ーなるほど、シニアにとって介護の仕事は環境的にも取り組みやすいということですね。しかし、介護に全く興味がないという場合はどうでしょうか?
こんなことを言うと会社に怒られてしまうかもしれませんが、実は私も最初は介護に全く興味がなかったんですよ(笑) 就職したての頃、仕事で施設に行かなければならない時、最初は本当に嫌でした(笑)
ただ、徐々にですが、現場スタッフとコミュニケーションが多くなって、みんなでお酒を飲みに行ったりして仲良くなりました。彼らと話をするうちに「現場スタッフの職場環境を改善する必要があるな」と自然に思うようになってきて、その辺りから施設と利用者のことを真剣に考えるようになったという感じでした。
だから、最初から「奉仕しよう」という気持ちがなくとも、次第にこの仕事を好きになるということもあると思います。
ーよく「家族の介護を他人に任せるのは無責任では?」という意見を聞きますが、佐々木さんは「介護の仕事」をどのように捉えていますか?
私は、介護は基本的に従事者など「プロ」に任せる方が良いと思っています。
よくあるパターンですが、娘さん・息子さんが親御さんのお世話をしている場合、介護されるほうは「やってもらって当たり前」と考えたり、介護する側もどうしても口調や態度がきつくなるなど、お互いがストレスを感じることが多いですね。
それが、介護従事者の場合だと、契約して対価が発生するということが前提となって、お互い「サービスを受ける」「サービスを提供する」という概念がありますから、感謝というか気持ちよく接することができるようになります。介護を受ける方も自然に「お世話してもらってありがとう」という気持ちになって、結果として介護される方の在宅生活のQOLが上がって「専門家に来てもらって良かった」ということになるんですね。
親だから、子だから、といって介護にこだわると、そのぶんギスギスした関係になってしまうということはよくあります。頑張りすぎて疲れてしまうと、良いことはありませんね。
ーでは、介護のお仕事の「やりがい」は、ずばりどんなところでしょうか?
一般の仕事と違い、この仕事をされている人で、所謂「出世」のようなものをモチベーションにしているかたは殆どいないです。そのかわり、介護の場合は、利用者やそのご家族から日々「ありがとう」と言われます。それも建前ではなく、心から「ありがとう」と言われるのを実感できます。
普段我々が外食に行ったりしても、そこで働いているひとにむかって「ごちそうさま」と言うことはありますが、心から「ありがとう」と言うことは少ないと思うんですよ。
ある意味素朴ではあるけど、根源的で素直な、利用者さんやそのご家族からの「ありがとう」の気持ちが、介護で働く上での「やりがい」なんだと思いますね。
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