おすすめの資格「校正者・校閲者」

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校正者・校閲者とは

2015年に「AIの導入によって日本の労働人口の49%の仕事が10-20年以内になくなる」というレポートが発表されて8年が経過しました。現状としては、まだ実感としては薄い感じではありますが、着実にDX化は進んでいます。

レポートでは、AI(人工知能)に取って代わられる職業として、一般事務職、電車の運転手、銀行員、会計監査、タクシー運転手、コールセンター業務などが例として挙げられていました。いっぽう、AIが代替できない職業として、医師、看護師、弁護士、裁判官、そして、校正者、校閲者が予測されていました。

今回の記事では、セカンドキャリアとしても目指すことのできる、この校正者、校閲者に焦点を当ててご紹介します。


校正者・校閲者は、出版物の品質を保証する重要な役割を担う専門職です。校正者は、印刷された原稿と校正刷りを比較し、誤字脱字や表記ルールの統一を確認します。

これは、細かい字の大きさや書体、組版に至るまでの誤植を見つけ、修正する作業です。印刷物に物差しをあてて赤字で修正を加え、誤字脱字だけでなく、定められた表記の統一やフォント、文字サイズもチェックします。

最終的に「校了」を迎え、印刷が開始されるまで、校正者は細部にわたり慎重に作業を進めます。

一方、校閲者は、文章の内容に関する事実関係や時代背景を調査し、裏どりや数値の確認などを行いながら、原稿と実情のズレを修正します。これには、信頼できる文献のリサーチや的確なデータを参照することが必要で、記事のテーマに関する基礎知識も求められます。医療や天文学など専門的な知識が求められる場合もあり、文系だけでなく理系学部出身の校閲者も多数存在します。校閲者は、単に文章を検証するだけでなく、その内容の信憑性も確認します。

校正者・校閲者になる方法

校正者・校閲者になるためには特定の学歴は必要ありませんが、就職活動においては出版社や新聞社、印刷会社が主な応募先となります。ただし、校正・校閲のみを担当する職種の採用は少なく、ライターや記者がこれらの役割を兼務するケースが一般的です。

民間の校正スクールで基本的なスキルを学び、独立する道もありますし、近年はフリーランスとして活動する人も増えています。ただし、フリーランスで成功するには、校正や校閲に関連する実績やスキルが必要です。大手出版社や印刷会社では「大卒以上」を応募条件としていることもありますが、校正者を養成する民間スクールや講座で知識や技術を身につけ、就職の可能性を広げることも一つの方法です。特に新聞・雑誌や小説などにおいては、誤字・脱字や事実関係の確認が非常に重要とされており、経験者が優遇される傾向にあります。

また、平均年齢がかなり高い職種であるため、一般的な職種と比べて年齢制限はかなり緩く、40代や50代で校正・校閲を未経験から始める人もいます。

ただ、このような場合は前職で高い注意力や調査能力を発揮した経験を持っていたり、(本を読んでいて文章の間違いが気になって仕方がない、などの)校正・校閲に向いている性格をアピールする必要があります。

校正者の必要な資格とスキル

校正者に必要な特定の資格は存在しませんが、校正業務に関連する民間資格はあります。未経験から校正・校閲者になるには、この民間資格を取得するコースが最も一般的です。

その資格の一つが、日本エディタースクールが主催する「校正技能検定」です。この検定は、校正者としての技能を認定し、出版業界や校正者の間で広く認知されています。独学で受験可能ですが、多くは校正スクールの卒業生や既存の校正者が受験します。合格すると、校正者クラブに所属でき、校正に関する情報交換や求人情報を得られます。

校正者は、校正記号の使用やWordなどのアプリケーションでの校正作業にも携わります。これらの専門的な知識やスキルは、校正スクールで学ぶことができ、実務経験を積むことでさらに磨かれます。また、独立してフリーランスで働くことも可能ですが、経験や実績がなければ安定して仕事を得るのは難しいため、現場経験を積むことが推奨されます。


