資格のすゝめ(3) DIY編
DIYとは、「Do it yourself」(自分でやる)の略語で、住まいの手入れや補修・改築に必要な作業を専門業者に頼らず、素人が自分で行うことを指します。
DIYは最近日本でも人気を博していますが、その理由のひとつとして、コロナ禍の最中に自宅で過ごす時間をより有意義にしようというが高まったことが挙げられます。ホームセンターにはDIY特設コーナーで製作をアドバイスする店舗もあり、DIYを教えるカルチャースクールや、電動工具・作業場所を貸してくれるレンタル工房などもあります。
DIY関連の資格は、このような場でDIYer(DIYをする人)にアドバイスや指導をする役割を期待されており、代表的なものには以下の3つがあります。特に、DIYアドバイザーはシニアがホームセンターに再就職する際には持っていたい資格です。
・日曜大工士®
・DIY工作アドバイザー®
・DIYアドバイザー
今回の記事では、これら3つのDIY関連の資格について解説します。
日曜大工士®
日曜大工士®は、日曜大工で使用する材料や道具の使い方に関する知識を持ち、家具の製作方法などを理解していることを認定する資格です。日曜大工はDIYとよく混同される言葉ですが、日曜大工は木工を中心とした大工仕事を素人が趣味で行うことを意味します。それに対し、DIYは木工に限らず、住まいに関わる幅広い作業を素人が自分で行うことを指します。
日曜大工士®の認定と試験の運営は、日本デザインプランナー協会が担当しています。資格の取得には、試験に合格する以外にも、協会が認定する通信講座の卒業課題を提出するという方法があります。卒業課題は、協会が認定した「諒設計アーキテクトラーニング」か「SARAスクールジャパン」の指定された講座を受講すれば、提出することが可能です。
さらに、これらの認定講座ではDIY工作アドバイザー®の資格も同時に取得できるというメリットがあります。
【日曜大工士®認定試験 受験概要】
参考
DIY工作アドバイザー®
DIY工作アドバイザー®は、DIYで使用する材料や道具の知識があり、実際に道具を使用する技能を有し、製作方法をアドバイスできることを認定する資格です。認定や試験の運営は日本生活環境支援協会が行います。
受験概要は日曜大工士®と実施団体が異なるのみで、他の項目は同一です。先の項でもご案内したように、協会が認定した通信講座を受講して卒業課題を提出すれば、日曜大工士®の資格も同時取得が可能です。
【DIY工作アドバイザー®認定試験 受験概要】
試験実施団体 | 日本生活環境支援協会 |
受験料 | 10,000円 |
受験申請 | インターネットから申込 |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 70%以上の評価 |
試験日程 | 2か月に1回 |
参考
DIYアドバイザー
DIYアドバイザーとは、生活を快適で豊かにするために、住まいの手入れや補修・改変を自分でしたいと希望する方に対し、DIYの相談に乗りアドバイスや指導ができることを認定する資格です。審査や認定は日本DIY・ホームセンター協会が行います。
以下は、DIYアドバイザーに必要とされる知識や技能の代表的なものです。
・DIYとは何か
・DIYで使用する用品・材料
・DIY関連の法規制
・住宅の種類・構造や手入れ方法
DIYアドバイザーに必要とされる知識や技能は多岐に渡るので、詳細は以下をご参照ください。
試験は毎年1回行われ、一次試験と二次試験があります。一次試験はパソコンを使用して選択方式で解答します。二次試験は東京・大阪の2会場に分かれ、実技研修を別途受講した後、実技試験を行います。
DIYアドバイザーの資格試験が日曜大工士®やDIY工作アドバイザー®の試験と大きく異なるのは、実技試験があることと、認定に有効期限がある点です。DIYアドバイザーの認定有効期限は5年間で、所定の手続きによって更新することができます。
【DIYアドバイザー資格試験 受験概要】
試験実施団体 | 日本DIY・ホームセンター協会 | |
一次試験 | 受験料 | 14,630円 |
受験申請 | インターネットから申込 | |
受験方法 | 全国200か所のテスト会場にて、パソコンでの解答 | |
二次試験 | 受験方法 | 実技試験(東京・大阪) 電動工具や手工具を使用した木工作業、壁紙貼りなど |
最終合格率(2022年度) | 32.7% | |
試験日程 | 1年に1回(一次試験:夏頃、二次試験:秋頃) |
