ーセカンドキャリアは何才位から考え始めたほうがいいとお考えですか。
可能ならば、セカンドキャリアは40代半ばから考え始めたほうがいいと思います。なぜなら、すぐに答えが見つからないからです。40代半ばというのは、子育てもひと段落して、会社の中でも先が見えてくるタイミングです。何かやりたい、このままでいいのだろうか、70才まで今の会社にいられるだろうか、このまま会社にしがみついていていいのだろうか、などということが心に浮かんできます。私の場合は、そこからセカンドキャリアにたどりつくまで10年かかりました。60才手前から考え始めるのでは時間が足りないと思います。
自分の強みを築くのには、時間が必要です。セカンドキャリアのためには、自分の市場性を知り、自分の足りないものを補っていくということを戦略的にやっていく必要があります。いわゆるキャリア自律というものです。研修を受けている方と接してみると、自分の市場性というのは、自分ではなかなか気づきにくいようです。本人にとっては自分がやっている仕事が当たり前すぎて、自分の市場性は他の人と話す中で気づくことが多いようです。
セカンドキャリアを意識し始めたら、本を読んだり、セミナーに参加したりするなど、行動したほうがいいと思います。仕事をしながらできることから始めればいいと思います。
ー参加者の方たちのセカンドキャリアに関する悩みはどのようなことですか。
参加者の方の多くが、60才の定年の後、少なくとも10年は何かやっていたいと考えています。彼女たちには、ファーストキャリアではやりたくないこともやってきたがセカンドキャリアではやりたいことをやりたい、モーレツに働くことはしたくないが社会に貢献したい、単にお金のためではなく頑張っていきたい、などといった思いがあります。いずれにしても、会社中心で回ってきた生活からマインドチェンジをしなくてはなりません。そこに共通の悩みがあります。
また、何となくやりたいことの方向性がわかっている方、例えば、子どもに関わりたいとか、食に関わりたいとか、がいる一方で、何をやったらいいかわからない方もいます。やりたいことをやればいいとお伝えすると、本当にやりたいことは何だろうと考え込んでしまう方もいます。本当にやりたいことがなかったら、とりあえず目の前のやりたいことをやってみればいいのだと思います。“本当にやりたいこと”の呪縛にとらわれずに、ちょっとやってみればいいのです。やりたいことは紆余曲折があって、変わっていってもいいのだと考えています。
ーセカンドキャリアを考えていくときにポイントとなることはどのようなことでしょうか。
ファーストキャリアはお金を稼ぐことが目的として大きいのですが、セカンドキャリアはその点が異なってきます。セミナーでもまず90才までのキャッシュフローを考えてもらいます。仕事も楽しみたい、人生も楽しみたいという姿勢で臨めばいいと思います。先ほども申し上げたとおり、セカンドキャリアのポイントはやりたいことを見つけられるかだと思います。
今の仕事をやりながら、やってみたいことをボランティアや副業という形ででも始めてみればいいと思います。セカンドキャリアといっても、すぐに稼げるようにはならないことも多いのです。そういう時は、割り切って生活に必要な分はアルバイトで稼ぎながら、徐々にセカンドキャリアを作っていけばいいと思います。
また、人とは比較しないということも大事なポイントです。セカンドキャリアを考え始めた時の自分と比較して、少しでも前へ進んでいるかと考えるべきです。セカンドキャリアはこうでなくてはならないということはなく、自分のやりたいようにやればいいのです。
私の場合にしても、私自身がセカンドキャリアをどうしていいかわからなかったというところから出発しています。私はキャリアコンサルタントではありませんが、今のようなやり方でもニーズがあるのだなと実感しています。
ーセカンドキャリアについて、男性と女性の違いはどのような点でしょうか。
男性の場合、オールドボーイズネットワークという人的ネットワークがあります。定年を迎える女性の場合は、前例が少なく、ロールモデルや参考となるサンプルがありません。また、セカンドキキャリアの話をする機会や情報もありません。
私にとっては、大学に進学し、仕事をすることが当たり前のことでした。しかし、当時の女性の4年生大学進学率は10%台前半ですから、私たち世代では定年まで働く女性は多数派ではありません。今後は雇用均等法世代の女性が定年を迎え、普通に働いていたら定年になってしまったというような女性がどんどん増えていきます。これからは、セカンドキャリアも女性の問題にもなってくると思います。
男女間の違いということでは、女性は男性ほどプライドが高くないので、身の丈に合わせてセカンドキャリアをスタートできるというメリットがあります。男性は、起業したら会社を大きくしたいと考えがちですが、女性には男性ほどそういう発想がありません。
ー今後(株)Next Storyはどのような展開を考えていますか。
メニューを増やそうと考えています。セミナーに集まってきた女性たちの“何かやりたい”というエネルギーをもっと形にできるといいなと思っています。マネタイズにつながることができればいいのですが・・・
とにかく、Next Storyに参加した女性たちが、セカンドキャリアでどんどん活躍してくれるといいなと思っています。
(株)Next Storyの詳細についてはこちらをご覧ください。
株式会社 Next Story | マチュア世代の働く女性のセカンドキャリアを支援します (next-st.com)
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