髙平ゆかり先生のセカンドキャリア相談室「起業か、個人事業主か?」
今回のセカンドキャリア相談室の相談者は57歳の女性の方です。メーカー勤務で、今後起業すべきかどうかを悩んでいるとのこと。まずは相談内容から・・・
はじめまして、現在57歳の今井といいます。
メーカーのマーケティング部でマネージャーをしています。新卒で外資系企業に入社しましたが、途中今の会社からヘッドハントされました。ストレスもあり大変な仕事でしたが、これまで順調にやってこれたと思っています。ただ、来年で役職定年を迎えます。
外資系の時に鍛えられたこともあり、英語は得意で日本語教師の資格も持っています。役職定年を目の前にして、自分で何かを始めた方が良いと思っていますが、起業するか個人事情主かはまだ決まっていません。
夫と二人暮らしで子供はいません。義母が夫の実家で一人暮らしですが、私の両親は二人とも早くに他界しました。貯金もそこそこありますから、これから先の仕事は、自分が好きでやりがいのあることをしていけたらいいなと思っています。
起業をするとしたら、どんなことに気をつけたほうが良いのか、年齢的にも先々のことを考えてこじんまり個人事業主として働いたほうが良いのかを思案しています。
良いアドバイスがあれば是非お願いします。
目次
今井さん、こんにちは。高平です。ご相談ありがとうございます。
外資系の会社で鍛えられ、ヘッドハンティングで転身し、今の会社でもキャリアアップ理想的な女性の成功キャリアですね。おそらく独立できるだけの仕事の経験値とスキルに一定の自信をお持ちのことと思います。
定年後のことも考えて、得意な語学を活かし「日本語教師の資格」を取ったり、貯金(独立資金)もして、忙しい中で少しづつ将来の準備をしてきたことが伺えます。そうやって計画的に物事を進めることができる人は、基本的に自己管理もしっかりできるので、独立や起業への壁も乗り越えられそうですね。
少し気になるのが、そういった今井さんの凄いところが、逆に弱点にもならないかということです。
これまでのキャリアは決して平坦な道ではなかったと思います。数々の難局を乗り越える中で、無理を重ね、心理的にギリギリの状態になったこともあったのではないでしょうか。また、「こうあるべき」という理想や想いが、気づかないうちにご自身のストレスになっていた可能性もあります。
ビジネスにおいて、適度なストレスや緊張感は必要ですが、今は**「頑張った自分を労う時間」**を持つことも大切です。次のステージに向けて、心身の充電をしながら準備を進めましょう。
1、起業・個人事業主についての情報収集を始めましょう
ポストオフまでの間に、起業やフリーランス(個人事業主)に関する情報収集を進めてみましょう。
女性の起業には、民間や公的機関を含め、多くの支援サービスや助成金が用意されています。特に、お住まいの自治体や地域の制度を確認し、使える支援は最大限活用するという意識で情報を取捨選択してください。
例えば、**「TOKYO創業ステーション」(千代田区丸の内)**では、以下のようなサポートを無料で受けることができます。
- 知る・学ぶ(セミナー・講座の受講)
- 相談する(専門家への個別相談)
- 人脈を広げる(起業仲間との交流)
これからスタートアップを考えている方には、おすすめのインキュベーションセンターです。
2、起業に向けたプロセスを考えましょう
起業を進める際には、以下のプロセスを意識してください。
① ビジネスモデルの構築
- 誰に、どのようなサービスを提供するか?
- どのくらいの収入を目指すのか?
- そのために必要な売上はどれくらいか?
これらを具体的に考えることが、事業の成功につながります。
② パートナーや核となる人材の確保
- 一人ですべてをこなすのは難しいため、協力者やパートナーを確保しましょう。
- もし人を雇うのが難しい場合は、個人事業主として小さく始める選択肢も検討できます。
③ 事業計画の策定
- 事業計画は、助成金の申請にも必須です。
- 短期(1年)・中期(3年)・長期(5年)の計画を立て、収支のシミュレーションを行いましょう。
④ 起業資金の調達
- 自己資金の活用
- クラウドファンディング
- 助成金・補助金の申請(各自治体・政府の支援策を活用)
起業前に、どの方法で資金調達をするのか明確にしておきましょう。
⑤ 顧客ターゲットの選定
- 見込み客のリストアップ(売上の源泉となる顧客の特定)
- ターゲットのペルソナ設計(具体的な顧客像を明確に)
⑥ 販売・広報戦略の策定
- どのように顧客にアプローチするか?
- WEB戦略(HP・専用サイトの構築)の活用
特に、オンラインの活用は集客やブランディングに大きな影響を与えます。
⑦ 起業に関する法的手続き
- 会社を設立する際には、税務・法務・登記などの手続きが必要です。
- 事前に、起業に関する法的な要件をしっかり調べて対応しましょう。
⑧ マインドセットの確立
- サラリーマンと起業家の違いを理解する(収入の安定性の違いを認識する)
- 「なぜ起業するのか?」を明確にする(目的を持つことで軸がぶれにくくなる)
3、個人事業主から始めるのも一つの選択肢
起業にはリスクもあります。
そのため、最初は個人事業主としてスタートし、徐々に規模を拡大するのも一つの方法です。
ただし、助成金や資金調達の面では、法人化(会社設立)のほうが有利なケースもあるため、自分にとって最適な形を選ぶことが重要です。
4、最後に
最終的には、今井さんの気持ち次第です。
焦らず、必要な情報を集めながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。