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シニアの力を生かしながら、介護現場の働き方を変革する『ケアアテンダント』制度

特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどを運営する社会福祉法人・三幸福祉会は、2018年に『ケアアテンダント』という制度を作り、運用しています。

『ケアアテンダント』という制度の意図や仕組みについて、三幸福祉会の法人企画開発部と法人営業広報部で部長をされている柳沼亮一さん(写真・左側)にお話をうかがいました。また、「癒しの里 西小松川」で『ケアアテンダント』として実際に活躍されている羽賀マツエさん(写真・右側)に、介護現場での様子についてお話をうかがいました。

まずはじめに、柳沼亮一さんにおうかがいした『ケアアテンダント』制度のお話からご紹介します。

■三幸福祉会の概要を教えてください。

三幸福祉会は特別養護老人ホーム5つ、介護付き有料老人ホーム2つ、認可保育園1つを運営しています。

私たちのコンセプトは「家族の困難を希望に変える」で「日本の家庭を明るく元気にする」がミッションです。私たちの施設にどのような方を受け入れようかということを考えた時に、対応するのが難しい方を受け入れようとし決めました。対応が難しい方はプロの私たちが支援すればいいのです。そうすれば、家族に希望が生まれるのです。 

入居者の方は、ご家族といい時間だけを共有し、ご家族との絆を取り戻してもらいたいと考えています。今後生産人口は減り、高齢者は増えていきます。介護は日本の困難です。私たちはそこを担いたいと考えています。

■三幸福祉会では、どのような方が働いているのですか。

常勤の正社員は350人から360人ほどで、平均年齢は28歳です。非常勤を含めると580人位います。『ケアアテンダント』は20~30人います。

全体としてみると非常に若い組織で、皆真剣に利用者さんと向き合っていてそこは良いのですが、逆にしっかりした社会経験のある人が必要な事もあります。『ケアアテンダント』なら入居者の方と昔の話をすることができるのです。

『ケアアテンダント』で元看護士の77才の方がいて、彼女はすごく熱心に仕事をし、イライラもしません。彼女が言うには「昔自分も育ててもらったので、今度は自分が人を育てる番だ」というのです。これは素晴らしいことだと思います。

■『ケアアテンダント』の制度を作ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

常勤の職員の採用が難しくなり、仕事の切り分けをしようということになりました。介護福祉士の資格を持っていないとできないことと、介護福祉士でなくてもできることの業務分析をしました。

介護士の仕事が多すぎて、ファミリー(入居者)に寄り添うことができないというのが実態でした。それで、『ケアアテンダント』みたいな人がいるといいねという話になりました。

『ケアアテンダント』は資格がなくてもできる仕事ですが、介護士の“助手”としてではなく、介護士と対等な立場です。単に”助手”であれば、ある意味いなくても仕事が回りますが、『ケアアテンダント』はいないと仕事が回りません。『ケアアテンダント』は、介護士と一緒に介護のフロアを作ってくれています。

■『ケアアテンダント』の具体的な仕事内容はどのようことですか。

傾聴と掃除・洗濯といった生活環境を整える仕事です。入居者の話を聞くのは年齢が近いほうがいいということで、シニアの方を採用しようということになりました。入居者の方々は本当に楽しそうに話をしています。

シニアの方は仕事が丁寧で、定年後に仕事を「させていただいている」という姿勢です。若い介護士に背中を見せてもらっているという感じです。

■シニアの方の中には、介護施設で働くことに抵抗感のある方もいると思うのですが、そのハードルを越えるコツはありますか。

介護に興味があっても、そう簡単にできないと思っているシニアの方は多いと思います。『ケアアテンダント』を募集するときは地域にビラをまきましたが、3大介護(食事介助、入浴介助、排泄介助)はありませんと書きました。入居者の方とお話したり、シーツを交換したり、掃除をしたりという仕事だということを伝えました。

また、シニアの方は働きたい時間がバラバラです。ですので『ケアアテンダント』の方それぞれが自分のライフスタイルに合わせて働けるように仕事をオペレーションしています。

施設をたまたま見学に来た家族が「これならうちのおばあちゃんも働けるかもしれない」と言っていたことがありました。こんなふうに『ケアアテンダント』を見た人が広めてくれるというケースもあります。