“認知症でも自分らしく生きる”を支援

―『ショッピングリハビリ ひかりサロン蓮田』について教えてください。

ここは、もっと軽度で認知症になる手前の方のための予防デイサービスです。高齢者にとっての問題の一つは、「閉じこもり」です。高齢になると移動難民となり孤立状態となり、「閉じこもり」から「フレイル」へと進行し、「要支援や要介護状態」となる方も多いです。

『ショッピングリハビリ』 では、今まで通っていたスーパーにもう一度社会参加し、買物します。仲間ができ交流もします。そうすると、笑顔が戻ってきます。買い物でたくさん歩くので、運動機能の回復が期待できます。

加えて、“自宅に何が不足しているのか”“何を食べたいのか”を考え、旬な食べ物を判断し、購入するので認知機能や意欲の改善にもつながります。結果的に、自宅で過ごせる期間を長くすることができます。

蓮田あたりですと、高齢者は移動手段がなく、買い物難民となり、歩くことも話すこともしなくなります。こういった閉じこもり対策として、買い物を再度できるようになることが、高齢者の社会参加につながると考えました。

でも、ショッピングモールの中に、デイサービスを設けることには苦労しました。今回は、行政である蓮田市、デベロッパーである東武さん、介護事業者である私たちが歩み寄ることで、この事業を成立させることができました。社会課題を解決する事業の推進の為には、これに利用者を加えた「四方良し」を理解しないとなかなか成立しません。

ここでは、午前10人、午後10人を受け入れています。買物以外にも、「昨日何を食べた?」「今朝何を食べた?」という会話で思い出す訓練から始まり、ウォーキングや体操も行います。また、季節折々の外出活動も行っています。

『ショッピングリハビリ ひかりサロン蓮田』

この認知症予防の『ひかりサロン蓮田』で適切なケアが出来なくなった時に、『和が家のくらしとシゴトバ デイうるひら』や『和が家の古民家 デイいぶき』に引き継いでケアをしていく提案をしていきます。

―『くらしとシゴトバデイ うるひら』とはどのような場所なのですか。

ここは、地域共生型のデイサービスです。認知症の方にとっての単なるデイサービスではなく、子ども達が駄菓子を買いに来てここで食べたりします。認知症の方も雑巾を作ったり、入学式にお花のプレゼントをしたりします。

支える側と支えられる側という発想ではなく、福祉という視点で、共生(お互い様というあり方)できる社会に変えていきたいと考えています。子どもにとってはセカンドプレイス、サードプレイスであり、認知症の方にとっては人と接したり、社会参加したりする場です。

『くらしとシゴトバデイ うるひら』

また『いぶき』では、若年性認知症の方が有償ボランティアとして働いています。いわゆる「働く事がケアになる」という考え方です。認知症の高齢者も、若年性認知症の方も、自分らしい生活ができるように地域で助け合えること(地域包括ケアシステム)を目指しています。

―今後についてはどのようにお考えですか。

よく「もっとこういう場所を増やして欲しい」という声を頂きます。ただ、認知症ケアができる人材をもっと育成していかないと、他にもケアできる場所を作れないのが現状です。もちろん、理念に惹かれて、チャレンジしようと入ってきてくれる人も最近は増えてきています。今後も、認知症ケアができるような集団や場所を作っていくことで、地域により貢献していきたいと思っています。

認知症共生社会をつくるためにも、認知症や障がいの方も含めて社会参加し続けられる場所を創っていきたいとも考えています。最終的には、福祉の力で地域をケアする「地域をまるごとケアするプラットフォーム」を目指しています。

―シニアの方に向けて何かアドバイスはありますか。

歳をとると人と接する機会が少なくなり、人との繋がりがなくなってきます。高齢者にとっては“孤立”や“孤独”が最も大きな問題です。私はコロナの時期にも、コロナより“閉じこもり”のほうが怖いと言い続けてきました。

今までは60才になったら仕事は引退と考えられてきましたが、「60才で仕事を辞めないで!」と言いたいです。仕事は社会参加する場でもあるのです。どれだけ社会参加できる期間を引き延ばせるかが、シニアの方の心身の健康につながってきます。要らないと言われるまで、働き続けてほしいですね。

■『和が家グループ』の詳細についてはコチラ
Instagram:wagaya.life1

トップページに戻る

1 2 3
よかったらシェアして下さい。
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次