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セカンドキャリアのプロに聞く。シニア就活のコツ。


 
人材サービス大手企業・アデコ株式会社で、これまで多くのシニアの就活に立ち会ってきた佐藤大輔さんに、シニア就活の考え方や狙いどころについてお話をお聞きしました。就職活動をしようとしているシニアの方には参考になることが盛り沢山です。

Q、まず佐藤さんご自身の自己紹介として、年齢やこれまでのキャリアについてお教えください。

現在42歳です。きちんと会社勤めを始めたのは25歳頃でしょうか。それまではいわゆる自営業の様な形で友人と一緒にビジネスをしていました。若くしてたくさんの失敗を積めたのも今のキャリアの元になっていて、とても重要な経験でした。

25歳の会社勤めデビューはキャリア系コールセンター運営会社でした。カスタマーセンターやテクサポ、NWエンジニアの育成など、様々なBPO(Business Process Outsourcing)の企画、立上げ、運営を手掛けてきました。

そちらで11年お世話になり、7年前に現在のアデコへ。3年前より現職である、官公庁・自治体事業を専門に受託・運営するソリューションセールス課にて企画・営業をしています。

Q、シニアの再就労というテーマでお話をお聞きしたいのですが、シニアの就労支援で思い当たる印象深い出来事などがあればお教えください。

百貨店の店長経験、及び海外買い付けの経験を持つ定年後シニアの方が担当する支援事業にエントリーされました。そして、ある企業が自社コールセンターの新規立ち上げメンバー20名の募集をかけており、そのポジションにシニアを紹介しました。弊社では事前のヒアリングで個々のメンバーだけでなく、コールセンターまたは企業としての顧客応対品質について、課題を抱えていることを担当者より聞いていました。そこでシニアとの事前すり合せで面談では、コールセンターのいちスタッフとしてだけでなく、ご自身の経験が応対品質向上に貢献できるという事をアピールできるように事前レクチャーをしていました。

その結果狙い通り、コールセンタースタッフとしてではなく、全く新しいポジション「品質向上社内コンサルタント」という部門横断型のアドバイザーとして、派遣採用されました。支援事業終了時には直接雇用へと切り替わり、今も週3回の契約で就業されているそうです。

これは事前に弊社アドバイザーが両者の情報をすり合わせた結果、良い形でのマッチングとなった例ですが、しっかりと先方の課題感を把握しておくと、どんな経験が先方から見た魅力なのかが分かります。これは面接などでも同様で、とにかく聞くことが重要です。その上で、自身の経験やスキルとの類似点・接点を見つけることができれば、他の職種でも上手く行くという事例だと感じました。同様の事例は他にも多くあり、自身の経験を上手く企業が活用できるようアピールすると、新たな職種で採用枠が生まれる、という最初の事例でしたのでとても印象深く残っています。

 

Q、定年延長を終えられて65歳になった方々が再就労しようとした時に「年齢ではねられる」「面接をしてくれる企業すら無い」といった声が多く聞こえてきます。ひと口には言えないと思いますが、どんなところに気を付けて就職活動をするのが得策なのでしょうか?

 Will、Can、Mustのキャリアモデルで言う、CanとMustの深堀りでしょうか。多くのシニアの方が自分が何をしたい(Will)のかはハッキリしているケースが多いですが、何が出来るのかというキャリアの棚卸し(Can)、自分には何が求められているのか(Must)、この2点がご自身もよく分からないまま就職活動をしているケースがあります。

フルタイムで働くこと自体が、会社からの条件と照合せずに、そのギャップがネックになってしまったり、世の中には全く同じ仕事というのはないので、本質的に自分がしてきたことをその仕事にすり合せながら自身をアピールしなければいけないのに、キャリアの棚卸しが足りていないために、経歴書や面談での表現が、希望職種と少し違うと、いわゆる「弾かれてしまう経歴書、面接」になってしまう。

まずはしっかりとこの3つの要素についてしっかり考える時間を取ってもらい、活動をしてみると、実は色々なチャンスが見つかったりします。とにかく人手不足はこの先もずっと続いていくトレンドですからね。

 

Q、こうすれば企業の担当者が会いたくなるようなコツはありますでしょうか?

