国内の企業では、これまで主流だった「メンバーシップ型雇用」から、「ジョブ型雇用」への移行が進んでいます。長く続いたメンバーシップ型雇用は、終身雇用制を前提とした日本独特の形態であり、長期間の勤務や年齢、勤続年数に応じた賃金体系が特徴でした。
しかし、終身雇用の崩壊や転職の一般化に伴い、組織の業務が属人化し、突然の退職で業務対応が困難になるなどの問題が表面化しました。その解決策として、業務の仕組み化が進み、雇用形態も「ジョブ型」へとシフトしてきています。
ただ実際には「ジョブ型」に対する誤解も多々あり、この際ちゃんと理解しておきたいところです。
目次
メンバーシップ型とジョブ型の違い
メンバーシップ型雇用
- 特徴: 「人に仕事を割り当てる」考え方で、会社の一員として雇用されます。担当業務は会社主導で決まり、キャリア形成も社内で完結します。
- 賃金体系: 年齢、勤続年数、能力に基づく。
- 課題: 主に社内で通用するスキルに依存し、転職やキャリアチェンジが難しい。
ジョブ型雇用
- 特徴: 「仕事に人を割り当てる」考え方で、特定の業務スキルを持つ人が採用されます。異動は基本的にありません。
- 賃金体系: 仕事の難易度に応じて決定。
- 強み: 年齢に関係なくキャリアアップや転職が可能で、個人のスキルや自己研鑽が重要。
ジョブ型雇用とセカンドキャリア
ジョブ型雇用はスキルを重視するため、50代以降にとっても大きなチャンスを提供します。年齢に左右されず、持っているスキルを活かして転職やキャリアチェンジが可能で、定年後の再就職にも適応しやすい仕組みです。
スキルを把握する重要性
- 自身の能力を理解し、自信を持って活用するためにスキルを明確にしましょう。
- 「会社の肩書き」や「役職」に依存せず、自分自身の価値を認識することが重要です。
実践的な棚卸し方法
紙に書き出す
- 具体的なスキルや経験を書き出すことで、自分の実績や得意分野を客観視できます。
- ツールの活用: 厚生労働省の「ジョブ・カード」やスキルシートを活用すると整理しやすくなります。
スキルの種類別に整理
- テクニカルスキル: 専門知識や技術、資格、ツール操作など、業務を遂行するために必要な具体的スキル。
- 例: ExcelやPowerPointの操作、プログラミング、会計知識。
- ヒューマンスキル: 他者と円滑に協力し合うための対人能力。
- 例: リーダーシップ、チームビルディング、交渉力。
- コンセプチュアルスキル: 複雑な課題を理解し、解決策を導き出す能力。
- 例: 分析力、戦略立案、イノベーション。
自己理解の重要性
これまでの経験やスキルが特定の業界や職種だけで通用すると思い込むのは、キャリアの幅を狭めてしまいます。ジョブ型雇用の時代においては、自分のスキルを再評価し、様々な選択肢を探ることができます。
おすすめのアクション
- 転職や再就職を検討する際には、まず「自己理解」を深めるために棚卸しを行いましょう。
- 自分の強みを活かせる仕事や新たなスキルを身につける道を探ることで、充実したセカンドキャリアを築くことが可能です。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング社は、ジョブ型雇用の実態について調査をしており、企業人事部門へのアンケートをおこなっています(2021年)ので、こちらも参考になるのではないでしょうか。
ジョブ型雇用の普及は、シニア世代にとっても新たな可能性を広げる機会となります。ぜひ自分自身のスキルを見直し、新しいキャリアの可能性に挑戦してみてください。
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