株式会社高齢社:シニアの働き方を創る企業

株式会社高齢社は、東京ガスOBの上田研二氏が2000年に立ち上げた企業で、主に65歳以上のシニアを対象とした人材派遣業を展開しています。社名の「高齢社」はユニークでありながら、その理念を端的に表しています。

当初は東京ガス関連企業との取引を中心に事業を開始しましたが、現在は一般企業への派遣も拡大し、東京ガス関連が約6割、それ以外が約4割となっています。現在の社長は村関不三夫氏が務めています。

シニアの働き方を創る企業として多くのメディアからも取り上げられています。

現社長・村関不三夫氏

創業のきっかけ

高齢社という名前もまさにそのものズバリという感じですが、会社設立の経緯を教えていただけますか?

高齢社は2000年に上田研二が62才の時に創業しました。彼は東京ガスの検針員からスタートし、子会社の社長にまでなった人物です。その上田が東京器工の社長だった当時、新築マンションのガス機器の点火確認や内覧会業務をおこなう人材の確保に苦労していました。そんな時、定年した先輩たちの力を活かせるのではないかと考えたのです。

また、上田は90年代に当時の通産大臣・橋本龍太郎氏の講演を聞き、高齢者が働く時代が来ると直感したことも起業の後押しとなりました。

高齢社の成長と現状

高齢社は現在何名くらいの会社なのでしょうか?

2000年には登録者25人でしたが、現在は1046人にまで増えました。そのうち397人が就労しており、約4割が仕事を持っています。登録者の最高齢は84才、就労している人の最高齢は82才です。

2012年に『ガイアの夜明け』や『カンブリア宮殿』に取り上げられたことで登録者が一気に増えました。この影響で東京ガス関連以外の派遣先も増え、今では東京ガス関係が6割、それ以外が4割となっています。

「売上は右肩上がりに成長し、2019年には7億円を超えました。コロナ禍で一時的に落ち込みましたが、再び回復傾向にあります。」


シニアの働き方とそのメリット

働き方の特徴

高齢社では年齢制限を設けていませんが、基本的には65歳以上が中心です。また、定年も原則ありません。派遣先で問題なく働けると判断されれば、何歳でも働けます。

勤務形態は週3日程度が主流です。ワークシェアリングを活用し、たとえばレンタカー会社の受付業務では早朝はシニア、昼以降は若い人というようなタイムシェアリングの形を取っています。

収入については年金があるため、それほど多く稼ぐ必要はないという方がほとんどです。ただ、生活に少しゆとりを持たせたり、孫に小遣いをあげたりできる程度の収入を得られればいいという声が多いですね。

「きょうよう」と「きょういく」

上田はよく『きょうよう』と『きょういく』と言っていました。

  • 『きょうよう』=『今日、用がある嬉しさ』
  • 『きょういく』=『今日、行くところがある楽しさ』

定年後に何もすることがないと、徐々に生きがいを失ってしまいます。適度に働くことで社会とのつながりが保たれ、健康的に過ごせるのです。


シニアを受け入れる企業のメリット

シニアは長年の経験があるため、即戦力として活躍できます。さらに、社会保険料が不要でコスト削減にもつながります。

また、若い社員にとっては仕事以外の良きアドバイザーにもなります。職場での世代間交流が生まれ、お互いに学び合うことができるのも大きなメリットです。


高齢社の取り組みと課題

働くための心構え

高齢社では、派遣先に行く前に『働くこころがけ』というセミナーを受けてもらいます。例えば、

  • 『あいさつは自分から』
  • 『過去の肩書きにこだわらず、新入社員のつもりで』
  • 『自慢話は1回まで』

などを伝えています。65歳を過ぎたら一度リセットし、謙虚な気持ちで新しい環境に馴染むことが大切です。

今後の課題と展望

企業側がシニアを受け入れることに抵抗を持つケースが多く、年齢を見ただけで『こんな年寄りで大丈夫?』と思われることが課題です。しかし、一度受け入れてもらえれば、彼らの仕事ぶりを見て納得してもらえることがほとんどです。

2021年に70歳までの雇用延長が努力義務化されたことで、企業で長く働く人が増え、登録希望者が減る可能性があります。しかし、一方で待遇に不満を持ち、新たな環境でリスタートしたいという人も出てくるでしょう。

また、健康問題への対応も重要です。登録者や就労者には健康状態のヒアリングを行い、無理なく働ける環境を提供しています。


シニアの未来を見据えて

40代からキャリアの見直しを行い、シニアになっても活躍できる準備をしておくことが大切です。資格取得や新しいスキルの習得が将来の選択肢を広げるカギになります。

これからの時代、シニアの働き方はますます多様化していきます。高齢社としても、シニアの皆さんが元気に働ける場を提供し続けていきたいと思います。

※(株)高齢社についての詳細な情報は以下からご覧ください。
高齢社 – 定年を迎えても、働き続けたいという“気力・体力・知力”を持つ高齢者のために (koureisha.co.jp)関連記事:66才でプロとしてキャリアをスタート

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