築地本願寺の銀座サロンでは、仏教だけでなく多くの講座が気楽に学べる

築地本願寺の銀座サロンでは、
仏教だけでなく多くの講座が気楽に学べる(1)
サイトで生涯学習について調べていたら、おやっと思うものに出合いました。「お寺さんが、スクール?」なのです。築地本願寺のご担当に連絡させていただいたところ、すぐにお返事をいただきました。そこで、さっそく指定の銀座サロン会場にお伺いし、お話をお聞きしました。気さくなお寺さんは、お話もオープンでとても気さくでした。
マネージャーの山崎由香利さん(写真左)と伝道企画部秘書・広報担当の岡本優真さん(右)にご対応いただきました。
築地本願寺
京都・西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派の寺院。西本願寺の直轄寺院という位置づけで、首都圏の開教活動を担う関東最大の念仏道場。1617年に建立され、1923年関東大震災で焼失されたため、建築史家伊東忠太博士の設計により古代インド様式の外観で1934年現本堂が落成。重要文化財
本日は、お時間をいただきありがとうございます。築地本願寺さんがアカデミーをされていますが、それはどういった経緯からなのでしょうか
アカデミーには、KOKOROとTSUKIJIがございます。こちら銀座サロンの活動は、KOKOROアカデミーと「よろず僧談」の2本柱になっております。両方とも2016年5月からのスタートです。
仏教が皆さんの日々の暮らしから少し離れてしまった、という思いがありました。お寺と接する機会が葬儀や法事の時しかないですとか、自分の家が何宗かわからない、仏壇もない、と無関心になられた。それは、寺側の活動が足りなかった、という反省があります。皆さんとの接点を持つという本来の役割を多くしようと考えたのです。
それに築地本願寺は外から見るととても大きく、社葬で行かれるくらいでしょうか、敷居が高いと思われがちです。本堂が古代インド形式なので、知らない方は仏教寺院とは思われないようです。そこで、ここ銀座にサロンを持ちました。ここでしたら、信者でなければダメという雰囲気もなく、会社帰りですとか買い物の時にとか、気楽に寄っていただける。そのためにお寺らしくなく、シンプルで機能的なつくりにしました。
*サロンに参加するには、築地本願寺俱楽部の会員になる必要があります。ホームページからweb入会もでき、入会費も年会費も無料。会員カードが発行され、さまざまなサービスを受けられポイントでオリジナル記念品交換もできます。
築地本願寺倶楽部 築地本願寺 (tsukijihongwanji.jp)
講座の内容はどのようなものでしょうか
カテゴリーは、こころ、仏教、教養、体験、終活の5つです。それぞれにいくつもの講座があり、単位制などではなく連続講座でも一講座ずつ受講できます。受講料も抑えましたし(1講座1,000円が主で無料のものも)、気楽に来ていただき、学びの機会を提供できたらと思っています。それをきっかけにさらに深く学びたい方には、築地本願寺でのTSUKIJIアカデミー(浄土真宗の講座)があります。
銀座のセミナールームは1部屋だけで、定員はイス席では45名、デスク使用の場合24名です。ただ、現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から席数は半分に抑えています。講座はオンラインでも参加いただけますし、1週間の見逃し配信も、過去講座のアーカイブもあります。
カテゴリーは、あえて仏教を多めにはしていません。カテゴリーは異なっても、講座を聞いているとどこかで仏教とつながっていることもあります。安心して生きていく知恵は、仏教の長い歴史に詰まっていますので。
仏教講座では、まず仏教というものを知っていただきたいと、天台宗や臨済宗など他宗派のもあります。門徒の方も「他宗派のお話を聞けて浄土真宗をより理解でき良かった」と言っていただいています。「親鸞さんのところは懐が深い」とも。昔のように限られた知識では今を生きられない、いろいろ知ってご自分にとっての正しい選択をしていただきたいですものね。
受講者は、女性(主に40代以上)が65%、男性(主に50代以上)が35%くらいでしょうか。70代や80代の方もいらっしゃいます。今、俱楽部会員の方は31,508人(11月25日現在)になります。
*10~12月の講座からご紹介すると、
- “こころ”には、「人間死んだらどうなるのか」「自分の過去から学ぶ後半人生の生き方」など
- “仏教”には、「コロナに学ぶ禅の教え」「天台宗の教え」「今度は、大乗仏教の経典を読んでみましょう」など
- “教養”には、「香語り『源氏物語』」「銀座の落語寺」「建築散歩東京」など
- “体験”には、「いけばな」「経路リンパマッサージ」「お経を書いてみませんか」など
- ”終活“には、「最近の葬儀・お墓事情」「相続対策、円満相続のポイント」「最強のシニアの作り方」など
と、バリエーションもボリュームもたっぷりです。1月以降は、ホームページ(tsukijihongwanji.jp)をご覧ください。
そこまで積極的にされるわけは何でしょう
宗教の意義は変わっていない。ただ、それが伝えられてきたのか。門徒の方にも十分伝えられたのか。小さい頃、おばあちゃんの仏壇に向かう姿を見ている。それが大人になって機会が減った。私たちには、今の方に伝える役割がある。そこが大きなところです。
阿弥陀如来のみ教え、浄土真宗の教義という根本は変わらないですが、その伝え方は時代の流れに沿って変えていく必要があります。伝わる伝道をするということです。
昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大をはじめ、現代社会には様々な不安が広がっています。その中でどうみ教えを伝えるのか、どう人々の不安に寄り添うのかを模索しています。他の宗派も当然されていますし、本山の西本願寺はSDGsを率先し、築地本願寺も取り組んでいます。持続的共存は、仏教本来の教えでもあります。
築地本願寺では今約7割が僧侶で、新規事業を進めてから僧籍のない職員が3割程と増えてきています。そうしたオープンさが銀座という土地柄もあり、さらに気楽に不安感なくお寺とのお付き合いが始められているのではないでしょうか。銀座商店街の老舗のオーナーさんにも講座でお話をしていていただいています。テクニックだけでなく、商いの考え方の伝統や今後のことなどをお話しいただいています。基本、自由に話されています。今は休止していますが、再開できたらまたお願いしたい。老舗商店は、銀座コミュニティの文化的存在ともいえます。