校正者の年収と働き方に関する補足情報

1. 年収と勤務先の違い

校正者の年収は、勤務先や雇用形態によって大きく異なります。

  • 大手出版社や新聞社の正社員
    平均年収は 300万円~500万円 ですが、管理職や専門性の高い役職に就くと収入がさらに上がる場合があります。また、大手企業では賞与や福利厚生が充実しているため、総収入が高くなる傾向があります。
  • 校正プロダクションの正社員
    年収は 300万円~400万円程度 とやや低めです。ただし、昇進やスキルアップによる収入増加も見込まれます。
  • アルバイト
    時給 1,000円~1,800円 が一般的です。案件の種類や勤務地によって異なります。
  • フリーランス
    報酬は 出来高払い が基本で、1文字単価や案件単位で支払われます。経験が浅い場合は 年収100万円~200万円 程度ですが、ベテランになると 年収1,000万円近く 稼ぐことも可能です。

2. 雇用形態とキャリアパス

  • 正社員
    出版社や印刷会社の正社員採用は競争が激しく、新規採用が少ないため、校正プロダクションやアルバイトからキャリアをスタートし、経験を積む人が多いです。
  • フリーランス
    校正者養成スクールの卒業後に独立する人も増加中です。特に、在宅勤務の柔軟性を求める人には魅力的な選択肢となっています。
  • アルバイトからのステップアップ
    アルバイト経験を通じてスキルを磨き、プロダクションの正社員やフリーランスへ転身するケースもあります。

3. 勤務形態と労働時間

  • 正社員
    • 出版社や印刷会社: 週休2日制、1日8時間勤務が基本ですが、締め切り前は残業や不規則な勤務が発生することが一般的です。
    • 新聞社: 夜勤が中心になる場合が多く、生活リズムが崩れやすい傾向があります。
  • フリーランス
    • 勤務時間や休日が自由であり、自身でスケジュールを管理します。ただし、締め切りに追われることが多く、繁忙期には不規則な生活になることもあります。

4. スキルと収入の関係

校正者として収入を上げるには以下のスキルが求められます。

ITスキル
校正ソフトやデジタルツールの活用能力が求められる場面が増えています。

専門知識
出版物の分野に特化した知識(例: 医療、法律、技術書など)があると、高単価案件を受注しやすくなります。

正確性とスピード
作業の効率性が報酬に直結します。精度を維持しつつスピードを上げる技術が重要です。

校正・校閲はAIに代わられるか

AIで無くなる職業として、校正や校閲が挙げられることがよくあります。確かに、文章の間違い探しのようなものなので、素早く文章を認識して間違いを探すのはchatGPTなどのAIの方がよくできそうに思えます。

しかし、現状で校正・校閲が全てAIに代わられる可能性はかなり低いと言えるでしょう。なぜなら、日本語は言葉の順番が多少前後していたり、省略されていても通じてしまうかなりルールの緩い言語であるため、0か1かで機械的に認識するのが難しく、AIとの相性があまり良くないためです。同じ単語でも前後の文脈で意味が大きく変わってしまうこともあるため、結局は人が読んで判断する必要があるのです。

最近では新聞記事をAIが書いて話題になったりもしますが、その記事がきちんと読める文章で内容が正しいかどうかを判断するには人の目がどうしても必要になるのです。そのため、まだまだ先の長い職種であると言えるので、これからセカンドキャリアとして校正・校閲を目指すとしても決して遅すぎることはありません。

まとめ

ここまで校正・校閲とはどんな職業か、目指すにはどうすればいいのかについて解説しました。

文章を読むことが仕事になる、というのはなんだか不思議な気もしますが、活字を読むのが好きな方にはかなり魅力的な職種ではないでしょうか。校正の民間資格や学校など、門戸は比較的開かれている仕事であると言えます。

また、シニア世代での転職も決して珍しいことではないため、40代、50代の方でもチャレンジする価値が十分にある職業です。

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