84歳の営業マンが働いていた印刷会社

シニアの雇用は、意欲・能力・体力が決め手。

左 奥村社長 右 輿石役員

奥村印刷には社員定年後の60歳から65歳まで働ける再雇用制度があり、更に働く意欲のある人は65歳以降も嘱託社員として会社に残ることができます。

その際、年齢の上限は無く、去年まで84歳の営業マンが在籍していたそうです。今回は、シニアの雇用と就労について、奥村社長と63歳で入社した輿石役員からお話をお聞きしました。

まずは、奥村文泰社長に、シニアを受け入れる企業側はどんなシニアなら雇うのだろうか、シニアにどのようなことを期待しているのだろうか、などについてお話を聞いてみました。

―御社のホームページには、企画から納品までの内製率が90%と表記されています。9割を内製化することは、優秀な人材を確保しないと出来ないかと思いますが、定年後の再雇用制度、更に65歳以上の嘱託制度は、優秀な人材を確保するための施策のひとつでしょうか。

60歳から65歳までの再雇用制度は、どちらかと言うと国の方針として設けているので一概にそうとは言えませんが、優秀な人は65歳になっても会社に残ってほしいので、こちらからお願いして働いてもらっています。そういった意味では、この制度は優秀な人材の確保にはなっていますね。去年までは84歳の営業マンがいました。

―84歳ということは「嘱託制度の年齢の上限はない」ということですね。

本人の意欲と能力があれば、ずっと働いてもらいたいので、嘱託の場合は年齢の上限は決めません。私はそもそも、年齢で区切りをつけるのはおかしいと思っています。

私が60歳の時は、まだまだ気力も体力もあったし、そのくらいの歳のほうが人脈も広がっていて活動しやすかったですね。だから、私の場合は60過ぎのほうが仕事は充実していました。

―奥村社長は、現在おいくつでしょうか。

70歳です。47歳で3代目社長に就任しました。当社は今年で創業76年になります。

―ご自身の経験からも、60歳でも十分に働ける。更に、意欲と能力があれば、70歳でも80歳でも会社の戦力になるので雇用する。ということですね。

そうです。要は、やる気、気力、そして体力ですよ。それがあれば、うちは雇います。

―御社の従業員数が180名ですが、そのうち60歳以上のシニアは何人ぐらいでしょうか。

60歳から65歳までが18名、65歳以上が10名なので、合計28名です。従業員全体の約15%がシニアです。

―客観的に見てシニアが占める割合が多い気がします。それだけシニアが会社を支えているのでしょうね。シニアの方には、どのようなことを期待しますか。

仕事の早さですね。シニアでも体力のある方はいます。そういう方は、仕事を熟知しているので工場での動きが早いですよね。また営業力のある方は、話をまとめるのが早いです。

去年退職した84歳の営業マンは出身大学で学友会の理事をされていました。その学友会に集まる人たちは企業のトップが多いので、そこで仕事の話をするとすぐに仕事がまとまります。そのような仕事の早さを期待して雇用しています。

―会社にとってシニアが戦力になっているということですね。

そうです。シニアの方々は当社にとって貴重な戦力です。但し、お得意様の担当者が若い方だとジェネレーションギャップが起きるので、その様な時は若い営業マンを補佐につけて、フォローしています。

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