チャレンジを続ける若宮正子さん

これから

マーチャンが現在取り組んでいることや、マーチャンの暮らし方について、お聞きしてみました。

ーデジタル庁でのお仕事、講演など、現在も多方面で活躍されていますが、今後に向けて若宮さんの目標としていることはどのようなことですか?

私は、今一番やらなくてはならないことをやっているだけです。

長期目標はありません。今やっていることが全てで、将来の目標は立てていません。

私のミッションは、誰一人取り残されない、人にやさしいデジタル改革のお手伝いです。特に、老いてこそデジタルが必要だと考えています。

少子高齢化が進むと、ヘルパーさんや介護士さんになってくださる方も少なくなって、介護保険制度での高齢者支援も成り立たなくなります。高齢者は自立しないといけなくなってくるのです。介護面を発展途上国の方にお願いしようと思っている方もおられますが、発展途上国は既に先進国になってきています。今後、わざわざ日本まで来ていただくことは期待できません。そこのところを高齢者の方々にわかってほしいと思います。

スマホばかりでなく、コンビニではセルフレジ、ファミレスではタブレットを使いこなせないと、生きていけない時代になっています。ファミレスで注文できているか不安で3回クリックすると、コーヒーが3杯来たりします(笑)

デンマークでは遠隔医療が中心になっています。お医者さんに直接脈を取っていただく機会はなくなりつつあります。自分で検査をして、検査結果はインターネットで送信され、お医者さんとはオンラインで向き合うことの方が多くなりつつあります。リハビリもオンラインになりつつあります。やがて日本もそうなっていきます。

これからはテクノロジーのお世話になって、高齢者は自立しなくてなりません。例えばアレクサがあれば、寝たきりでも困りません。

ーデジタル化のネックになっていることは、どのようなことだとお考えですか?

高齢者のデジタルアレルギーはまずいと思います。

文科省も、子どもにとって、ITやスマホは悪いものとして、積極的に使わせないようにしてきました。これからは「使わせない」より「正しく使う」ように教育すべきと思います。

高齢女性のデジタル知識の理解度が低いのは、当時の政府が意図的に女性の社会進出を避けたことが大きな原因の一つです。女性にとって扶養控除の仕組みが、デジタル化の遅れの要因になっているのです。特に高齢女性たちは、企業戦士の夫を支えるのが役割でした。働いてもパート程度で、社会との接点が少なかったのです。結果的に、近代的なものやITから縁遠くなってしまいました。

家族間で、子世代が親世代に、デジタル面を教える責任があるということになっています。パソコン画面を共有して、子どもが教えたりしています。

ー少し話が変わりますが、今の生活についてお聞かせください。お忙しいようですが、年間どのくらい講演をされているのですか?

年間100回くらい講演しています。3日に一回のペースです。

一昨日、北海度から戻ってきました。その前は熊本に行っていましたし、更にその前は富山県氷見に行っていました。コロナの時にはオンライン講演をしていました。

ーそんなにお忙しいなら、健康にも気をつけていらっしゃるのでしょうね。

特に健康には気を遣っていません。食べたいものを食べ、やりたいことをやっています。

健康は気にしていません。ごく普通の食事をしています。これだけ働いているので、食べないとやっていられませんし。最近は日帰り出張が多いので、駅弁評論家のごとく駅弁をよく食べています。

自分がこんなに体力があるのは、これだけ働かされて、やっと気づきました。

ー無難にくらしたいという風潮の中、やりたいことをやっている若宮さんは、あらためて凄いなと思います。

私は人からどう見られるかなんて気にしません。自分のしたいことをする!

今の若い人たちは洋服も目立ちたくないからと、保護色みたいなのを着ますね。赤いブラウスを着ようかどうしようか、こんなの着たらなんて言われるか。あなたが気にするほど、周りはあなたのことを気にしていないと言いたいです。

かえって「自由にしていいよ」「規制がない」というほうが困ってしまうんですね。型にはまっている方が楽で、無難なほうにいってしまう。そんな国で、新しい産業や先端技術は生まれるかしら、だからどんどん沈んじゃうんじゃないかしら、と思います。

番外編「エクセルアート」

エクセルアートとは?

マーチャンが創始者で、表計算ソフトのMicrosoft Excelの「セルの塗りつぶし」や「罫線」を使って、作るアート

マーチャンが来ている洋服
お手製の袋類
うちわ

<編集後記>
今回は、マーチャンに戦争体験のお話もお聞きしています。混乱の時代であっても、おおらかにポジティブに乗り切っておられます。また、銀行員時代も管理職まで昇進されており、働く女性の先駆け的な存在です。こちらも、気負いなく楽しそうに、乗り切っておられます。
そして、その後もパソコン、プログラミング、デジタル化の推進と、次々と新たなことにチャレンジされていっています。マーチャンは生涯現役のお手本そのものですね。こんな生き方がしたいなと憧れを感じます。
マーチャンの根本にある、『自分を絶えずバージョンアップしていこう』という姿勢はシニアばかりでなく、すべての人が心掛けなくてはならないことだと痛感しました。その姿勢があれば、マーチャンのようにはスイスイとはいかなくても、実りの多い人生が送れそうです。

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