60代ハナコ、シニアとしての第一歩

ー今後仕事をする上で、優先したいことはどのようなことですか。

退職するまでは、クライアントファーストで、正直イヤだけれどやらなくてはならない仕事もありました。これからはお金をもらうから仕方なく仕事をするということはしたくないと思っています。楽しく仕事をしたいですね。貰えるお金は少なくても、おかずがもらえるみたいな・・・。とにかく、自分の時間を費やすのが楽しいと感じていたいです。

農家になるのは無理なのですが、例えば農業でもドローンを使うような、大規模資本が入っているようなことはイヤだな、もっと土に近いところに関わりたいなと思っています。今はこんな風に、やりたいことの方向性を何となく区分けしています。

ー何才まで、どんな風に働くイメージをお持ちですか。

元気だったら、70代までお金を貰えるような働き方ができたらいいですね。何らかの形で、細々でも75才位まで働きたいです。いずれにせよ、身軽な形で働きたいです。起業ということも聞かれるのですが、面倒くさいなと思ってしまいます。個人事業主で十分かな。やることが見えてきたら、経験のある方に聞こうと考えています。

ーこれからに向けて不安はありませんか。

病気の不安とかはあります。ですから、健康にはとても注意しています。人と会って美味しいものを食べるのが好きなので、胃腸の病気にはなりたくないです。

お金もきちんと考えたら、不安になるかもしれませんね。

私はお一人様なので、困ったときに助け合えるような緩やかな繋がりはほしいです。ずっと仕事をしていたので、地元との接点がまだほとんどありません。リタイアした男性と一緒です。いざという時に頼れるような、つかず離れずのクールな繋がりを作りたいです。地元のプール友だちとそんな話をしています。そういう仕組みを作るのが仕事になってもいいかもしれませんね。

ーこれからを生きる上で、大事にしたいことはどのようなことですか。

「自分がご機嫌でいること」を大事にしたいです。自分がハッピーな状態でいることを自分でどう作れるか・・・。具体的には、美味しいものを食べて、人にも会って、できれば飛行機に乗って海外旅行に行く、そういう状態でいたいです。

ー藤本さんはいわゆるHanako世代ですが、Hanakoたちの特徴を教えてください。

楽観的です。世の中が良い時代に20代から30代を過ごしてきました。遊び好きで、お祭り好き。還暦を迎えたら、赤いリュックを買おうかとか、とにかくイベント好きです。

それと、周りもみんな意外と長く働いているなと思っています。就職するときは、定年まで働くとは思っていませんでしたから。

ーHanakoたちはどのようなシニアになるのでしょうか。

1986年に男女雇用均等法が施行されています。日経新聞の記事で見たのですが、雇均法第一世代の女性たちがこれから定年を迎え、定年予備軍の女性が100万人いるとのことです。男性の問題だった定年やセカンドキャリアが、女性にも身近になると書かれていました。第二の人生では「ライフワーク(生涯続けたい)」「ライスワーク(生活のため)」「ライクワーク(好きなこと)」のバランスが大切とも書かれていて、なるほどなと思いました。

私たちのように仕事をしてきた女性がシニアになると、女性のシニア像も変わってくると思います。自分たちのことは自分たちで考えてきました。ですから、イヤなことをイヤと言えるシニア女性が増えてくると思います。そこはこれまでのシニア女性と違ってくると思います。

Hanakoの後ろにはたくさんのシニアが控えていますし、私たちの下の世代では役員になる女性も出てきています。シニア女性像もどんどん変わっていくと思います。

ーHanako世代の女性たちは注目されていますが、同世代の男性たちはあまり話題になりませんね。

確かに、私たちの同世代の男性たちはあまり注目されていませんね。女性たちには変化があったのですが、男性たちは上の世代に引っ張られていて、会社人間、100%会社という人が多いです。私から見れば、どこで息抜きしているのかなあと思ってしまいます。男性たちは、私たちより下の世代のイクメンが登場したあたりから変化してきていると思います。私の弟を見ても、自分の子どもとの時間は最優先にしていますし、私たちの世代との違いを感じます。奥さんの社会参加が進んでいる、その下の世代の男性はもっと変わってきていると思います。

ーシニアHanakoの登場でシニアマーケットにどんな変化が起きると思いますか。

私たちは花柄の杖はつかないよねと言っています。今あるシニア向けの服を見ても、こんなの着ないよねと言っています。今のデザイナーたちはやることがたくさんあるはずです。デザイン面が改善されたらもっと評価されるものはあると思います。

マツコデラックスが言っていたのですが、老人施設で「ゴハンですよ」と言われても食堂には行きたくない、自分の部屋から出ていかないと。まさに同感です。ひとりでゴハンを食べたい日もありますし、皆で歌を歌ったりするようなこともしたくないですね。施設に入っている叔母を見ても、こんなところで人生の最後を過ごすのは少し気の毒に思えてしまいます。

人生の最後まで自分で決められるといいなと思います。私のようなお一人様も増えてくるので、肉親のサポートだけではなく、友人や第三者にもっと委ねられるようになるといいと思います。

私たちは我慢しないので、車椅子になっても積極的に出かけると思います。そんな風に皆が出かけたら、車椅子を補助する駅員さんが一度に10人位必要になるかもしれませんね。

※藤本さんのコラム【60代ハナコの現在・過去・未来】はコチラ

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