高齢者の力で介護現場の働き方を変革

現役ケアアテンダントとして活躍中の77才。「働くこと」は「生きること」

次に、「癒しの里 西小松川」で『ケアアテンダント』として働いている羽賀マツエさんのお話をご紹介します。

ーはじめに、羽賀さんのこれまでの経歴やご家族について教えてください。

青森県で生まれ育ち、現在77才です。10代で東京に出てきて、理容師をしていました。結婚を機に、1974年に理容師を辞めました。子育てがひと段落した1982年にスーパーの総菜部門に就職し、次に『天むす』のデパートの催事場販売の裏方の仕事をしていました。その後スーパーに戻り、2017年まで仕事をしていました。2017年11月に『ケアアテンダント』の仕事に出会い、丸5年になります。

子育ての一時期以外は、現在までずっと仕事をしています。スーパーにいたときには、日曜日の午後だけ休みという年中無休の状態で仕事をしていたこともありました。その間に、夫の両親の世話や介護もしました。

今は、夫と息子、娘と暮らしています。息子が運送の仕事で独立しており、リタイアした夫は息子の仕事を手伝っています。何かしているほうが身体のためにいいだろうということで、夫は車の助手席に乗っているだけなのですが。今も食事の支度や洗濯など、家事も私が担っています。息子も娘も私が作った料理をおいしいと言って食べてくれています。

ー『ケアアテンダント』とはどのようなお仕事なのですか。

私は週5日、朝の8時から15時まで(うち休憩1時間)働いています。私一人でワンフロアを担当しています。

仕事の内容は、入居者の話し相手、洗濯、シート交換、掃除、手すりの消毒など、介護士の職員の方の補助業務です。職員の方が仕事をしやすいようにと心がけています。

職員の方々は若いので、ファミリー(入居者)の方々は、私のようなシニアのほうが話しやすく、話も合うようです。入居者の方は地方出身の方も多く、私が地方出身なのもいいようです。私から入居者の方々にお声がけをし、お話を聞くようにしています。まずは、心配事や悩み事がある方の話を聞くようにしています。

また、入居者の方の様子を見守って、例えば、トイレに行きたそうな時は、職員の方に伝えたりもしています。職員の方はトイレの介助から何から何まで本当に大変です。入居者の方に「一生懸命やっている職員の方たちに感謝しないといけない」「気持ちは若くても身体は歳をとっているのだから一人で動いてはいけない」などということも伝えています。

ー『ケアアテンダント』というお仕事のやりがいはどのようなことですか。

入居者の皆さんに「ありがとう」と言われるとやりがいを感じます。入居者の方には、皆さんがこれまで頑張ってきたから、私たちは今こうしていられるのだと、お話しています。皆で笑って暮らせるといいなと思います。私も入居者の皆さんに会うのが楽しみです。

今の仕事に大変なことは何もありません。私は早くに両親を亡くしていますので、あまり年齢は違いませんが、女性は皆“お母さん”、男性は皆“お父さん”だと思って、家族のように接しています。

ー『ケアアテンダント』という制度についてどのようにお感じになりますか。

とても良い制度だと思います。職員の方は、排泄の介助、食事の介助、入浴の介助などやらなくてはならないことがたくさんあります。それでも、職員の方は、やさしく丁寧に入居者の方に接していて偉いなと思います。

中には、18才の職員の方もいて、一生懸命やっています。そんな中で、『ケアアテンダント』は、入居者の方の見守りやお話を聞くことなど、職員の方の手が回らない部分を補えます。

ーいつまでお仕事を続けたいとお考えですか。

元気なうちはいつまでも仕事をしていたいと思います。仕事をするのはイヤなことではありません。なんで仕事を辞めようと思うのか、そういう考えのほうが私にはわかりません。私は特に頑張っているわけではなく、ごく自然に生きています。

私の田舎では、両親は朝食の前から働いていましたし、祖父母は年をとっていても働いていました。そういう生活が私には普通なのです。私にとっては、働くことは生きることなのです。

仕事をできる限り長く続けていくためには、自分が心身ともに健康でなくてはならないと思っています。テレビを見て、簡単なストレッチをしたりしています。

ーほかにやりたいことはありますか。

私はもともと床屋です。本当は、世界中を周って、床屋として困っている人を助けたいと思っていました。せめて髪の毛だけでもさっぱりしてもらいたい、そういうことができたらいいなと思っていました。もちろん、今となっては無理なのですが。床屋としての私にも何人かファンがいて、今も髪をカットしていますけれど。

でも、最終的には普通の暮らしができれば十分だと思っています。

社会福祉法人 三幸福祉会

本社所在地:東京都葛飾区青戸8-18-13

運営事業)第1種社会福祉事業(特別養護老人ホーム:5か所)

第2種社会福祉事業(短期入所生活介護:5か所、通所介護:2か所、保育所:1か所)

公益事業(介護付きホーム:2か所)

ホームページhttps://www.sanko-fukushi.jp/

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