介護業界で高齢者が働くということ

シニアが定年後にまた働こうとしたとき「どうせ働くのであれば自分らしく満足できる仕事をしたい」「やりがいを見つけたい」そう考える方も多いと思いますが、なかなか思い通りの仕事につけないことも多いのは確かです。

今回は、介護の世界で実績と絶対的な信頼を持つ業界団体である「一般社団法人日本在宅介護協会」の事務局長佐々木様に「介護業界でシニアが働くということ」というテーマでお話をお聞きすることができました。

ー本日はお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。最初に、佐々木さんが在籍されている協会について教えていただけますでしょうか。

日本在宅介護協会は、そもそも昭和63年に訪問入浴のサービスの事業者団体からスタートしました。平成元年にもうひとつ在宅介護事業協議会というのが立ち上がって、それらが平成10年に合併して現在の協会の母体となりました。

そのころは介護というと自治体による福祉サービスのひとつで、自治体が各地の福祉事業者に委託をしていて、100%税収による運営だったわけです。それが平成12年に介護保険制度がスタートすることになり、民間介護事業者の参入も許可されることになりました。介護保険制度スタートに向けて両者の合併が行われたということです。

ルーツをさかのぼると、厚労省との密接な関わり合いなども含め、業界団体の中では一番歴史・伝統がある協会であると言えます。

ー佐々木さんのお仕事についてもお教えいただけますか?

私自身、現在は協会の会員企業から出向し、事務局長として働いています。協会の理事会で決議された内容を履行していくのが事務局の役割であり、例えば内部の調整や厚労省への提言内容の取りまとめ、各部会の活動内容の取りまとめなど、ありとあらゆることをやっています。

ーシニアライフデザイン協会では、シニアの就労について情報発信をしています。佐々木さんは「介護業界でシニアが働く」ということについてどう思われますか?

そうですね。介護というのは、利用者のプライバシーや生活の領域に踏み込まざるを得ない、割とセンシティブな仕事です。だから、いろんな社会経験・体験を積んで、相手の気持ちを察することができるシニアの方にとって「介護の仕事」はピッタリだと思いますね。いろいろな経験をお持ちの方であれば、利用者の方もそのご家族も、皆さん安心されますし大変喜ばれると思います。

実際、現場で中心になって働いているのはシニアの皆さんです。訪問介護の従事者の平均年齢は60代ですし、70代でも現役バリバリで活躍されてます。会社ごとに定年制度の違いはありますが、基本的に体力があればいつまでも働けます。年齢を理由に誰かに「辞めてくれ」と言われることもありません。

シニアの皆さんには是非、介護の仕事にチャレンジして頂きたいと思います。

ーでは、これまで介護に関わったことのないシニアが「介護の仕事をしてみよう」となったら、なにから始めたらいいのでしょうか?

いきなり資格をとるのはハードルが高いので、どこでもよいですがご自宅の近くにある介護事業所に見学にいって、手伝えることから始めるということもできると思います。大手の会社であれば「有償ボランティア」という制度がある会社もありますし、無資格でも働けるところがあります。

やってみて「この仕事、自分に合っているかも」となれば、もう少し突っ込んで非常勤スタッフに、さらに意欲があれば常勤に、というステップが良いかもしれません。今はどこにでも介護事業所がありますので、通勤で負担がかかるといったことも無いでしょう。勤務時間なども、ご自身の希望も伝えやすいのではないでしょうか。

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