資格取得に必要な費用・期間
ここまでは3つのDIY関連資格について、試験の概要をご説明しました。こちらの章では資格取得に必要な費用や期間について解説します。
日曜大工士®・DIY工作アドバイザー®
日曜大工士®・DIY工作アドバイザー®は、独学なら受験に必要なのは独学の教材費と受験料の1万円のみとなります。認定講座を受講する場合、費用は約6万円~約8万円となりますが、特別コース(仮称)の場合は卒業課題込みの金額となっており、100%の資格保証付きというメリットがあります。これに加えて、認定カードと認定証の発行にはそれぞれ5,500円が必要です。
資格取得に必要な期間は、標準で6か月、最短で2か月です。
【日曜大工士®・DIY工作アドバイザー®の費用】
費用 | 日曜大工士® | DIY工作アドバイザー® |
受験料 | 10,000円 | 10,000円 |
認定講座 ・諒設計アーキテクトラーニング ・SARAスクールジャパン | 基本コース(仮称) 59,800円 ※受験する資格には別途申し込みと受験料が必要。 | |
特別コース(仮称) 79,800円 ※卒業課題込み。100%資格取得保証付き。 | ||
認定カード | 5,500円 | |
認定証 | 5,500円 |
参考
DIYアドバイザー
DIYアドバイザーの資格取得費用は、選ぶ教材や居住地によって費用に大きな開きが出る可能性があります。教材は、日本DIY・ホームセンター協会が販売するオンラインの学科研修か参考書から選択が可能です。この資格は学習範囲が比較的広いので、独学は的が外れる可能性もあり、学習には協会が販売する教材を利用するのが無難です。
実技研修と二次試験は東京・大阪が会場で、2回分の往復交通費と、場合によっては宿泊費が必要となります。これとは別に、登録料や登録更新料も必要です。
【DIYアドバイザーの費用】
受験料 | 14,630円 |
学科研修(オンライン)(任意) | 11,110円(10講座一括購入の場合) |
参考書(全品)(任意) | 32,600円 |
実技研修(東京・大阪) | 不明(二次試験受験対象者へのみ案内) |
東京・大阪までの交通費・宿泊費×2回 | 受験者の居住地による |
登録料 | 14,300円 |
登録更新料(5年ごと) | 14,300円 |
試験に向けていつから準備を始めるかにもよりますが、受験者の知識や技量によっては最低でも半年~1年程度かけて学科と実技を習得する必要があります。なお、二次試験に不合格だったとしても、一次試験の合格者はその後2回まで一次試験が免除されます。
メリットと仕事内容
DIY関連資格のメリットは、収入につながる知識と技能を身に着け、自らの趣味と実益にも役立てることができることです。DIYは老若男女に一定の需要があり、最近ではDIYをしやすい環境も充実してきたため、今後も成長が期待できる分野です。
DIYアドバイザーの仕事内容には、以下のようなものがあります。
・ホームセンターや工具店・金物店での勤務
・カルチャースクールでの講師
・特注品の受注製作
・作品をハンドメイドサイトなどで出品販売
・SNSやYouTubeで活動を発信
ホームセンターではDIYアドバイザーの資格取得を奨励していることも多く、資格保有者は採用に有利で、資格手当の増額も期待できます。
難易度
日曜大工士®・DIY工作アドバイザー®については、資格取得保証付きの講座もあり、難易度は決して高くありません。
その一方で、DIYアドバイザーの2022年度一次試験と二次試験の合格率は最終的に32.7%でした。難易度は低くはないですが、DIY好きなら誰でも比較的取り組みやすいことと、一次試験に合格すればその後2年間は一次試験が免除されることを考えると、努力次第でチャンスは広がると言えます。
適任者
DIY関連資格の取得に向いているのは、以下に多く当てはまる人です。
・DIYや物作りが好き
・大工や職人の経験者
・聴き上手、教え上手
・コミュニケーション能力が高い
・相手の立場で考えられる
DIYアドバイザーの試験を受験するためには、試験年度の4月1日に18歳以上である必要がありますが、日曜大工士®やDIY工作アドバイザー®の受験には特に制約がありません。DIY関連資格は、DIYを自ら楽しみながら人にも教えたいという人には、ぴったりの資格といえるでしょう。
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