プレシニア男性 滝口勝さん(仮名)56歳 東京都在住
はじめまして、今後の仕事のことで相談させてください。
現在56歳ですが、今の会社でこれ以上出世することもなく、なかなか仕事のモチベーションがあがりません。
大学卒業後、メーカーに就職。営業一筋33年間働いてきて、現在一応部長職ですが来年役職定年を迎えます。
ただ、いままでの部下が上司になったり、その後雇用延長で65まで働くにしても「でもその先は?」と考えてしまいます。会社の先輩を見ていても、年々立場も弱くなるのは目に見えているし、自分が萎んでいくような気がするのです。そうなったら65歳で終了してしまうかなと・・。今の時代、65歳で引退というのは早いようなきがしています。
独立も考えてみましたが、リスクもありますし、特別な資格やスキルがあるわけでもありません。ただ、元気なうちは働きたいと思うのです。何か準備をするにしても、どこから手をつけたら良いのかもわかりませんが・・・。
家族は妻と社会人1年目の娘と大学2年の息子がいます。仕事は大卒で入社した中堅のメーカーに営業として33年勤めてきました。幸いなことに住宅ローンは完済目処が立っていますし、子供の教育費ももうじき終わります。退職金もあるので金銭面での不安はあまりありませんが、先々のことを考えると無駄使いはできないなと思っています。
髙平 ゆかり 先生より
役職定年を前に 仕事へのモチベーションが上らないまま 漠然と定年後の不安を感じ モヤモヤしてるとのことですが
そのような気持ちになるのは、滝口さんだけじゃないですよ。
終身雇用で入社したサラリーマンあるあるです。
ファーストキャリアから折返しをするタイミング(転機)を迎えただけなのです。
だから、まずは心配するより安心して下さい 想定内通りに進んだだけですから(笑)
そもそも 営業一筋に頑張って、ポストオフが必要な職位までキャリアにできたのです。
「一応部長」とのことですが、その立ち位置がずっと続くなんて、滝口さんだって思ってもこなかったはず。
部長昇進も ポストオフも 定年も 会社の制度上の運営なので、そこで悩んでもしょうがないじゃないですか。
第二の職業人生に移行する大事な時期に、悩んでる時間がもったいない!
滝口さん自身も、昔の上司や先輩が、格下の社員として働く姿を これまでも見てきたのではないですか?
もう気がつきましたよね。ただ、順番が回ってきただけのことなんですよ。
いつまでも走り続けることはできないのだから、かっこよくバトンを渡しちゃいましょう。
今ほんとうに心配すべきは “今ひとつ仕事へのモチベーションがあがらない“ という滝口さんのモチベーション低下です。このままでは、“働かない妖精おじさん” まっしぐらですよ。
時間軸で考えると ポストオフから定年→再雇用→65歳の再雇用契約終了まで 約10年近くありますね。
それだけ長い時間を 低いモチベーションのまま働き続けられても 会社が迷惑ですし
若手社員からは、“働かない妖精おじさん”としか思えないわけです。
滝口さんの“営業一筋33年間”のキャリアが、あっという間に帳消しになっていいんですか?
今のモヤモヤを鎮火するには、まず元部下や後輩たちへの変なプライドは捨てましょう。
この先、戦力外社員に甘んじてしまうと 65歳以降の再就労にも大きく影響しますよ。
「元気なうちは働き続けたい」という希望があるなら、
今が、第二のサラリーマン人生の始まりと受けとめて気持ちをリセットしてください。
そして、第二の職業人生に向けて準備(自走)を始めて下さい。
具体的には、
- 気持ちの切替え(マインドセット)→シングルキャリアで終わりたくなければ、今後は社内よりも社外にも目を
向けて何か一つでもいいので具体的に体験してみるのがお勧めです。
例えば、ボランティアやプロボノ、リカレント教育(学び)や副業など - 今後の経済プランを立てる→いつの時点でどれくらいの収入が必要なのか(特に年金収入が入る65歳以降の収入
と収支のバランスを検討)今後の家計を大まかに把握しよう。 - キャリアの棚卸をする→今後環境が変わっても再現できるスキルや知識は何かを特定してください。
また再就職に有効な職能や資格などを実際の求人などから勉強しよう。 - 健康維持のための習慣をリスト化する→心身の健康のために今から不摂生を改め、適度な運動を取り入れたり、
食生活などを見直してみてください。趣味など愉しいことも続けよう。 - 家族との意見交換→これからの10年と老後について家族と意見交換をしてみよう。老親の介護問題や子供の独立、配偶者とのコミュニケーションなど課題があれば把握してください。
- ①~⑤を勘案して、これからのキャリアプランや老後のライフプランを作ってみよう。
詳細ではなくポイントを掴む程度で全体像を把握してみてください。
これらの準備をするには、時間も手間もかかりますが、こうした具体的な準備が、不必要な不安を軽減してくれます。また、今のモヤモヤも雲が晴れたように通り過ぎていくと思います。
「何をするにしてもどこから手をつけたらいいかわかりません」といことですが、第二の職業人生の準備をしているうちに、その答えを見つけて下さい。きっと見つかるはずですよ。