東洋で初めて足病総合センターを開院

ーサルコペニア、フレイルの予兆を見逃さないことも大切なのですね

そのとおりです。

  1.  体重減少‥年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
  2.  疲労感‥活力が低下していると感じる
  3.  歩行速度の低下‥1秒/1メートル未満
  4.  握力の低下‥男性は26キロ、女性は17キロ未満
  5.  運動や活動の低下‥軽い運動や定期的なスポーツなどをしていない

などが指標で、この時期に適切な対処をすれば、もとの状態にもどり、歩いたり運動をしたり社交的な生活をして心身の衰えを防ぐことができます。

ーポダイアトリーを開設したのは?

みなさん、足がちょっと痛い、足が冷えて不快。足がつる。魚の目やタコが辛い。足の爪が切れない。そういうとき、さてどこに相談しようか、と迷うのではないでしょうか。まあ、たいしたことはないから我慢して暮らす。そのうちにだんだん歩くのがいやになって、筋肉が衰えてしまう。足の異常を感じたら、なるべく早く医者に相談してほしいのです。

諸外国アメリカをはじめとして G7の国の人々は、ちょっとした異常でも、6から8割の方がポダイアトリー、足の総合医を利用します。足の専門医がいるからです。しかし、日本では大多数の方々が足の医者を必要とは感じていない。

ですから私は、“歯が痛いのに耳鼻咽喉科に行く人はいないでしょう? それは歯科医がいるからですよ”と、足の医者の必要性を説いているのです(笑)。

アメリカには足の総合医が約1万5,000人もいて身近な存在です。足首から下の手術もポダイアトリストがします。東洋では香港とシンガポールにイギリスの足病医がいますが、東洋ではまだ一般的ではないですね。

ーこれだけの病院にするという情熱はどこから?

アメリカに留学をしている7年間で、ポダイアトリーがどんなに役立っているか実感して、なんとしても日本の医療に「歩くための医療」を根付かせなくてはと思いました。父母のみとりでの後悔、反省が、心の底にありましたし。

そこで、日本にも足を総合的に診る病院を創ろうと決意しました。日本で診療科を横断して足を総合的に診る領域にいる医師たちのなかに、足の総合的な診断、治療の必要性を感じていて、止むに止まれぬ想いを持っている若い医師たちがいました。そんな同じ志の医師たちを集めてリウマチ病院だった下北沢病院を足の総合病院として生まれ変わらせたのです。

ーこれからの目標は?

3つあります。まずは診断、治療の充実。つぎに足の医療者を教育する。そして社会にポダイアトリーが必要だと訴えていくことですね。

医師同士の連携、研鑽の一例ですが、手術も、骨を整形する手術からカテーテル手術まで、バリエーション豊かですから、ここの内科医たちはできるかぎり手術に立ち会うようにしています。頭のなかで描いていた手術と実際の手術とは違うものなので、その違いを肌で感じ取って研鑽します。

またアメリカで足病医療に精通した教授3名のアドバイザーと連携し、最新の医療情報を共有しつつ「北米型足病教育プログラム」を作成しています。

なんといってもここの大きな使命は、みなさんに足の異常の早期受診をすすめるということです。
「受診して3ヶ月たって気がついたら足がツラなくなっていた」
「おかげさまでもうタコができなくなったんです」
そんな患者さんの笑顔を増やしていき、健康寿命を5年、10年と伸ばしていければうれしいですね。


足と糖尿病の専門病院 下北沢病院【公式】 (shimokitazawa-hp.or.jp)
死ぬまで歩きたい! / 久道 勝也【著】 – 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア (kinokuniya.co.jp)

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