数に応じて計算されます。

つまり、失業保険は失業中の生活を支援する制度であり、再就職手当は早期再就職を後押しするためのインセンティブと言えます。

2. 失業保険とは?

雇用保険に加入している従業員が失業した場合、以下の3つの条件を満たせば「失業給付」(通称「失業保険」)を受け取ることができます。

  1. 積極的に就職しようとする意志があること
  2. 就職可能な健康状態や環境が整っていること
  3. 就職活動をしているが、現在職業に就いていないこと

失業給付は、失業期間中の生活を支援するために支給されます。給付額は、離職前6か月間の平均賃金(日額)である「賃金日額」の45%~80%を基に算出される「基本手当日額」です。支給日数は、雇用保険の加入期間、年齢、離職理由、障害の有無などによって90日~360日の範囲で決まります。ただし、失業後1年以内に支給を受ける必要があります。

失業した場合、まず管轄のハローワークで求職申込を行い、受給資格の認定を受けます。その日が「支給決定日」となり、そこから7日間の待機期間を経て支給が開始されます。

ただし、自己都合退職の場合、待機期間の後に原則2か月間(過去5年以内に2回以上自己都合退職している場合は3か月間)の「給付制限」があります。この制限期間が終了した翌日から、失業給付が支給されます。

この制度は、失業者が次の職を見つけるまでの支援を目的としていますので、積極的な就職活動を行うことが求められます。

再就職手当とは

再就職手当は、雇用保険を受給中に早期再就職が決まった場合、支給残日数に応じて受け取れる給付金です。この制度は、早期の再就職を促進するため、ハローワークが提供する支援の一環です。以下の条件を満たすと支給されます。

支給条件

  1. 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
  2. 就職先での雇用が1年を超える見込みであること(契約更新制でも可)。
  3. 待機期間(7日間)満了後の就職であること。
  4. 自己都合退職等で給付制限がある場合、制限期間の最初の1か月はハローワークや許可を受けた職業紹介事業者等の紹介による就職であること。
  5. 離職前の事業主やその関連事業主に再び雇用されていないこと。
  6. 過去3年以内に、再就職手当を受給していないこと。
  7. 求職申込を行う前に内定が出ている事業所ではないこと。
  8. 週20時間以上の雇用(雇用保険の被保険者)であること。
    • 自営業の場合は、安定的な事業継続が確認できること。

再就職手当を受け取るためには、上記の条件をすべて満たしている必要があります。また、ハローワークでの申請手続きが必要です。早期再就職を目指している方にとって、大変有益な支援制度ですので、条件を確認のうえ活用してください。

支給額の計算方法

支給額は、就職時の支給残日数に応じて次の2パターンに分かれます:

  1. 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合
    • 計算式:基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
    • 例:基本手当日額4,000円、所定給付日数90日、支給残日数60日の場合
      → 4,000円 × 60日 × 70% = 168,000円
  2. 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満の場合
    • 計算式:基本手当日額 × 支給残日数 × 60%
    • 例:基本手当日額4,000円、所定給付日数90日、支給残日数59日の場合
      → 4,000円 × 59日 × 60% = 141,600円

再就職手当受給のメリット

  1. まとまった収入を得られる

    失業給付は失業時の生活を補うものですが、早期に再就職することで、給与に加えて再就職手当を受け取ることができます。そのため、短期間でまとまった収入を得ることが可能です。
  2. 「就業促進定着手当」の対象になる
    再就職手当を受けた人が、再就職先で6か月以上雇用され、かつその6か月間の賃金日額が前職の賃金日額を下回った場合、追加で「就業促進定着手当」を受け取ることができます。

    例)前職の賃金日額が10,000円、再就職先の賃金日額が9,500円の場合:
    (10,000円 – 9,500円) × 183日(6か月) = 91,500円
    この金額が、最初の6か月分に対して支給されます(上限あり)。

再就職手当は、早期に再就職することで得られる経済的メリットが大きく、さらに追加支援を受けられる可能性がある制度です。

再就職手当受給の際の注意点

  1. 支給残日数による支給額の違い
    再就職手当の支給額は、就職日(実際に働き始めた日)から数えた支給残日数によって変わります。採用通知を受け取った日ではないのでご注意ください。また、支給残日数が所定給付日数の3分の1を満たない場合、再就職手当は支給されません。

    例)所定給付日数90日の場合
  • 支給残日数60日以上 → 支給残日数 × 基本手当日額の70%
  • 支給残日数30日~59日 → 支給残日数 × 基本手当日額の60%
  • 支給残日数29日以下 → 再就職手当は支給されません(0円)。
  1. 「高年齢再就職給付金」の対象外になる
    60歳以上で再就職する場合、条件を満たせば「高年齢再就職給付金」が支給されますが、再就職手当を申請するとこの給付金の対象外になります。どちらを受け取る方が有利かを事前に確認してから手続きしてください。

再就職手当はメリットが多い反面、支給条件や他の給付金との兼ね合いに注意が必要です。計画的に制度を活用しましょう。

まとめ

再就職手当は金銭面においてはメリットが大きいですが、あくまでも一時的な金額でしかありません。再就職手当を目当てに就職先を決めてしまい、結果短期で離職してしまうようなことがあってはなりません。希望する業種、職種がありその求人があれば早期に再就職した方が良いですが。そうで無い人は所定給付日数の間は給付金が入りますので、今後の方向性の検討や自己研鑽にその時間を使うことで今後の職業人生に役立てても良いのではないでしょうか。

もっと詳しく知りたいかたはこちらから(厚生労働省ページ)

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