柔軟な姿勢で振る舞うことは大切です。これはシニアの固定イメージを払しょくする意味もありますが、企業の担当者はいわゆる「よくいるシニア」には会ってくれません。自己主張が強い・聞くよりも自分が話してしまう・話が長い・こだわりが強い・新しい事にチャレンジしない・やり方を変えない。こういったイメージを持つと、会社に入っても仕事の進め方やコミュニケーションの部分で摩擦が起きてしまい、活躍できないだろう、と思ってしまいます。

シニアで活躍している方、どこからも求められている方は、一生懸命で柔軟な方が多いです。若者のような気持ちで臨むことが大切です。

働きたいシニアと噛み合わない企業

今日は「働きたいシニアと、噛み合わない企業」について書きたいと思います。

現在は、高齢者雇用安定法にもとづき、65歳までの「高齢者雇用確保措置」が企業に義務つけられています。

分かりやすくいうと企業は

①65歳までの定年の引上げ
②継続雇用制度の導入
③定年制度そのものを廃止

のいずれかが義務付けられているということです。

また政府はいま、70歳までの就業機会の確保について法改正を検討しています。

内容は前述の①~③に加え

④他企業での継続雇用の確保
⑤本人との業務委託契約
⑥社会貢献活動へ有償で従事出来る制度敷設

などが盛り込まれています。

シニアの活躍の機会が拡大することになりますが、企業にとっては雇用するシニアをどう戦力として活用していくのかが大きな課題になります。

 

起きるミスマッチ

シニアの就労意欲はというと、「70までは働きたい」「働けるうちはいつまでも働きたい」という方が80%以上というアンケート結果が出ています。
 
働きたい理由の一番は「経済的理由」で、昨年の「老後2000万円問題」は記憶に新しいところですね。
 
このように、政府の方向性とシニアのニーズは合致しているにも関わらず、実際にシニアから聞こえてくる声は「求人が無い」「年齢でハネられる」「面接してもらえない」などが多いのも確かです。
 
職種を選ばなければ求人はあるようですが、多くは警備や清掃、販売などの仕事が殆ど。「これまでのキャリアや知見、人脈を活かした仕事がしたい」「週に3日程度働きたい」「出来るだけ自宅から通勤しやすいところが良い」「給与は・・・」と条件を付けていくと、希望に見合う求人は全く見当たらなくなります。
 
では、企業が高齢者雇用に消極的かというと、そうでもありません。以前は消極的な企業も多かったのですが、人材不足の影響でそういった企業は徐々にですが少なくなってきています。
 
「あしたのチーム」という企業が2019年におこなった全国の中小企業の経営者300名を対象にしたアンケートでは、「シニア人材を採用したい」と答えた企業が都市部で51.4%、地方で55.3%と、いずれも半数以上の中小企業がシニア人材に期待を寄せています。
 
では何故、このようなミスマッチが起きているのでしょうか。

噛み合わない企業とシニア

実は「シニア人材を採用したい」と考えている中小企業の70%が「即戦力」としてのシニアの働きを期待しています。

となると「週に3日程度」「自宅から近くで」という方々は、企業側からみれば「即戦力」とは捉えづらい筈です。

ただでさえ「生産性向上」という風潮の中、戦力になるのかどうかが分からない人に手を出しづらいのです。

企業はシニアに対して「不安」も感じています。①健康状態や体力的な不安②親や伴侶の介護による突然の離職に対する不安③雇用者としての安全配慮上の不安④待遇や評価制度上の不安 などがそれです。

中小企業の経営者は、仮に「この人いいな」「即戦力として活躍してもらえるかも」と思えるシニアに出会ったとしても、「週に3日程度で」「自宅から通いやすければ」と言われてしまうと、期待よりも不安が勝ってしまって、結局採用とはなりません。

このように、シニアの「働きたい」と企業の「働いてもらいたい」が根本的に噛み合っていないことも、実際には多いものです。