働くから元気!高齢者と仕事を繋げる

ーシニアは働いていると幸せの三条件を満たすことができるのですね。

「シニアは働くから元気になる」ということが、厚生労働省の中高年者縦断調査特別報告(2018年3月)のデータからもわかります。前年就労した人と就労していない人の健康改善率を比較したところ、男女とも就労している人のほうが健康改善率が高くなっています。シニアにとっては、適度なストレスと責任感が元気になる要因なのです。

私のモットーは「あ」「た」「ま」で仕事をしようでした。「明るく」「楽しく」「前向きに」仕事をしようという意味です。高齢社に来てからは、私のモットーは「働いて」「元気になろう」「明るく」「楽しく」「前向きに」になり、「は」「げ」「あ」「た」「ま」になりました。

ーシニアが働くことのメリットはどのようなことになりますか?

シニアにとって「きょうよう」と「きょういく」がある、とダジャレ好きの上田が考えました。「きょうよう」とは“今日、用がある嬉しさ”、「きょういく」とは“今日、行くところがある楽しさ”です。定年になって、旅行やゴルフばかりの日々を過ごしていると、何か違うと感じ始めるのです。居場所探しはお金もかかるし、お金のかからない居場所探しは容易ではありません。

また、奥様の生活圏を乱さないというメリットもあります。75%以上の奥様は夫が働くことを喜んでいるという結果がでています。その他にも、無理なく働く週3日程度の勤務、会社や家庭で頼られる存在でいられること、自分に収入があることなどのメリットがあります。

このように、シニアが働くことのメリットは、先ほどの幸せな老後を過ごす三条件、「健康」「つながり」「そこそこのお金」と一致しています。

ーシニアが働くときに、派遣先から求められることはどのようなことでしょうか?

派遣先が決まった方には、『働くこころがけ』というセミナーを受けてもらいます。「あいさつは自分から。新入社員のつもりで」「かつての部下でも年下でも“さん”で呼ぶ」「「自慢話は1回まで。言わないように意識する」「過去の知識・経験を活かしつつ、謙虚な気持ちで仕事に取り組む」などといったことをお話します。私は特に、「65才過ぎて働けることに感謝する気持ちをもってください」「謙虚であることを心がけてください」ということをよく言っています。「以前、部長だった」と偉そうにするのではなく、65才で一回リセットし、何でも進んでやることが大事です。

私も過去には自分の部屋があって、秘書もいました。今は大部屋で何でも自分でやっています。妻にこれまでで一番イキイキしていると言われました。ある意味、今はとても充実しています。

ーシニアを受け入れる側の企業のメリットはどのようなことがあげられますか?

シニアは専門知識があり、基本的に何も教えることがないので、即戦力になります。社会保険料不要など低コスト化が図れる、人生の先輩なので仕事面以外でも良きアドバイザーである、などといったメリットがあります。

ー現状抱えている課題はどのようなことですか?

登録者と仕事のマッチングの問題があります。高齢社の場合は、東京ガス関係者が比較的多く、過去の仕事の実績がわかっているので、安心して派遣先に送れるという面はあります。受入れ側(派遣先)のシニアに対する認識のズレの問題は大きいです。書類の年齢を見て「こんな年寄りで大丈夫?」と思われてしまいます。一回受け入れてもらうと認識が変わり、年齢はそれほど大きな問題ではないとわかってもらえるのですが、一回受け入れてもらうまでが大変です。そのためには、高齢者を雇うことのメリットを理解してもらうことが必要です。

2021年に70才までの雇用延長が努力義務として定められたため、今後は、70才まで同じ会社で働き続ける人が増えることが予想されます。登録を希望する人が減るかもしれません。しかし、給料など待遇が悪くなることでモチベーションが下がる人には、リセット機会を提供できると考えています。

また、高齢者ゆえの健康問題があります。登録者や働く人には必ず健康状態を必ずヒアリングしています。

ー東京ガスOBの方のような特別なスキルがない場合は、仕事が見つかりにくい気もしますが。

特別なスキルがない場合は、仕事なら何でもいいです、という風にそれまでのキャリアをリセットすることが必要だと思います。仕事をすることを優先したいという方は仕事が見つかります。一方で、ITスキルなど今後も通用するスキルはあると思いますが。

これからの時代、40代ごろから将来のキャリアを考え始めたほうがいいと思います。資格を取るなり、起業を考えるなり、シニアになってからの準備をするなら今のうちと言ってあげたほうがいいと思います。

※(株)高齢社についての詳細な情報は以下からご覧ください。
高齢社 – 定年を迎えても、働き続けたいという“気力・体力・知力”を持つ高齢者のために (koureisha.co.jp)

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