老後2,000万円問題の真相 第1回

「50歳からのマネー術」

2019年に金融庁が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」にて高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯)の家計にて実収入に対し実支出の方が毎月平均5万5千円多いとの調査結果が発表されました。これを平均寿命で計算した場合約2,000万円の生活資金が不足することから「老後2,000万円問題」として世の中に取り上げられるようになりました。年金だけでは生活できないことが分かってきたのです。

老後資金の確認

この問題が発信されたことにより、多くのシニアの方はご自身の老後に不安を感じるのではないでしょうか。その為にもご自身の老後の資金について今一度確認することをお勧めします。

一番良いのはファイナンシャルプランナー(FP)へ相談し「キャッシュフロー表」を作成してもらうことです。将来の資産、及び収支状況を把握することができ、更にアドバイスをもらうこともできます。
また下記についてご自身の状況を把握しておくとよいでしょう。

  • 定年時の貯蓄額
    退職金も含め老後資金としてどれだけ用意できるのか。
  • 年金支給額
    年金支給額は人それぞれにて違います。厚生年金は保険料を多く支払っているほど支給額も多いです。企業年金等+αの年金に加入している人はその分の支給もあります。日本年金機構から毎年誕生月に「ねんきん定期便」が届きますのでそこで確認してみましょう。もしくはHPでの確認も可能です。
    ねんきんネット|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 家計の把握
    「住宅ローン」と「教育費」がいつまで必要なのか把握してください。この2つが終われば基本的にはご自身(配偶者含)の生活資金が主となると見込まれます。更に住宅の修繕、車や家財道具の買い替え費用等の大きな出費の見込みも考慮してください。あと老後を「夫婦2人の生活」と「子ども世帯と同居」とで家計が大きく変わりますので、それぞれのパターンを想定しておくのもよいでしょう。

ご自身の状況を把握することで、将来の見通しを立てることができます。今までの貯蓄や退職金等で老後資金を確保できる人や、年金支給額が多い人、大きな支出の無い人などは老後の心配はないかもしれませんし、また不足することが分かった場合でも、不足額が2,000万円より少ないかもしれません。大切なのは「現在地を知る」ことであり、そのことで今後の方針を立てることができるのです。

高齢者就労の現実

ご自身の状況を確認した結果、老後資金や十分な年金を確保することができず多くの人が「仕事を続ける」選択しなければならない時代となりました。最新の「労働力調査」にて2021年時での高齢者の就業率が60から64歳が71.5%、65から69歳が50.3%、そして、70歳以上が18.1%と発表されています。この数字は毎年上昇しており今後も上がっていくと見込まれます。大切なのはどのような仕事に就き何歳まで働くのか、ということに対しビジョンがあるのか?なのです。

定年後「再雇用」としてそのまま現在の職場に残る人もいらっしゃるでしょう。慣れた職場、業務ですので進みやすい選択かと思います。しかし収入は下がります。そして5年で契約満了となるケースが大半です。もしそこからの計画、準備をせずに再就職先を探すこととなった場合、選べる職種は限定され、本意としない業務やポジションでの職場に就かなければならないこともあります。また勤務時間も制限されることで収入も大幅に下がるケースが多いです。もし老後資金の確保が出来ていなければ、年金だけで賄えず生活費の為だけにやりたくない仕事を辞めることができずに続けなければならない余生を過ごすこととなってしまうでしょう。

老後の人生を豊かなものにする為には

「老後2,000万円」問題が浮上しましたが、悲観的になることはありません。大切なのは「今から何をするのか?」なのです。老後資金、年金額を確認することでご自身の未来が見えてくることでしょう。もしそれが不足することが分かったなら

・老後資金の確保

・収入を増やす

この2点において今から準備、行動をしていくことが必須です。どのような準備、行動をしていけばよいのかについては次回以降にお伝えさせて頂きます。特にこれから老後を迎える50代の方にとってはそれできる最後の期間となります。悲観せずに、参考にしていただければと思います。

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